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餅は、インスタント食品だ。 密かに、私はそう思っている。確かに、カップ麺ほどの気軽さはないけれど、それでも餅は、常温保存ができて、焼けばすぐ食べられる便利な食材だと思う。 餅といえば、やはり正月を連想してしまうが、正月だけでなく、忙しいさなか、小腹を満たすのに、餅は案外、最適な食品でもある。 我が家は春夏秋冬問わず、年中、餅を常備している。 休日、私がぼんやり寝過ごしたりすると、夫が餅で飢えをしのいでいたりするし、朝早い勤務のときも、餅を焼けば、それこそ、お茶漬
なぜだ。と思うことがある。 私は夫に留守を頼むとき、お昼にオムライスなどを作っておくことが多い。冷蔵庫に作り置きでき、レンジで温めて食べられるものがいいので、オムライスの他に、チャーハン、ナポリタン、焼きそば。こういったメニューが、留守を頼む食事の候補に挙がる。 大体、飽きないようにローテーションにしているのだが、夫はオムライスのときだけ、 「プロの味だった」 そんな大げさな感想を述べるのだ。しかもなぜか、某SNSのいいねボタンに負けないくらい、親指をグッと突き立
私は酵素玄米というものを常食している。 寝かせ玄米ともいい、玄米を小豆などの豆類、塩を入れて炊き、ビジネスホテルのバイキングや合宿所で見かけるような保温ジャーに入れて3日間ほど寝かせて食べる。 糠床のように一日一度混ぜ合わせる必要があるので、私は「ぬかめし」などという身も蓋もない名前で呼んでいる。 炊いた玄米を保温し続けるという、知らない人が聞いたら、なかなかミステリアスな食べ物だ。 我が家では、この酵素玄米を食べ始めて5年以上になる。このご飯の利点は、普通の玄
「あの、丸っこいパンにビーフシチューが入ったやつが食べたい」 夫が華麗にそう言い放ったのは、クリスマスを、あと3日に控えた昼過ぎのことである。 あの、丸っこいパンにビーフシチューが入ったやつ、とは、おそらく夫がテレビで見たであろう、箱根名物のシチューパンのことだ。 せっかくのクリスマス。一緒に箱根にでも繰り出して、シチューパンを食べようよ♪ という提案ではない。あの、シチューパンを、私に再現しろというのである。 あのね、私はシェフじゃなくて、主婦なの。そんな簡