人は問題解決ではなく進化を欲している
お裾分けシリーズ2020 第7回(6月29日)のゲストは、インフォバーンの取締役&京都支社長を務める、デザイン・ストラテジスト井登友一さんです。インフォバーンには、むかーしWebデザイナーをしていた頃、訪問したことがあるような気がします。会社の事業領域も大きく変化しているんだなあとしみじみ。
それで、デザイン・ストラテジストってどんなお仕事なんでしょう?
既存の枠組みに異議を唱えていく立場。
クライアントに批判的なことをいう、トラブルメーカー。
質の高いトラブルを起こしていこうと思って実践しています。
なかなかハードなお仕事ですね。
私の場合は意図せずしてトラブルを起こしてしまいがちですが、戦略的にトラブルを起こすという点がまったく違います。
ジャーナリスト批判からエスノグラフィックリサーチへ
学生時代、井登さんが目指していたのは新聞記者。なのに、1年次に所属したゼミの教授がナチスを生んだジャーナリズム批判する立場で、新聞嫌い。宗旨替えした井登さんがハマったのが、聞き取り、対話、観察を通して「社会のあり方を知っていく」エスノグラフィックリサーチでした。これがデザインリサーチへとつながっていくのです。
良質な経験をデザインする
最近、顧客からの要望が変化してきたそうです。
今あるものを進化させる
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まだないものを考える・作る
連続的な価値をつくるデザイン
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撹乱的な価値を生み出し未来をつくるデザイン
「撹乱」は「かき乱す」とか「混乱させる」という意味で、破壊的とはちょっと違うニュアンス。確かに破壊しちゃうと自分たちの事業も壊す可能性もあるから、撹乱ということばが適切なのかもしれませんね。
それはともかく、良質なものが安価で手に入る時代になり、「モノ」ではなく「経験」をしなければお客さまは選んでくれなくなったわけです(これまでも決してモノだけで選んできたわけではないと思うのだけど)。
でも、お客さまが求めているのはその先にある「変身」なのではないか?
今は自分自身の存在を変えてくれるものに価値を感じ始めているのではないか?
では、変身に向かう良質な経験をデザインするとはどういうことなのでしょう?
本当はそうしたいと思ってたけどそうしたいと言えなかったり無意識のうちにあきらめていたこと、経験を目の前にさしだしてあげること
誤解していけないのは、便利で効率がよく快適であればいいわけではない。自分を振り返ってみればわかるけれど、よい経験には苦労することも含まれる。それすらデザインすることが求められていると、井登さんはいいます。
良質な体験は、ロジックでは生まれない
それはその通り。でも、たぶん、頭で考えてもアイデアは出てこないだろうな。小説でも書くように、1枚の絵でも書くようにディテールを想像しながら、ストーリーを描く。良質な体験はロジックでは生まれないよなと思いました。
井登さんは「最終的にはロジカルに落とし込むわけだけど、経験的な観点からツールが処理していくようになっていく。定性的なことは人と社会の関係など論理的では語れない、その先を語る方向に変わるのではないか」とおっしゃっていたけれど、最終的にロジカルに落とし込まないといけないのかな〜。そうでなくても伝わる世の中になったらいいのに。
最後に。母性愛的デザインと父性愛的デザインについて言及されていましたが、ここはだいぶ違和感ありました。母性愛ってそういうものじゃないんじゃないかな〜って。これ、世の中のお母さんたちが聞いたら炎上すると思いますよ!と言っておきます。
このnoteは、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論のお裾分けシリーズです。
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