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認知症の父を見送って-その2    カフェと散歩と認知症

 写真は父の葬儀をした周南市のJR徳山駅の夜景です。周南市立駅前図書館。実家は岩国市ですが、ここ周南市には妹が住んでおり、父は周南市の病院に入院し妹が世話をしてくれていました。感謝しています。

徳山駅のスタバは最高!本が読み放題

 周南市の駅、徳山駅は蔦屋とスターバックスを誘致して、市営の図書館になっており、「タダでいいの?」ときょろきょろしてしまうくらいの美しい三階建ての癒しの空間になりました。スタバのコーヒーを飲みながらでも、飲まなくても、図書館にある本は雑誌でも新聞でもいくらでもゆったり読むことができます。もちろんフリーWIFI、電源あり。それなのに混まない。平日だからでしょうか。きっと休日でも同じです。こんな便利でゆったりした蔦屋書店は全国探してもなかなかないと思います。どれだけ経費がかかるのか、経営者としては心配になってしまいますが、市民にとっては最高の憩いの場、大切な財産ですね。
 葬儀で三泊した間、このスタバ&蔦屋書店のおかげで、大変快適に過ごせました。私の渋谷の事務所の隣にもスタバがありますが、この6年で数えるくらいしか入ったことがなく、むしろ徳山駅のスタバの方に愛着があるくらいです。

親思う心に勝る親心

 父の直接の死因は脳梗塞でした。その前に認知症を10年くらい患っており、母が自宅で介護し、妹がサポートしてくれていました。母は元気ですが、それでも一歳違いですから老々介護も限界にきて、9月に空きが出て老人ホームに入ることができました。そこでの快適そうな暮らしに皆ホッとしたのもつかの間、2か月で脳梗塞になり、あれよあれよという間に2か月弱で他界してしまったということです。87歳、天寿を全うしたと思いたいところです。
一つ心残りなのは、父は認知症だったため、脳梗塞の発見が少し遅れたことです。ホームの人が「少し変です」と気づいてくれたのでわかったのですが、認知症でなければ、もっと早く脳梗塞の自覚症状があり、手術できたのかもしれません。それはタラレバであり、むなしい問ですが。

 しかも父は6日に息を引き取りました。東京にいる私は年末年始は東京の大家族のために大掃除やおせち料理の準備にてんてこ舞いです。メインのブログやfacebookを読んでくださっている方はご存知のように、東京の両親と同居しているため、我が家の元旦は17人でおせち料理を囲みます。私の作る岩国の祭り寿司(押しずし)をみんな楽しみにしてくれており、とてもそれを作らずに実家に帰るとは言えませんでした。そんな緊急性があると思っていなかったからですが。
 そして、三が日は恒例の箱根駅伝応援、美術展鑑賞、同級生との親睦の駅伝大会と、充分に楽しんだあげく、翌朝6日に訃報を知ることになったのです。父はそんな私の予定をまるで待っていてくれたみたいにして息を引き取ったのです。妹が一人で看取ってくれました。ありがとう。

すし

カフェと散歩と認知症

 ちょうど昨日、NHKで認知症の医師の番組を見る機会がありました。父が認知症になってから、認知症の番組はよく見るようにしています。「認知症の人との会話は顔を近づけ、まっすぐ目を見て話す方がいい」ことなどもNHKの番組で知りました。
 昨日の医師の番組にはさらに多くの発見がありました。認知症の研究者自らが認知症になった日々のドキュメンタリーだったからです。いつも認知症の父の気持ちはどんなものか?と案じていました。撮影に応じた医師のご家族は素晴らしいお覚悟ですね。頭が下がります。
 その医師は手記に「何もかもが不確かになる。妻がいてくれないとダメだ。妻がいつもそばにいてくれないと不安。妻がいつも私といてくれて幸せだ」と書いていました。それでわかりました!父もそうだったのだと。
 最後に元気な姿で老人ホームで会ったとき、私のことはもちろんわかるのだけど、母のことを親鳥を慕うひな鳥のように、ずっと見ているのが印象に残りました。両親はそんなに仲良しの夫婦とも思わなかったのに、最後の頃は父は母だけを頼りにして、ずっとそばにいてほしがった。それが認知症の症状だとわかりました。何もかも不確かで、心配で、だれかがいてくれないと不安で仕方ないのですね。母がホームに行くと本当にうれしそうだと妹も言っていました。帰るというと「もう帰るのか」と寂しそうと。
 その医師が散歩の途中で必ず立ち寄るお気に入りのカフェがあり、「ここのコーヒーはおいしいよ。まだ2回しか来たことはないんだけどね」と言ってニコニコして話していました。毎日行っているのに。でも気持ちよくご家族も「そんなことない」なんて言わずに「そうね。また来ましょうね」と言って優しくつきあう。医師はおいしそうにコーヒーをすする。そんな幸福感に満ちたやり取りでした。認知症のご家族のお手本ですね。
 これからさらに認知症の治療は進んでほしいし、周囲の対処法も向上していくことでしょう。

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 その番組を見て、私も近くのカフェに行きたくなり、そこでこのブログを書いています。散歩道に居心地のいいお気に入りのカフェがあるといいのですが、残念ながらスタバ&蔦屋書店はないし、今のところはこのコメダ珈琲かな?小さな喫茶店は次々と潰れてしまいました。私の好きなカフェは電車に乗らなくては行けない。歩いて来れるここコメダ珈琲はモーニングは良いけれど、その時間は超混みで行列だし、大きなお店なので午後でも少しうるさいのが玉に瑕です。しかも午後はお高く感じます。スタバ以上です。コーヒー450円。

あなたの番です!


「あなたの番です」というテレビドラマが昨年ヒットしましたね。田中圭主演。次々にマンションの住人たちが殺されていくサスペンスドラマで、私も珍しく怖いもの見たさで録画して見ていました。それをもじっています。

 私も認知症になるのではないか、という恐れは父が発症してからいつもありました。こうして父を見送って思うのは、いよいよ次は自分の番だということです。親とは約30歳違い。親は30年後の自分をいつも見せてくれています。認知症になり、脳梗塞になり、あっという間にこの世のものでなくなり、冷たくなり、焼かれてホカホカの骨になる。それが他人ごとではなく、自分ごとになりました。残された時間は長くない。カウントダウンに入りました。


 父は死を以って私に教えてくれます。残りの人生をしっかり生きろよ、頑張りぬけよ、女の子だからと甘えるな、と。叱咤激励してくれています。 お父さん、ありがとう。頑張りぬきます!

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