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〔介護を学ぶ23〕歩くスピードが遅いと 介護が近い

◆介護の前兆

「介護は突然始まる」と言われます。
突然のように思われる介護ですが、それには予兆があります。

介護の勉強や準備は、いつ始めればよいのでしょうか。
介護になる前兆が現れたらでしょう。
そのサインの一つが「歩くスピード」です。

◆サルコペニアとは

「サルコペニア」を知っていますか。
ギリシャ語の「サルコ(肉)」と「ぺニア(減少)」を組み合わせた造語です。
「筋肉の量」「筋肉の力」「体の動き」の低下をサルコペニアと言います。

サルコペニアになり、体が思うように動かなくなると、
転倒や骨折のリスクが高くなります。

サルコペニアかどうかの指標が「歩く速度」です。

◆横断歩道を渡り切れるかどうか

サルコペニアになると、歩くのが遅くなります。
横断歩道の信号が青になってスタートし、
赤になるまでに渡り切れるかどうかが、一つの目安です。

「横断歩道を渡り切れるかどうか」の指標に驚く人は、体力のある人です。
若いころは、信号が点滅し始めてダッシュしても、渡り切れていました。
そのうち、「渡れるかな? どうかな?」とタイミングを測るようになります。
そして、万全の準備を整えて、青と同時にスタートするようになります。

歩く速度が0.8m/秒以下がサルコペニアの目安ですが、
これは時速2.88kmに相当します。
成人がすたすた歩く速度が時速6km、のんびり歩くと時速4kmです。
サルコペニアになると、一段と歩くのが遅くなってしまうのです。

◆親と散歩してみよう

石川啄木の短歌代表作の一つです。

“たわむれに 母を背負いて そのあまり かろきに泣きて 三歩あゆまず”

母をふざけておぶってみたら、
あまりの軽さに泣けてきて、
三歩も歩くことができなかったという歌です。

知らぬ間に、親はやせ衰えていた。
今まで苦労をかけてきたことを思うと、泣けてきて仕方がなかった。
と啄木は悲嘆しています。

こんな歌はどうでしょうか。

“こころみに 母と歩いて そのあまり 遅きに泣きて 三歩あゆまず”

母と歩いてみたら、あまりの遅さに泣けてきて、
三歩も歩くことができなかった。

親を散歩に誘い、一緒に歩いてみてはいかがでしょうか。
歩く速度でサルコペニアの程度が分かります。
あまりにも遅い場合、介護が近いかもしれません。

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