新築住宅のシックハウス対策の「フォースター」は安全か
家を建てる時、
「シックハウス症候群の対策は大丈夫ですか?」と業者に尋ねると、
「うちはフォースターだから大丈夫です」という答えが返ってきます。
「フォースター」とは何でしょうか。
◆F4☆(フォースター)
2003年、国土交通省は、建材から出るホルムアルデヒドの量を、
星の数で4段階に表記することにしました。
最もホルムアルデヒドの放出量が少ない建材が、星4つであり、ホルムアルデヒドの頭文字のFをつけて「F4☆(フォースター)」と言います。
では、「F4☆(フォースター)」は安全なのでしょうか。
ある意味、F3☆スリースターより安全と言えますが、
それで健康被害は防げるのでしょうか。
F4☆(フォースター)は、ホルムアルデヒドの放散量を表しているだけであり、その他の化学物質については不問です。
ホルムアルデヒドだけでは不十分のため、2002年に13物質についての指針が出ました。
しかし、規制に引っかからないようにと、次々と新しい化学物質が生まれ、現在、危険な化学物質は1000種類を超えています。
とても測定しきれるものではありません。
中には、通常の1万分の1の超微量でも、
人体に害を及ぼす化学物質もあります。
昔は専門業者に約3万円の費用で依頼して、
家の化学物質を測定するという選択肢もありました。
たとえ、
「30種類の化学物質は基準内でした」
「トータル総揮発有機化合物は基準内でした」
という結果であっても、安全を担保するものではないでしょう。
◆無垢材の家
天然の木材を無垢材と言いますが、無垢材の家なら大丈夫でしょうか。
無垢材の家にも2通りあると思われます。
①無垢材を(も)使っている家
②無垢材しか使っていない家
①の「無垢材を使っている家」は、リビングなど、家族が集まる大きな部屋の床は無垢材ですが、その他は集成材や合板を使っている場合があります。
これでは、本当の意味で「無垢材の家」と言えないでしょう。
しかし、「無垢材しか使っていない家」は、かなり業者を選ばなければなりませんし、コストもかかります。
◆化学物質過敏症は他人ごとではない
部屋の壁がビニルクロスであった場合、
その接着剤は化学物質であり、無視できません。
接着剤を使わないようにするには、壁は漆喰か珪藻土にしなければなりません。
「そんなこと気にしていたら、何もできないよ」
そんな声が聞こえそうです。
化学物質対策は、取り越し苦労でしょうか。
私事ですが、5年ほど前から、化学物質に敏感になってきました。
ある、公共の建物の床のじゅうたんの貼り替えのあと、
接着剤の異臭が気になりました。
3年経っても臭いが消えないため周りの人に言ったところ、
「何もにおわないよ」とのことでした。
また、新しくできた映画館に数名で映画を見に行ったところ、
化学物質の臭いで映画どころではありませんでした。
吐き気を催して外に出ようと思いましたが、
お客さんは映画に熱中してか、誰もそんなそぶりはありません。
私は化学物質に敏感になってしまったことを認めざるを得ませんでした。
昔、数%しかいなかった花粉症も、今や3人に1人の多さです。
化学物質過敏症も決して他人ごとではないでしょう。
気をつけるに越したことはありません。
参考文献
柳沢幸雄:「空気に漂う危険な物質」,月刊保団連 1366:4-10, 2022