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「寝たら明日になってしまう恐怖症」について

罹ったことはありますか?
「寝たら明日になってしまう恐怖症」

当たり前だけれど、寝たら、明日がやってくるわけだ。
夜が終われば、朝の番が来るわけだ。
それが「怖い」と感じるとは、どう言うことだろう。

「明日がマラソン大会だから嫌なんだよね」
「明日、発表に当たってしまうから怖い」
「明日の商談がプレッシャーで不安すぎる」
「苦手な人が明日お店にくる」

いろんな理由で、明日になってほしくない人たちがいるのだ。
『サザエさん症候群』と呼ばれたりもするけれど、それは日曜夜限定の症状だ。
私たちは、違う。
「毎日毎日」思うのだ。
どうか、ずっと夜であって欲しいと思うのだ。
夜は自由で、何も変わらないから好きだ。
朝が来たら、全てが動き出してしまうから、怖いんだ。
歩き出せば歩けるのだけど、歩くまでがとても怖いんだ。

だから「寝たら明日になってしまう恐怖症」になってしまう。
どうすれば克服できるだろう。

寝なければいいんだろうか。
……時間は止まらないから、いつか朝はくるし、体力も減って余計に疲れる。
明日のことを考えなければいいんだろうか。
……それができればもうやっている!と声が聞こえた。
そもそもの不安材料をなくせばいいんだろうか。
……それができれば、いや、これはもうさっき言った。

未来のことを憂いても仕方がないとか、
今心配しても何も変わらないだとか、
心配していることの大半は起こらないだとか、
そんな言葉が欲しいんじゃない。

私たちはただ、
「怖いよね、明日。明日なんて来なくていいよね」
そう言って抱きしめてもらいたいだけなんだ。
明日を耐えられるだけの支えが、愛が感じられれれば、満たされる。
満たされれば、立ち向かえる。
不安が募るならば、それを安心で補う必要がある。
それは、自分の思考の中ではもう工夫し尽くしていて、一人では限界があって。
だからこそ、貴方はあなたの大切な人がこの病に罹ったら、
安心で満たしてあげて欲しいんだ。

安心は、勇気に代わって、覚悟に変わる。
「朝」に立ち向かう覚悟が足りない私たちに、安心を分けてくれたなら。
「寝たら明日になってしまう」という恐怖が、
「寝たら明日になる」という事実だけに、戻るはずだ。

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