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〈主観〉認知症:現実に覚えがなく、現実が不確かになる

◆認知症は短期記憶の障害

認知症になると、記憶が障害を受けます。
記憶といっても、覚えておれる時間によって下記の3つに分けられます。

瞬時記憶・・・数秒の記憶
短期記憶・・・数分~数日の記憶
長期記憶・・・数十日~数十年の記憶

認知症では、短期記憶が最も障害を受けます。

「桜、ネコ、電車」の3単語を聞いて、すぐに復唱するのは瞬時記憶です。
数分後に思い出すのが短期記憶です。
認知症では、3つの単語をすぐに言い返すことはできますが、
数分後に思い出すことができません。
また、ここ数日の記憶があいまいになります。

認知症の人は、どのように実感しているのか。
その主観にせまってみます。

◆いつ買ったのだろう いつ置いたのだろう

認知症の人は、どんな体験をしているのでしょうか。
買い物をしてきて、冷蔵庫に入れようとすると、
同じものがいくつも入っている。
それをいつ買ってきたのか、思い出せない。
電子レンジを開けると、コーヒーやおかずが置いてある。
いつ、入れたのか、思い出せない。

似たような笑い話は日常あるでしょう。
それがすべて認知症ということではありませんが、
「あっ、忘れていた」と気づくのは加齢であり、うっかりです。
いつ買ってきたのか、いつ電子レンジに入れたのか。
まったく記憶にないとなると、うっかりではすまされません。

◆あなたから聞いた

話をしていると、「それ、あなたから聞きました」と言われる。
本当に私がこの人に言ったのだろうか。
覚えがない。

◆自分の字だが・・・

確かに自分の字だ。
数日前に書いたことになっている。
いつ、どんなときに、こんなことを書いたのか。
覚えがない。

◆約束を忘れる

私は約束を破ってしまったようだ。
相手は腹を立てている。
しかし、そんな約束をした覚えがない。

◆ここは どこだろう

車を運転していて、または、歩いていて、
「ここはどこだろう」「この交差点はどっちに行けばいいのだろう」
と分からない。
通り慣れた道なのに、初めて見る風景に見え、ここがどこか分からない。

◆この扉は何?

自宅にて、職場にて。
目の前に扉がある。
自分はどこかに行こうとしていたのだが。
この扉はなんだろう。
この扉で正しいのか。
向こうには何があるのか。

◆この人は誰?

「先日はどうも」と、声をかけられる。
この人は誰だろう。
相手は私のことを知っているようだ。
先日、この人と話をしたのだろうか。
覚えがない。記憶にない。

◆現実が不確かになってくる

認知症の人は、このような体験をしているものと思われます。
「覚えがない」「記憶にない」というのが本音でしょう。
軽症のころはしばらくすると思い出し、現実に戻ります。
しかし、症状が進むと不確かなことが増えてきます。

認知症の人は、“覚えがない”ことが増えてきて、
現実がどんどん“不確か”になってくるのが実感でしょう。

認知症にはなりたくない、家族にはなってほしくない、と切望します。
認知症の予防には、有酸素運動(ウォーキング)が有効です。

水戸黄門の歌にも、あるではないですか。
「泣くのがいやなら さあ歩け~」

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