スクーターブルース #短編小説
消えた鍵を探し続けて、早一時間。
オレは燃えカスのようになっていた。思い当たる場所はすべて探し尽くした。これ以上、どこを探せと言うんだ。
約束の時間まであと50分。最低でも、40分後には家を出ないと、間に合わない。
いつもオレの家には誰かしら家族がいて、普段は鍵を掛けなくても出掛けられる。父親は週の半分はリモートワーク、母親のパートも週三回、示し合わせているのか、二人の外出が重なることはない。ゲーム好きの弟は土日は家にいてゲーム三昧だし、ばあちゃんも、病院以外は家に