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【ヨシコンヌ記】水中金魚の文鎮

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 友達から10年以上前にもらったガラス文鎮が、ずっと机の上に置いてある。

 夏になるとますます良さが発揮される。水面の揺らぎを覗き込んでいるデザインがとても涼しげで、風と水音を感じるほどだ。丸みのある形と重みが持つ手に心地良い。ひんやりとした質感で、ちょうど手のひらに収まるサイズなところも気に入っている。

 束になったメモの上に置いたりすることもあるので、本当に『文鎮』の役割も果たしてくれているのだが、まぁ事あるごとに握ったり、握ったり、それから握ったりしている。この持ち重りする感覚とさらさらすべすべとした手触りが何かと必要な時があるのだ。今もそう。次の言葉を探している時などに触っているな、と、書きながら気付いた。

 よく見ると水泡も含まれている。金魚と水草から空気の泡が立ち上っているようにも見えてリアルだ。

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 角度を変えると、水面の乱反射を味わえる。

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 改めて年中この文鎮を眺めているな、と思う。夏に良さが発揮されるのは先にも書いたが、秋でも夏の置き土産のような気がするし、冬になれば氷彫刻のようにも見えてくるし、春になれば氷が溶け出した春の気配を感じるような気にもなるのだ。ゆえに『机の上にいるグッズ』の中でずっと一軍である。
 

 ある日、夕飯時にテレビを付けていたら、この文鎮が特集されていた。 

 日々眺めているものが、突然テレビで紹介されているのを目にすると、ちょっとびっくりして嬉しくなる。何故だろう。自分だけがその素敵さに先に気付いていたと、どこかで思い込んでいるからだろうか。

 富山のガラス工芸を特集するテレビ番組で、作家さんの名前を初めて知った。そして、もっと大きなサイズの文鎮があるということも。それがこちら。

 作家さんは久保裕子さんという方で、この文鎮は『池文鎮』という名だった。名前も美しいし、水の透明感と揺らめきの深度がさらに深まっていて、思わず、「欲しい」と呟いたが、置き場のスペースと値段とを考えて手を出すのをやめてしまった。それでもいつか本物が見たいと思っている。

コロナ収束後行きたい場所リストに富山県を入れた。

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