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認知症対策は「生涯現役」

◆55歳のゴール

サッカーの「キングカズ」こと三浦知良選手が、
55歳で、プロ公式戦のゴールを決めました。

カズのポジションはフォワードと言って、最も俊敏さと瞬発力が必要であり、若い人でないと務まらないポジションです。
フォワードの選手寿命は短いと言われる中、55歳まで、日々練習を重ね、
プロの世界で生き抜くことがいかにスゴイことかが分かります。

普通の人が50歳過ぎて、電車に遅れるからと駅まで全力疾走したらどうなるでしょうか。
足はもつれ、息は切れ、目はくらみ、プラットフォームの階段は、
乳酸が溜まって足が上がらないのではないでしょうか。

いくつになっても現役を貫くカズの活躍は、同世代の人に勇気を与えます。

◆認知症予備軍からの生還

認知症の前段階は、軽度認知障害(MCI)と言われます。
この時に奮起して、認知症対策をすれば、
1割の人が正常に戻ると言われています。

ピーター・ジェサップさん73歳は、その1割の1人です。
勤めていた自動車関連の仕事を辞めて間もない頃のことです。
物が覚えられない、何かをするときに時間がかかる、処理が遅い、
と感じて検査を受けたところ、軽度認知障害と判明しました。

ところが2年後、驚いたことに検査結果は正常に戻っていました。
ジェサップさんは、2年の間に何をしたのでしょうか。

◆いつも忙しくする

ジェサップさんはこう語っています。

・いつも忙しくすることを心がけた
・ボランティア活動
・週2回、スポーツセンターでの運動

生涯、仕事を続けたいのはやまやまでも、退職という時が来ます。
その後、ぼーっとしていては認知症一直線です。
ジェサップさんは、ボランティアやスポーツ教室などの予定を入れ、
忙しくすることを心がけたのが良かったのでしょう。

筋肉は使わなければ細くなりますが、それと同じで、
脳も使わなければ衰えてゆきます。
積極的に第二の人生にチャレンジしましょう。

◆一年生になる

新しい人生に足を踏み入れる時に大切なことは、
プライドを捨てるということではないでしょうか。

大学駅伝で有名な監督の言葉です。
「高校時代に活躍した人が、大学で成功するとは限らない。
 高校の成功体験が邪魔をして、新しい練習に取り組めないからです。」

昔の仕事で立場のあった人も、第二の人生では初心者です。
子どもや孫くらいの年齢の先生から、教わることもあるでしょう。
「こんな若造や小娘に、頭を下げれるか」と反り身になると、
うまくいかないかもしれません。

介護の世界では、「老人を年寄り扱いしていると老けていく」と言われます。
「〇〇さん。聞こえますかぁ」と大声て話しかけたり、
「無理しなくていいですよぉ」と年寄り扱いしていると、
相手はその環境に適応しようと年寄りじみてきます。

逆に「〇〇さん、若いですね~」と回りから言われ続けると、
その気になってきます。
環境によって、心は変わります。

30代の運動の先生に、「ハイ、先生!」と、素直に従っていると、
20代に戻ったように錯覚し、若返ってゆくのではないでしょうか。


第一の人生が終わったら第二の人生の一年生、
それが終わったら第三の人生の一年生。
生涯現役を目指しましょう。

参考文献
青柳由則:『認知症は早期発見で予防できる』, 文藝春秋,2016

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