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おもちょろい夫

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面白いことを、ちょろっと漏らしがちな夫が登場するエッセイです。面白いだけではなく、たまに哲学的なことも言ったりします。
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2022年1月の記事一覧

パンツに穴

 夫のパンツに穴があいた。  それに気づいたのは、夫が風呂上がりにスクワットをしているときであった。その小ぶりなヒップを、プリッと突き出したとき、小さくあいた穴から地肌が見えているのを発見したのだ。 「あら、あなた、パンツに穴あいてるわよ」  私が言うと、夫はスクワットをしながら、 「あー、もう随分長く穿いているからねぇ」  と、言った。  実はいうと、私も先日、パンツに穴があいたばかりだ。  下着を新調すると、気分が新たになって良いものだが、我々夫婦は、つい、くたびれた

夫、妻を国宝にする

 寒い日の夜、食卓では湯豆腐が煮えていた。  燗酒を平杯に注ぎ、鍋の中の豆腐の塩梅を見る。ほわほわとした湯気の中で豆腐が揺れていた。湯豆腐は煮えばなを食べるのが一番美味しい。私は左手で掬い網、右手で菜箸を持ちながら、崩さないように、夫の器に頃合いの豆腐を入れようとした。  すると夫が、 「ねぇ、ティッシュ取って」  私の脇に置いてあるティッシュを指差して言った。  しかし私は今、両手が塞がっている。そんな妻を目の前にしながら、ティッシュを要求する夫。ほんの少しくらい待てな

夫、グラビアアイドルに対抗する

 パソコンでネットニュースなどを見ていると、思いがけず、ナイスバディなグラビアアイドルの画像に行き当たることがある。  どうやったらこんな体型になれるのか、まじまじとその画像を見つめていても、その謎は迷宮入りだ。魔法でも使っているのかと首をひねりつつも、その豊かなバストや、弾けるヒップが織りなす造形美には、否応なく魅了されてしまう。  その日も感心しながら、グラビア画像を眺めていたら、ちょうど夫が起きてきた。自分の妻と同じ人間とは思えないほどのナイスバディに、夫はどんな反応

おんなは股関節

 突然何を言い出すんだ。  自分でもそう思うのだが、最近つくづく、女性にとって股関節は大事なものだと思うのだ。かつてNHKの朝の連続テレビ小説で、「おんなは度胸」という作品があったが、度胸と同じくらい、股関節は大事だ。  40代も中盤が見え始めた今日この頃、私の最近の悩みは生理前後の体調不良である。何となく調子が悪いという感覚は、積もり積もると、生活に影響が出てくるものだ。何より、筆も家事も思うように進まぬ状況は如何ともしがたい。  正々堂々休んでしまうのも手ではあるのだ