空飛ぶクラゲ
 プロローグ

秋になると空を見上げるたびに、秋の空は高いんだよ、と高校のクラスメートが教えてくれたことを思い出します。うだるような暑さがうそだったかのように涼しくなってきました。

やかましく鳴いていたセミが、アスファルトの上に仰向けで息絶えていました。セミは必ず空を見上げて死ぬんだよなとセンチメンタルになったのも束の間、セミの目は背中側についていることに気づき、複雑な気持ちに駆られたのでした。セミは最期に何を見るのでしょう。


かくいうわたしは、今年の夏、棚にモノをあげようとした際にバランスを崩して踏み台にしていた椅子ごと転倒し、後頭部と背部を強打するという災難に見舞われました。スローモーションで天井が遠のき、頭が床でバウンドするのを感じながら、あ、だめかも。これで終わりか……と思いました。火サスだったら死んでいるパターンです。幸い、事なきを得ましたが。
 

そしてまた、毎朝汗だくで起きていたのですが、同僚からも田舎の親からも、熱中症で死ぬよ、と忠告されました。聞けば世間の人々は今や寝ているときもエアコンをかけているというではないですか。いつの間にそんな時代になっていたのでしょう!そんなわけで、死というものを少し身近に感じ、時代の変化に驚いた令和2年の夏でした。  
 

生きていればいいこともあるもので、ご縁あってMKコーポレーションよりコラムを書いてみないかとお声がけいただきました。自由にどうぞと言ってくださったので、ありがたくこの場をお借りして、日々のあれこれを書かせていただこうと思います。
 

昭和の子どもだったわたしは、ミッドライフクライシスまっただ中。中年をどう生きるかが目下のテーマです。
 

土に触れていないモグラのごとく不安になりがちな性分なもので、どうなることかとドキドキしておりますが、読者の方々に少しでも楽しんでいただけたらうれしく思います。
 

というわけで、連載はーじまーるよー。  

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