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読書記録:男性視点の忘れられない約束

「冷静と情熱のあいだ Blu」__辻 仁成


あらすじ

あのとき交わした、たわいもない約束。10年たった今、君はまだ覚えているだろうか。やりがいのある仕事と大切な人。今の僕はそれなりに幸せに生きているつもりだった。だけど、どうしても忘れられない人、あおいが、心の奥に眠っている。あの日、彼女は、僕の腕の中から永遠に失われてしまったはずなのに―。切ない愛の軌跡を男性の視点から描く、青の物語。

紀伊国屋書店オンラインショップ
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784043599011


手にとったきっかけ

彼と同じストーリー、世界線の物語で視点が変わる小説を読んでみて感想を言い合おう!ということになって、この小説を手にとった。

私が男性視点で、彼が女性視点のを読み進めました。



付箋「好きな文章」

普段からの習慣。好きな文章に付箋をつけて、noteにメモします。


「…パリだって、そう。でもここはご覧の通り、中世の時代からぴたっと時間を止めてしまった街なのよ。歴史を守る為に、未来を犠牲にしてきた街

p.52


この人にピッタリな街だと思う。読み進めていた時は「素敵な街だなぁ」くらいに思っていたけど、歴史「過去の後悔・恋愛」を成仏させるために今をないがしろにしているようにしてきた主人公みたい。

ちょっと「友人の彼氏だったら」って主人公を考えてしまったから、皮肉たっぷりの感想になっちゃった笑

ぼくは自分の見たいを限定しすぎるところがある、もう少し柔軟に世界と向き合ってみる必要もあるだろう、ということだ。

p.119



「パパと言葉が通じなくて悲しい思いをした時、純正がいるからわたしはやっていける、生きていけると思えた。」

p.196

ここは共感したなぁ。この人がいるからしばらく頑張れるってことは最近多い気がする!

ようやくクーポラの上に出た時、待ち受けていたのはフィレンツェを横切る春の風であった。ああ、と思わず声が出た。

p.231

ここはかなり好き。こういう風景が浮かぶ描写があるとイメージが浮かんで旅した気分になった!

感想、読んで思ったこと

やっぱり男女で感覚の違いはあるよなぁと思った。この主人公が自分の友人の彼だったらちょっと嫌だなと…。笑

過去の約束とか過去の恋人ってどう頑張っても美化されていくし、しぶといから振り切るのも大変そうだなと思った。ラストシーン、女性視点のほうはさっぱりしててほしいなぁ。笑

「きっとわしは日常風景の観察者でありたかったんだろう。こうして的確にモチーフを切り取って再生させる若い頃のわしは、ある意味でカメラの目を持っていたと言ってもいい。

…こうしてわしに切り取られた世界はわしという人間の芽を通じて一つの作品となり未来へ旅をし続けられるんだ。もうこの同じ家や壁や杭は地球上にないかもしれん。なのにそれを拵えた者たちの精神はこうして残っている。」

p.132


自分がカメラを好きな理由と似てる。
観光地より普通のところに行くことが多い理由にも似てる気がした。



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