見出し画像

そろそろ、ということでもないのですが、異色の経歴についても少し書いていこうと思います。

ダイアモンド鑑定と宝石鑑別ができるヒトです

写真はGraduate Gemologistのディプロマです。略称はG.G.、ジジィじゃありませんよ。発行はGemological Institute of America、略称GIA、米国宝石学会です。
Graduate Diamonds(ダイアモンドの鑑定)と、Graduate Colored Stones(宝石鑑別)を両方修了するとGraduate Gemologistとなります。

日本では宝石鑑定士と言うと一般の方には通じるようですが、鑑定はダイアモンドにしか使わず、石が何であるか判別することは鑑別と言うので、宝石は鑑定しないものなのです。
(でも通じるのでつい使ってしまう……ジレンマはあります)

今はGIA Japanが撤退してしまったので、日本で取るのは難しいかもしれませんが、当時は東京ほか数都市に6か月の通学コースとたしか最長2年の通信コースがありました。私は通学で、東京校はジュエリータウン御徒町にあったため、卒業後も仕事のついでに恩師を訪ねていました。

そもそも、なぜこの道を目指したかというとですね、
「ダイアモンドはどうして硬いのだろう?」
「ルビーはどうして赤いのだろう?」
などという事に疑問を持ったのです。興味を持った当時はインターネットもなく、宝石の本も一般書店では見かけず、セールストーク以外の事は知らない店員さんが多い中、宝石店のバイヤーと仲良くなって色々な話を聞く中で、もっと学びたい!と思ったのでした。

宝石鑑別の有名なディプロマは、米国のG.G.と英国のFGAです。
毎年1~2月頃に、米国アリゾナ州のツーソン市で巨大な宝石・鉱物の見本市が行われますが、GIAのロゴが入ったルーペを首から下げていると
「君、G.G.取ったんだ?僕はDiamondを終えてColored stoneを勉強中だよ」
などと声をかけてもらうことが多かったです。

宝石の国、スリランカは英国領でしたので、宝石店や採掘現場に行くと
「君、プロだろ?」
とバレるものの、GIAのG.G.だと言っても
「そう?僕はFGAだよ」
と言われ続けて、ちょっとしたアウェー感がありました。

とはいえ、FGAとG.G.をダブルで持っている方も少数ながらいらっしゃいますし(というか、そもそもFGAもG.G.もそれほど数は多くないです)別に敵対しているわけではないので、馴染みの問屋さんにいるFGAの方とは
「こういう時、ウチはこうだけどGIAはどうなの?」
なんて情報交換することもあります。
FGAは、全国宝石学協会がなくなった時にはどうなることかと思いましたが、今は日本宝飾クラフト学院で取得できるようになっています。

こんなカリキュラムでした

私が取得した当時のカリキュラムは、ダイアモンド鑑定が2か月、その後に鑑別4か月でした。
月~金の9時から17時までで、毎週金曜朝にはミニテストがありました。ミニテストで60点取れないと、その時点でサヨウナラだったと思います。
ミニテストはその週やったことだけではなく、最初からその週まで習ったことでしたので、範囲がどんどん増えていきます。朝の通学時間は前日の復習、帰りは翌日の予習に充てていました。

毎日の授業は、座学あり、実習ありでした。
ダイアモンド鑑定の2か月が終わる時に、実技試験と筆記試験がありました。誰も不合格はいなかったと記憶していますが、そういえば途中で来なくなった人が一人いましたね……。

鑑別の4か月の最初のうちは、午前が座学、午後が実習でしたが、後半はもう丸一日実習でした。鑑別の実技試験を受けるまでに、最低1000石の鑑別をしないといけないのですが、実際、教科書通りでない石を沢山見ておく必要があるので、わりと進度が早かった私は2000石ぐらい鑑別したと思います。

この4か月の終わりにも、実技試験と筆記試験があります。
この実技試験が一番キツくて、4時間で20石を鑑別して、パーフェクトでないと受かりません。19石わかってもダメなのです。

さすがに最終試験ともなると、今まで実習で出てこなかったような石が出てきます。種類としては出てきたのですが、その中でもテキストに(稀)と書いてあるような色や形態があるのです。まあ、それがわからないと鑑別書なんて発行できませんからね。

7割ぐらいが(私も)初日で合格したので、翌日の追試を受けるクラスメイトに声援を送りつつ、筆記試験に備えます。先生によると、毎日受験人数が減っていくのもプレッシャーだそうです……が、2日目で全員合格した模様。

最終の筆記試験はさすがに難しく、常識で解くような問題もありました。
無事に全員合格し、ホヤホヤのGraduate Gemologist誕生!

卒業旅行を兼ねてツーソンへ

勤めてからはなかなか行けないと思ったので、Tucson Gem Showへのツアーに参加しました。受かる見込みで申し込んでいたので、受かって良かったです。
GIAのツアーらしく、LAからカールスバッドのGIA本校に寄った後にツーソン入りしました。クラスで仲良くなった隣の席の人と一緒に延泊して、グランドキャニオンとラスベガスを楽しんで帰りました。

宝飾系の国際展示はいくつかあり、当時はスイスのバーゼル(製品メイン)と米国のツーソン(裸石から製品まで)と、アジアでは香港だったように思います。バーゼルへのツアーもGIAで企画していましたが、スイスフランは高いし、私はやはり石メインなのでツーソンが合っていたようです。

Tucson Gem Showは、米国の色々な宝飾系の団体がそれぞれに展示販売や商談を行うもので、全体的な期間は1カ月ぐらいあるのですが、メインの大きなショーをいくつか見ようと思うと1週間ぐらいは必要でした。
コンベンションセンター、ホテルのボールルーム、広い駐車場に建てられた巨大テントが主な会場ですが、ホテルの客室やモーテルも会場になるので、宿泊施設が逼迫します。この時期、宿泊料金も跳ね上がります……。

会場が固まっている所が5カ所ぐらいあったでしょうか、それぞれシャトルバスが出ています。
少し離れたリゾートホテルとメインのコンベンションセンターを結ぶシャトルは、ハマーのリムジンだったことも!リムジンに乗ったのは、後にも先にもこれだけ……まぁ、日本の狭い市街地の道路ではカーブできないかも……。

ツーソンで話した人に言われたのは
起業しないともったいないよ!
でした。アメリカ人にも、出店していた日本人にも言われました。
「まずは、モノの回り方とおカネの回り方、業界の勉強をするために、どこかに勤めようと思って」
と言うと、まあ始めはね、と納得してくれましたが、さすがアントレプレナーの国だなと思いました。

今日はとりあえず、この辺で。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

528,911件

スキ、コメント、シェアも大歓迎! いただいたサポートは、カウンセリングルームを開く際の資金にします!