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金のフルートと楽器をつくる人

フルートは木管楽器と言われますが、実際に木で作られたフルートを使っている人は少数派。
大抵は金属製で、洋銀だとか銀、あるいは金やプラチナとかで作られてるわけです。

金銀プラチナなんて、宝飾品をつくるための貴金属なので、フルートは小さいくせに震えるような値段のものもあって、うっかり試奏とかして欲しくなると大変なことになりますね。

そういう金銭的な問題を横に置いても、私は金のフルートに憧れが薄く、試奏などもあまり積極的にはしないのですが。
とある試奏会場に、ナガハラのゴールドフルートがいくつも並んでいて、“ちょっと試奏してみようかな”という気になりました。

***
楽器店の方に「吹かせてもらっていいですか?」と声を掛け、3本並んだ14Kのフルートの内の1本を手に取ろうとすると、楽器店の方が「それぞれ歌口の形状が違うんです」と説明して下さいました。

持ってみると、思ったより軽い。
思わず「けっこう軽いですね〜」というと、楽器屋さんは「重いと仰る方も多いですが、、」と少し困ったように仰り。
私は、いつの間にか重い楽器に慣れてしまったみたいです(笑)(私が今使っている楽器は、シルバーの割に重いのです)

さて、ゴールドのフルートなんて、久しぶり。
心を鎮めて息を入れてみると。
私でもゴールドの音がでました〜!!

思ったよりずっと軽い吹奏感。
きらきらしていて、力を入れなくても遠くにぱーんと飛んでいくような音(な気がする)〜と、ちょっと嬉しくなりました。
といっても、毎日この音色で吹きたいかといえば、そういうわけでもないのが楽器の奥深さ、でしょうか。

で、買う気もないのに(買えるわけないんですよ)、歌口が違うとどれくらい変化があるのかと、別のもう一本を手に取る。
2本目のものはゴールウェイ仕様の歌口とのこと。3本の中で、私はこれが一番吹きやすかったです。きらきらが飛んでく〜って感じで。

3本目(特徴を説明してくれたけど、忘れちゃった^^;)は1本目と2本目より抵抗感があり、吹きやすいとは感じず。

歌口の違いでこんなに変わるんだ〜面白いな〜と思っていたら、ちょっと珍しいという、16Kのフルートも吹かせてもらいました。
16Kフルート、吹いてみると「わ、重い」と声が出るくらいで。重量的に、ではなく、吹奏感的にすごく重くて。

「これは吹くの大変ですね〜」とか言ってると、楽器屋さんは私に金のフルートを買う甲斐性などないことを見抜いてらっしゃるのか、話題を金のフルートから、その隣の楽器に逸らされました。

隣にあったのは、ピッコロのような、でもピッコロとは異なる形状の楽器。「フルートmini」と表示されています。

そちらを示して、楽器屋さんが「今はこれに力を入れてるんですよね、永原さん(^^)」と言いながら、斜め後ろの男性に視線を移されました。

「ながはら…さん…??」
なんと、ナガハラフルートの永原完一さんがそこにいらっしゃいました。

普段はボストンにいるだろう永原さん(ナガハラフルートはmade in Boston)に、こんなところ(田舎者の私の行動範囲内)で会うなど、思いもしていなかったのでびっくり。
こっそり大興奮しました。自分が使ってる楽器を作られた方ですから。

たまたま、他にお客さんもいなかったので、永原さんは私に向かって「フルートmini」について詳しく説明を始めて、ピッコロとの違いや、ゴールウェイがピッコロを嫌い(!)だという話から、ゴールウェイ氏のフルートのセッティングのことや吹き方の特徴など、いろいろ興味深いお話をして下さいました。

その後、私は、そのフルートminiを持たされ、「こうやって吹くんだよ」と吹かされ(笑)、永原さんはチューナーで音程をチェックしつつ、「もっと歌口をオープンにして」と指示されたり、楽器の構造についての話をされたり。

勉強になる時間…だったはずなのですが、私の脳みそでは理解しきれず、仰った内容をあらかた忘れてしまいました。永原さんは「フルーティストは音響学的なこととか、全然考えずに吹いてる人が多いから」と仰りましたが、私にはレベルが高すぎてちんぷんかんぷんでした…(¯―¯٥)

私にはもったいないぐらいな時間でしたが、でも、自分のフルートを作られた(設計された)方に会えて、とても嬉しく感激したということを、ご本人にお伝えしたら、少し嬉しそうな顔をしてくださったような(^^)

「笛を吹く人」には、そこここでお会いしますが、笛を作る人や設計してる人に会うことなど、私の生活ではほぼないので、貴重な経験でした。

そして。
まんまとフルートminiが欲しくなってしまいましたよ(笑)まぁ大変。
だんだんメジャーになっていくのでしょうか、フルートmini…

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