統一地方選後の日本共産党を考える②委員長在任問題のかわし方

除名問題をどうにかする理由としては、個々の地方選挙であるが、共産党候補は「共産党ブランド」を全面に押し出す方が多いと思う。それを否定はしないが、その「共産党ブランド」なるものへの影響が除名問題と絡んでいるからだ。共産党の政策を総括しないなら、「共産党ブランド」を高める努力を常に考えるのが共産党側として行わなければならないことだと思う。

その除名問題でクローズアップされたのが志位委員長の長期在任批判だ。これは地方選との関係でいえば敬遠されがちな多選の爺さん首長と重なるという印象があった。これはマイナス効果。志位委員長は若く書記局長に抜擢され、テレビ討論や国会質問での評価もあった。しかし、その財産はこの除名問題ですべて無くなり、長く居座っている人のイメージが強くなった。共産党員は別にいいのかもしれないが、共産党支持者や共産党の躍進を願う無党派の人からしたら、「どう見れれるか」ということも「正しいか」とあわせて判断基準にしてもらいたいと思うのではないだろうか。

共産党は集団指導体制を取っているため、役職は序列を表しているものではないとしている。そのため、選挙のたびに党を代表する立場の人の進退を問わないとしている。政策も綱領にもとづいているため、正しいという答えしかなく、委員長の責任問題に到達しない構造が作り上げられている。

そんな中、宮本顕治という戦後日本共産党の精神的支柱の直系とされる不破哲三、志位和夫が書記局長→幹部会委員長という日常的な党代表として数十年同じなのだが、党大会で選出された中央委員会で承認されているので、「民主的」だと言っている。

今回の地方選挙でかけがえのない議席が大幅後退しても、「党の自力不足」の一言にまとめられることが次につながるのか。これは選挙総括の大きな問題だと思うが、委員長どうするか問題は来年1月の党大会まで待つしかないようだ。そもそも今年1月の党大会を地方選に集中するためとして1年延期し、この結果。すぐにでも臨時党大会を招集するなど中央委員たちは動かなくていいのかと思うがそういう熱き議論が代々木で行われているとは思えない。

委員長続投でも世間のイメージを変える方法として、次期衆院選比例1次候補の発表でメッセージを出すべきだ。共産党の国会議員でも、質問がヒットすればメディア露出が増え、イメージがよくなることがこれまでもあった。しかし、比例9議席の今、動けるからと上位の固定メンバーしか当選しないことは党の新陳代謝を促しているように見えない。委員長続投問題が片付くのは来年1月党大会。その前の総選挙を共産党は「政権交代の前に世代交代」を裏テーマとして当選に近い候補者を決めるのはどうだろうか。例えば、発表時に65歳を超えている人は選挙に出ないとすると、自動的に志位委員長は候補者から外れる。そして、委員長代行という立場を副委員長筆頭の山下よしきに与え、志位委員長のメディア露出を控えるという戦略もいいのではないか。比例の候補者も地域の党を代表する人となるようにし、「地元の声を届ける」というスタンスをとることで、衆院の小選挙区では勝ち目がなくて選択肢に入らないけど、比例は共産党に入れるという人を増やすような候補者にするべき。そういう意味で志位委員長などは衆院比例候補からは外す。このような既成事実のもとに、委員長続投問題を判断すれば、選挙で負けた責任ではなく、「党支持が広がらない中で後進へ道をゆずり、変革の党としての成長を続けていく」など党機関としての主体性のもと人事を刷新することができやすくなるのではないだろうか。そして、参院の比例1次も4人程度にしてあわせて発表していく。今年から来年の早期解散と再来年の衆参同時選挙どちらにも対応できる候補者体制を作り上げることは委員長続投問題が片付かなくてもするべきだと思う。


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