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私が会社員を辞めるまで 〜#2 まさかの解雇〜

私が会社員を辞めるまでのストーリーを3回に分けて書いています。
その2回目です。


2013年1月31日。

決して大げさではなく、
私の人生を大きく変える出来事が起こりました。

当時、私は工場で生産された化粧品の分析試験を行う品質管理の仕事をしていました。

機器分析という未経験の仕事でしたが、いつの間にか香料の仕事の倍以上の年月を経てそれなりに自信とやりがいを持っていました。


50年前の創業当時は東洋一の工場と言われ、
資生堂のマザー工場として高級化粧品や口紅の生産拠点となっていた工場だったのですが。

老朽化していた建物が震災でダメージを受けたこと、
その他諸々の事情で工場を閉鎖するというのです。

そしてほとんどの従業員が解雇されることが発表されました。
それは正社員であっても同じでした。

それを聞いた瞬間、膝から崩れ落ちました。

もうお先真っ暗です。
子供の頃から憧れて入社した資生堂。

テレビのCMも、店頭に並ぶ商品も見たくない。
しばらくは何もする気がなくなりました。

いつまで経っても塞ぎ込む私を見て
初めは心配していた主人も次第に呆れたようでした。

「たかが会社のことで、なんでそんなに落ち込まなきゃいけないのが理解できないよ」

そう言われても、私の気持ちなんて誰もわかってくれない!
とますます、落ち込む日々。

ですが、焦る気持ちもあり
意を決して、転職活動を開始しました。

資生堂という経歴で、転職先はすぐ決まり
化粧品の海外・国内ブランドの開発・製造を行うOEM会社の
分析試験室リーダーとして働き始めました。

資生堂への未練タラタラでしたが
ブランドへの依存はなくなりました。

そして外側から見る資生堂の良さも改めて実感することになりました。

ですが、転職1年後にメンタルがダウンしかけました。
やっぱり、私のいる場所はここじゃない
また、資生堂へ戻りたい。


最初は日曜の夕方になると憂鬱になる
いわゆる「サザエさん症候群」

どんどん酷くなり、
楽しいはずの金曜の夜でも月曜からの出勤を考えると
辛くてたまらない。

家でも笑顔がなくなりました。


主人も心配し
気分転換に思い切って家族で初めての海外旅行へ。
現実から逃げるようにハワイに行きました。

日常から離れて、穏やかな時間を家族と過ごす日々。

鮮やかなエメラルドグリーンの海、山々。
そこで暮らす、明るい人々。

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久しぶりに心が安らぎ、大笑いして、ぐっすり寝て。

自分を見つめる大切な時間となりました。


旅行から数ヶ月後、突如引越しの話が。

もともと住んでいるところが義父のものでしたので仕方なく
家を探すことに。

見つけたのは
知り合いも誰もいない、土地勘もない湘南逗子の中古の一戸建て。

この土地を選んだのは、ハワイ旅行が影響していたのかもしれません。
周りのことなんか気にしない、自分たちが好きな暮らしをする。

環境や時間の流れ方が似ていました。

それまではタワマンが立ち並び
百貨店もある便利な場所に住んでいました。

ここにずっと住みたいと思っていたのに。
それはなんで?

便利だから?
便利だと何がいいの?

マンションに住み慣れていたから。
一戸建だと何がいけないの?

一部上場している企業じゃないと、不安だよね。
なんで?

少しずつ私の固定観念がくずれて行きました。

そして
「会社員が一番安心」という私の大前提を変える日が
近づいて着ました。

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