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日本仏教13宗派と仏教系新興宗教まとめ

日本の仏教は、その歴史から13宗派に分かれ、13宗派からの枝分かれで56派に分かれています。また、13宗派に分かれて以降も、日本には仏教系の新しい新興宗教がたくさん生まれています。
ここでは、江戸時代までに成立した13宗派、および、明治以降にできた仏教系新興宗教のうち信者の多い主要な7新興宗教についてまとめます。

南部六宗(13宗派中3宗派)

飛鳥時代(593年~710年)、奈良時代(710年~794年)、主に奈良の平城京で栄えた宗派です。当初は6宗派(三論宗、成実宗、法相宗、倶舎宗、華厳宗、律宗)ありましたが、合併や自然消滅により現在は3つ(法相宗、華厳宗、律宗)のみが残っています。
檀家は持たず、お墓がなく、つまり、お葬式をしない宗派でもあります。
当時は選ばれし者のみの宗教であり、現在でいう研究機関(大学)のような役割でした。そのため、当時は宗派というより学派のような感じだったようです。
南部六宗の主要仏教施設はすべて奈良にあります。

法相宗ほっそうしゅう

ベースになっているのは、玄奘三蔵がインドから中国に伝えた仏教宗派と言われています。「唯識論」を唱えるなど哲学的で難解と言われています。

祖:基(窺基きき
時代:飛鳥時代
本山:薬師寺(奈良県奈良市)、興福寺(奈良県奈良市)
主な寺院:法隆寺(奈良県斑鳩町)、清水寺(京都市東山区)
本尊:阿弥陀如来

華厳宗

「一がそのまま多であり、多がそのまま一である」という思想です。審祥が東大寺において華厳宗の講義を行ったことで、日本国内に広まっていきました。

開祖:杜順
時代:奈良時代
本山:東大寺(奈良県奈良市)
主な寺院:全国の国分寺
本尊:昆廬舎那仏

律宗

鑑真が広めた宗派です。
あるべき姿を求めため、戒律を増やし、良い行いをすることで成仏できるという考えです。
僧侶になりたい人は戒律に従い具足戒を受ける必要がありますが、具足戒は男性の僧で250個、女性の僧では348個もの戒律が定められています。

開祖:道宣
時代:奈良時代
本山:唐招提寺(奈良県奈良市)
主な寺院:壬生寺、浄瑠璃寺(京都)
本尊:昆廬舎那仏

平安二宗(13宗派中2宗派)

都が京の平安京にあった平安時代の初期にできた宗派です。天台宗は最澄、真言宗は空海、共に日本人が中国で学び、日本で教えを説いたのが始まりです。
ちなみに最澄は天皇の加護のもと国費で中国に行き、空海は私費で中国に渡ったという違いがあり、その後の考えでも影響を与えています。実際は最澄と空海は仲が悪い訳ではなく会合していたようです。
南部六宗が政治に関わりすぎたのを恐れた政府は、天台宗、真言宗を擁護し平安二宗は広まりました。
政治に関わりやすい都会を離れ、山で教えを説いたのも特徴です。天台宗は比叡山、真言宗は高野山で教えを講じました。

天台宗

最澄が中国の天台山で学び、比叡山延暦寺で教えを開いた宗派です。
法華経の教えを重視します。円、密、禅、戒の全てを大切にしています。
ご本尊は阿弥陀如来が多いですが、特には決まっていません。
これ以降の宗派は天台宗から分派する形で広がっていきます。

開祖:最澄
時代:平安時代
3派とそれぞれの本山
・天台宗(比叡山延暦寺)
・天台寺門宗(園城寺(三井寺))
・天台真盛宗(西教寺)
主な寺院:寛永寺、輪王寺、中尊寺、浅草寺、四天王寺

真言宗

空海が長安で学んだ考えを高野山で広めた宗教です。真言とは真実の言葉という意味です。日本では唯一の純粋な密教で、多くの人に広く伝えるのではなく、信者のみに口頭での伝達する仕組みになっています。それまでの三劫成仏の考えから即身成仏の考えに変わっています。

開祖:空海
時代:平安時代
16派とそれぞれの本山:
・高野山真言宗(金剛峯寺)
・東寺真言宗(東寺)
・真言宗善通寺派(善通寺)
・真言宗醍醐派(醍醐寺)
・真言宗御室派(仁和寺)
・真言宗大覚寺派(大覚寺)
・真言宗泉涌寺派(泉涌寺)
・真言宗山階派(勧修寺かじゅうじ
・信貴山真言宗(朝護孫子寺)
・真言宗中山寺派(中山寺)
・真言三宝宗(清荒神清澄寺)
・真言宗須磨寺派(須磨寺)
・新義真言宗(根来寺)
・真言宗智山派(智積院)
・真言宗豊山派(長谷寺)
・真言律宗(西大寺)
主な寺院:新勝寺(成田)、平間寺(川崎)、護国寺(小石川)
本尊:大日如来

