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〔介護を学ぶ14〕介護者に必要なのは、「ねぎらい」と「感謝」の言葉

◆サポーターになろう

お父さん(要介護者)の介護を、お母さん(主介護者)がしています。
この時、別居している娘の惣子さんの役割について考えてみたいと思います。

介護の大変さは、周りの人には分からないといわれます。
「心の負担」「体の負担」「経済的な負担」の三つの重荷がのしかかります。
心のバランスを崩して、「介護うつ」になることもあります。
年齢からしても、いつ病気になるかもしれません。

介護の目的は、「家族みんなが幸せになること」ですから、
これらの不幸は、なんとしても避けたいです。

そのために、要介護者と主介護者を取り巻く家族が、
サポーターになりましょう

◆話を聞こう

介護者を悩ませるのは「孤独」と「孤立」でしょう。
介護者に必要なのは、「話を聞いてくれる人」です

日々の苦しみや将来の不安を分かってもらいたいのですが、
他人の話を聞いてくれる人は滅多にいません。

友だちがいても、身内の恥をさらす訳にはいかず、
自分の苦労話をするのも気がひけます。
肉親に勝る「聞き手」はいないはずです

親子関係では、圧倒的に、親が子どもの悩みを聞いてきました。
そのため、親は自分の弱い部分を子どもにさらけ出せなかったり、
子どもは親の悩みを聞くことに不慣れだったりします。

まずは、電話などで、こまめに声を聴いてみましょう。

「子どもに心配かけたくない」という気持ちが強いため、
最初は「大丈夫。なんともない。心配しなくていいよ」と言います。
そのうち、「介護の悩み」「将来の不安」など、話をしてくれるようになります。
子ども以上に心強いサポーターはないからです。

◆主役はお母さん(主介護者)

親子の会話は、子どもが話の主役になりがちです。

子ども「聞いて、聞いて。昨日こんなことがあって、あんなこともあって、どう思う~?」
「そーか、そーか。大変やな」

これでは、どっちがサポートしているのやら、分からなくなります。

「お父さんの具合」から話を始めますが、
サポートする相手はお父さんよりもお母さんです
要介護者も心配ですが、一番心配なのは、主介護者の健康状態です。
「お母さん、体調大丈夫?」と、お母さんにフォーカスを当てましょう。

順番通りなら、次に倒れるのはお母さんなのですから。
お母さんが倒れると、当然、お父さんも倒れます。

◆最高のねぎらいと感謝を

主介護者(お母さん)は、要介護者(お父さん)から、
感謝やねぎらいの言葉をもらえていないのが普通です。

ものすごく頑張っているのに感謝されず、逆に不平・不満を言われたり、
暴言を吐かれたりすることも珍しくありません。

これでは心が折れるのも無理ありません。

どれだけ感謝されても、ねぎらいを受けても、釣り合うものではないでしょう。
それだけ苦労しているのが主介護者(お母さん)です。

「お母さん、すごいね」
「私が逆の立場ならできない」
「何か私にできることない?」
「ありがとう」

最高の感謝とねぎらいの言葉をかけたいですね。

参考文献
1)東田勉:『やさしすぎるあなたがくたびれないための介護ハンドブック』,大和書房,2019
2)NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン:『「家族介護」のきほん』,翔泳社,2021

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