夫、グラビアアイドルに対抗する

　パソコンでネットニュースなどを見ていると、思いがけず、ナイスバディなグラビアアイドルの画像に行き当たることがある。
　どうやったらこんな体型になれるのか、まじまじとその画像を見つめていても、その謎は迷宮入りだ。魔法でも使っているのかと首をひねりつつも、その豊かなバストや、弾けるヒップが織りなす造形美には、否応なく魅了されてしまう。

　その日も感心しながら、グラビア画像を眺めていたら、ちょうど夫が起きてきた。自分の妻と同じ人間とは思えないほどのナイスバディに、夫はどんな反応を見せるだろう。そんな好奇心から、

「ねぇねぇ、ちょっと見て。この人、すごいナイスバディだよ」

　と言って、夫にその画像を見せてみた。
　鼻の下でも伸ばそうものなら、盛大にヤキモチでも焼いてやろうかと目論んでいたのだが、夫は、

「あたしだって、負けてないわよっ！」

　自分の胸に手をあてながらそう言って、キッと私を睨みつけた。
　その姿はまるで、アニメドラえもんで入浴シーンを見られてしまった、しずかちゃんのようである。
　アイドル顔負けで品しなを作る夫を見ながら、私は、

「そうね、どんなグラビアアイドルも、あなたには敵わないわよ」

　と白旗を上げた。すると夫は、

「当り前よ！　失礼しちゃうわっ！」

　そう言って、お尻をプリプリ振りながら、モンローウォークで洗面所へと歩いて行った。セックスシンボル、マリリンモンローの再来を思わせる夫の後ろ姿を見ながら、私はパソコンに映し出されていたグラビアアイドルの画像を、そっと閉じたのであった。

　

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おもちょろい夫｜花丸恵｜note