念仏系(13宗派中4宗派)

南部六宗、平安二宗は、選ばれし男たちが激しい修行してようやく悟りを開けるというものでしたが、徐々に庶民にも仏教が広がっていきます。激しい修行は不要という仏教の時代になります。
ここで紹介する4宗派は、念仏を唱えるだけという教えになっています。

浄土宗

法然はそれまでの修行による成仏を否定し、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えるだけで、死後、極楽浄土に行け、極楽浄土で修行することで成仏できると考えました。

開祖:法然
時代:平安時代
5派とそれぞれの本山
・浄土宗(知恩院)
・浄土宗捨世派(一心院)
・西山浄土宗(光明寺)
・浄土宗西山禅林寺派(永観堂禅林寺)
・浄土宗西山深草派(誓願寺)
主な寺院:平等院、高徳院、増上寺
本尊:阿弥陀如来

浄土真宗

法然の弟子である親鸞が広めた宗派です。
浄土宗と考え方は大きくは変わりませんが、極楽浄土で修行することなく成仏できるとしています。こうした考えは「他力回向」と言われます。

開祖:親鸞
時代:鎌倉時代
10派とそれぞれの本山:
浄土真宗本願寺派(西本願寺)
真宗大谷派(東本願寺)
真宗高田派(専修寺)
真宗佛光寺派(佛光寺)
真宗興正派(興正寺)
真宗木辺派(錦織寺)
真宗出雲路派(毫摂寺)
真宗誠照寺派(誠照寺)
真宗三門徒派(専照寺)
真宗山元派(證誠寺)
主な寺院:築地本願寺
本尊:阿弥陀如来

融通念仏宗

毎日百遍の念仏を唱えることが修行の根幹であるという考えです。
融通念仏とは、一人の念仏が全ての人のためになり、全ての人の念仏は自分のためにもなっているという考えです。
拠点を持たないという考えのため他の宗派に比べるとあまり広がらなかったとも考えられます。

開祖:良忍(りょうにん)
時代:平安時代
本山:大念仏寺
本尊:十一尊天得如来

時宗

一日6回決まった時間に念仏を唱えることから時宗と言われています。
また、踊念仏を行っていてことも有名で、盆踊りなどはこの踊念仏から派生したものと考えらています。

開祖:一遍(いっぺん)
時代:鎌倉時代
本山:清浄光寺(遊行寺)
本尊:阿弥陀如来

禅宗系(13宗派中3宗派)

鎌倉時代(1192年頃~1333年)、武家の時代に武士たちに禅が流行りました。そこから生まれたのが禅宗系の曹洞宗と臨済宗です。また、中国から来日した隠元が江戸時代に広めたのが、黄檗宗です。
禅宗系として3つの宗派を紹介していきます。

曹洞宗

悟りの手段に座禅を用いる禅宗の1つです。
曹洞宗では何も考えずただひたすらに座禅するという黙照禅が行われます。悟りを開くために修行(座禅)があるのではなく、修行(座禅)の中に悟りがあるという考えを持っているためです。

開祖:道元
時代:鎌倉時代
本山:永平寺(福井県吉田郡)、総持寺(石川県輪島市)
主な寺院:泉岳寺(東京)、修善寺(伊豆)
本尊:釈迦如来

臨済宗

悟りの手段に座禅を用いる禅宗の1つです。
臨済宗では、人の心は本質では仏と同一であるという考えのもと、問いに答えるいわゆる禅問答をする公案禅が行われています。(まんがの一休さんのイメージ)

開祖:栄西
時代:鎌倉時代
15派とそれぞれの本山
・臨済宗建仁寺派(建仁寺)
・臨済宗建長寺派(建長寺)
・臨済宗東福寺派(東福寺)
・臨済宗妙心寺派(妙心寺)
・臨済宗円覚寺派(円覚寺)
・臨済宗南禅寺派(南禅寺)
・臨済宗大徳寺派(大徳寺)
・臨済宗国泰寺派(国泰寺)
・臨済宗向嶽寺派(向嶽寺)
・臨済宗天龍寺派(天龍寺)
・臨済宗永源寺派(永源寺)
・臨済宗方広寺派(方広寺)
・臨済宗相国寺派(相国寺)
・臨済宗佛通寺派(佛通寺)
・臨済宗興聖寺派(興聖寺)
主な寺院:金閣寺、銀閣寺、瑞厳寺
本尊:釈迦如来

黄檗宗

考え方や作法は臨済宗とほぼいっしょですが、平安以降の宗派では唯一日本人ではなく中国人が開祖となっている宗派です。
中国的な思考が強いため、寺院は日本のものに比べてカラフルな施設が多く、念仏を唱える際、銅鑼や太鼓を使い音楽的要素が強くなっています。
開祖:隠元
時代:江戸時代
本山:万福寺
本尊:釈迦如来

否定系(13宗派中1宗派)

