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夢と鰻とオムライスに出てくる食べ物の話・前編

 私が一編の小説を書き上げたとき、夫は言った。

「タイトルだけで腹いっぱいになりそうだね」

 確かに、
「ごはんよー」
 と言われて食卓を見たとき、そこに鰻とオムライスがあったら、どんな人でも一瞬は戸惑うに違いない。

 とにかく、物語の中に食べ物を登場させるのが好きなせいで、この作品も食べ物の連打となってしまった。
 作中に出てくる食べ物がどういったものであるか、気になる方が、もしかしたらいらっしゃるかもしれない。

 そんなわけで、物語に登場する食べ物をできる限り解説していこうと思いますので、どうぞよろしくお付き合いください!

 主人公・瞬太が、兄の慶太から五百円玉を投げつけられるところから始まる第1話で登場するのは、三輪素麺です。
 私自身が何度も奈良に足を運んだことがあるので、三輪素麺には一方ならぬ思いがあります。現地に行って、素麺のふしを買って帰ったのもいい思い出です。


 大神神社の息のかかる場所で作られた素麺たち。
 味もさることながら、現地に行かずとも、三輪明神のご利益があるような気がして、私はどうしても三輪素麺を特別な思いで見つめてしまうのです。

 さて、第2話に登場するのは、プリンです。

 こちらのプリン。タイトルにこそ登場しませんが、物語の肝になる食べ物の一つとなります。


 XがTwitterだった時代に、面白いツイートがありました。該当するつぶやきを見つけられなかったので、うろ覚えなのですが、ある方が、友人の外国の方から、こんなことを質問されたというのです。

「なぁ、なんで日本の漫画やアニメでは、プリンをめぐって兄弟喧嘩が始まるんだ?」

 確かに、そういうシーンは多いですね。
 プリンと兄弟喧嘩は定番中の定番。切っても切れないアイテムです。
 何より、冷蔵庫を開けるだけで簡単に在庫が確認できる、という点においても、プリンは家族を描く際に登場させやすい、ということもあると思います。あと、3つ入り。ということも兄弟喧嘩になりやすい要因になっている、と思うのは私だけでしょうか。

 第3話になり、タイトルにもなっている鰻が登場します。

 最近では鰻の高値ばかりが話題になります。そのせいか、私自身もなんとなく鰻から遠ざかっていますが、近頃では牛丼屋さんが鰻を出したり、リーズナブルな価格で鰻を提供するお店も増えてきました。 

 夫が鰻が高値だというニュースをラジオで聞いたとき、こう言っていたのを思い出します。
「俺、ドジョウに、鰻になってもらえないか、掛け合ってみるよ」
 そんなこと言われては、ドジョウもいい迷惑でしょう。

 第4話に登場するのは《昔懐かしいパン》です。

 最近、パンはおしゃれになりつつあります。
 個人的には、主人公の兄・慶太が好んで食べている天然酵母もパンも好きです。

 私が未だに忘れられないのがこの、タルムリエのパンです。
 にんじん酵母を使ったものもあり、健康的で酵母の味と小麦の味が一体となって、本当に香りがいい。ただ、このタルムリエは、おしゃれな店構えではなく、本当に素朴です。私は素朴とか朴訥とかが大好物なので、タルムリエの雰囲気はとても好きでした。

 昔からの商店街の中で見かけるパン屋さんは天然酵母ではないですが、おしゃれに逃げていない渋い味わいが好きです。

 さて、第5話に主人公・瞬太が作った、大失敗のオムライスが登場します。彼は、《褒められる》《喜ばれる》という体験を経て、料理をするようになっていきます。

 喫茶店のようなトーストセット。やはり文化的に言えば名古屋が有名だと思いますが、びっくりドンキーなど、ファミレスでも、当然のようにトーストセットが楽しめます。プロントだと生野菜がつくようです。


 残った野菜と買ってきた麺で作った冷やし中華。
 瞬太はタレつきの麺を買ってましたね。

 個人的には、こんな感じの冷やし中華だったのではないかと、思ったので、クルクル☆カッピーさんのnoteから拝借。どうぞ、皆さんクリックしてはじけてください。

 そして、オムライス。
 ちなみに、私も過去にオムライスのエッセイを投稿したことがあります。

 昔、私の母が、卵料理をうまく作れるようになったら一人前だ。などと言っていましたが、火加減の頃合いが難しいので、確かに、そうかもしれません。

 それから第6話
 ここで登場するのが、一升瓶ワインです。

 一升瓶ワインの良さは、なんといってもその価格。
 気負わず飲むのにぴったりなお酒です。山梨だけではなく、長野県の塩尻も国産ワインで有名で、そちらにも一升瓶ワインがあります。
 どこのワインも美味しいです。

 塩尻の一升瓶ワイン。
 フルーティーが好きな方にはアルプスワイン葡萄棚がおすすめ。
 私は信濃ワイン葡萄の調べが好きです。甘くなく酸味があって、個性のある味です。

 最近では、国産ではありませんが、サイゼリアで一升瓶ワインを見かけます。マグナムボトルと呼ばれているようです。

 さぁ、やっと第7話
 ここで、瞬太が勝沼に行くきっかけになる食べ物「ほうとう」が登場します。

 私がほうとうの作り方を教わったのは、もう15年以上前のことです。当時、行きつけだった酒屋さんのお母さんが、山梨県北斗市のご出身で、ほうとうを作ってみたいと話したら、実に簡潔に口頭で作り方を教えてくださいました。

「小麦粉を耳たぶくらいの固さに練って、伸ばして、切って、味をつけた汁にそのまま入れるのよ。え? 生地なんて、うちでは寝かせたことないわねぇ。なんにも気にすることないのよ。コツなんてないんだから」

 と、まぁ、豪快でした。

出典:農林水産省Webサイト


 これは、山梨県出身の芸人・俳優でもあるマキタスポーツさんがラジオで話していたのですが、ほうとうは残ったら翌日も食べるそうです。自家製ならではのもったり感、好みもあるかとは思いますが、私は好きです。ぜひ、油揚げは大目に、かぼちゃを忘れずに!

 第8話は、コンビニのおにぎりとコーヒーやサンドイッチが出てきたくらいなので、第9話に行きましょう。

 こちらは正じいとの夢のシーンです。
 ここで出てくるのはぶどうです。一応時期的に、8月末ですと、巨峰があるので、その種あり巨峰をイメージして書いています。
 こちらは、甲州市のお隣。笛吹市産ですね。

 種ありの美味しさを、ここで書いてみたかったんです。
 本当はワインになるぶどう、甲州を食べてほしかったんですけど、8月末の旅行では時期が合わなかった!
 甲州は、9月中旬からが最盛期と言われています。第13話で、こうちゃんが言っていますが、最近は猛暑のせいで、品種の最盛期が早まっているようです。

 ……と、ここまで書いていて、私は気づきました。
 一本の記事にまとめるのは無理だと!

 と、いうわけで、後半に続く……。


お読み頂き、本当に有難うございました!