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3月15日 不可思議な空、不可思議なわたし。

4時半過ぎに起きた。
庭でおしっこをさせるために犬を抱えて外に出た。
空にはたくさんの星が瞬いていた。
半分に近い月が白く輝いていた。

何だろう。
こんな空は初めてだ。
民家の屋根のあたりまで星々がそれぞれの光で瞬いている。
雨の後空気が澄んで星がたくさん見えることがあるが、それとは違う。
その賑やかさ、華やかさのようなものはない。
静かだ。
とても静かに何かに満ち足りているような。
天頂からやや東寄りに赤青の小さな点滅がふたつ移動していった。
しばらくしても音は聞こえなかった。
視線を天頂の方に向けると、小さな白くぼんやりした光が西から東に静かに移動していった。そのまま見ているといくつもいくつも、ぼーっとした白い光が西から東に緩やかな弧を描くように移動している。見えるか見えないかの弱い光もある。
あ。
光を煌かせて星がひとつ流れた。
空を眺めながらうちに戻った。
天頂から西の方向にもぼんやりした小さな白い光はいくつも、頼りなげな弧を描いて西から東に移動していた。

不思議な気持ち。
少し寂しいような。
愛しいような気持ち。

ぼんやりした小さい白い光が魂のように感じたのだ。
生きている人間の。
生きていた人間の。
生きている動物の。
生きていた動物の。
わたしのたましいもあのなかにあって、
西から東にたよりなげに移動しているような気がしたのだ。

寝る前に、起きた時に、今は犬が年老いたためにそれ以外の夜中にも
外に出て暫し空を眺める。
今朝のように不可思議な事象に出会うと、宇宙にある自分という存在の不可思議を意識する。
地球で、アジアで、何のへんてつもない田舎の農家の庭に、老犬を抱えて立っている「いま」の底知れない深さ。
今、ここにあることの奇跡に触れて、心が震えた。

#エッセイ
#不可思議
#今ここ
#奇跡

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