このサイトでは、便宜的に日蓮宗を否定系の宗派としました。日蓮は他の宗派を否定し、『真言亡国、禅天魔、念仏無間、律国賊』という言葉も残しています、真言亡国は真言宗は国を亡ぼす。禅天魔は禅宗は悪魔の修行。念仏無間は念仏を唱えても無限地獄に陥る。律国賊は律宗は国を亡ぼす国賊としています。
他の宗派を否定している日蓮宗は他の宗派からはもはや仏教ではないと言われることもあります。

日蓮宗

妙法蓮華経の教えを重視し、人の生き方と妙法蓮華経を一体化するという考え方がベースになっています。
開祖の名前が宗派になっている唯一の宗派でもあります。
13宗派56派としては、日蓮宗は1宗派1派ですが、実際は複雑に細分化されています。そのため、独立、新興宗教が生まれやすい土壌になっているとも言えます。宗派は一つですが、派閥はたくさんあるため、下記に記しました。

開祖:日蓮
時代:鎌倉時代
主な派閥と主な寺院:
・日蓮宗(身延山久遠寺、妙顕寺、立本寺、池上本門寺)
・日蓮本宗(要法寺)
・日蓮正宗(大石寺)
・本門流(本能寺)
・陣門流(本成寺)
・真門流(本隆寺)
・顕本法華宗(妙満寺)
・本門法華宗(妙蓮寺)
本尊:大曼荼羅

日蓮宗系新興宗教(4新興宗教)

日蓮宗は複雑に分離し、対立が繰り返される宗派でもあります。そのなかで、日蓮宗から現在、霊友会、立正佼成会、創価学会、顕正会など信者数の多い新興宗教が誕生しています。

霊友会

日蓮宗から独立した新興宗教。日蓮宗同様、法華経を重視してますが、特に先祖供養を大切にしています。霊友会自身も対立分裂し、立正佼成会等たくさんの分派教団ができています。

設立者:久保角太郎
時代:大正9年
本部:東京都港区麻布台
本尊:各自の先祖

立正佼成会

霊友会から派生した新興宗教団体です。考え方は霊友会に近いものの、人間の内面の修養を行いつつ、自他共に救われる修行を推奨しています。これを教団では「心田を耕す」と言っています。

設立者:庭野日敬
時代:昭和13年
本部:東京都杉並区和田
本尊:久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊

創価学会

日蓮正宗系の一派でしたが、1991年に日蓮正宗から破門され、独立した仏教系新興になっています。破門されたものの日蓮を信奉し、「人間革命」と「自他共の幸福」をめざす宗教団体になっています。
公明党の支持母体でもあります。

設立者:牧口常三郎、戸田城聖
名誉会長:池田大作
時代:昭和5年
本部:東京都新宿区信濃町
本尊:南無妙法蓮華経(文字曼荼羅)

顕正会

日蓮正宗内で、創価学会との対立が激化し、1974年に日蓮正宗から解散処分を受けたため、独立した新興宗教団体です。独立系ですが、創価学会同様、日蓮を信奉しています。

設立者:浅井甚兵衛
時代:昭和32年
本部:さいたま市大宮区寿能町

真言宗系新興宗教(1新興宗教)

真言宗在家からも新興宗教がうまれ広まりました。

真如苑

密教であり、出家して学ぶしかない真言宗ですが、在家もいました。在家のために経典をしめしてできたのが真如苑です。仏教の精神は融和であると言っています。

設立者:伊藤真乗
時代:昭和11年
本山:鎧檠山真澄寺(東京都立川市柴崎町)
本尊:久遠常住釈迦牟尼如来

独立系新興宗教(2新興宗教)

多くの新興宗教は、ある日、ある人が、私は神や仏の生まれ変わりだ。私が教祖だ。私を信じなさいという感じで始まっていますが、そのなかでも、現在信者の多い2つの仏教系新興宗教(世界救世教、幸福の科学)を紹介します。仏教系と言うのに違和感があるという人もいると思いますが、現在の仏教を知るという意味でも、このnoteでは2つの新興宗教も紹介します。

なお天理教は、仏教系独立新興宗教と思われがちですが、もともと教派神道でどちらかと言えば神社系なので外してあります。

世界救世教

神道系宗教団体の幹部だった岡田茂吉が、新しく作った新興宗教団体です。手かざしすることで除霊できるなどと言っています。また、芸術に明るくMOA美術館を開館しています。内部分裂も多く、多くの分派が独立している新興宗教でもあります。

設立者:岡田茂吉
時代:昭和10年
本部:静岡県熱海市桃山町
祭神:大光明真神

幸福の科学

大川隆法が霊的な真実を広め、人間にとっての本当の幸福を探究するとしてひらいた新興宗教団体です。大手新興宗教ではかなり新しい方です。出版や映画製作が多いのが特色のひとつです。2009年以降は政治活動もしています。

設立者および総裁:大川隆法
時代:昭和61年
本部:東京都品川区東五反田
主な施設:総本山・正心館(栃木県宇都宮市)
本尊:エル・カンタ

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