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合成石ではありません!

「ジルコン?ああ、人工のやつ?」
それはキュービックジルコニア(=合成石)のことでしょうか。
ジルコンはまぎれもない天然石です。

「12月の誕生石(ターコイズとラピスラズリ)は不透明だからイヤ」
と言う人に、タンザナイトとジルコンもそうだと伝えても、ジルコンは残念ながら上記のような反応を示されることが多いです。

成分として両方にジルコニウムは入っています。ジルコンはジルコニウムのケイ酸塩鉱物で、キュービックジルコニアは酸化ジルコニウムです。

色範囲は比較的広く、無色、ブルー、イエロー、グリーン、ブラウン、オレンジ、レッド、時折パープルがあります。

以前は12月の誕生石というとブルーのジルコンを指したようです
(と、鑑別の教科書にありました)
イエロー
グリーン

ケースに入っていないグリーンのジルコンを見て、この石なんだっけ……と眺めていると、ギラリとした光沢を見つけて「ああ、ジルコンか」とわかりました。
分散だったらデマントイドガーネットの方が高いのですが、独特のギラギラ感は屈折率の高さからくるものでしょう。

ダイアモンド類似石としてのジルコン

宝石鑑別になぜ石が持ち込まれるかといえば、純粋に何の石かわからない時もありますが、「ロットで買ったけれど全部○○ですよね?」という確認をしたい時もあります。

ジルコンは屈折率が高いので、無色のものはダイアモンドとの鑑別が重要となります。普通の屈折計では屈折率が高すぎて測れずOTL(Over The Limit)という扱いになりますが、ジルコンは複屈折、ダイアモンドは単屈折ですので、まあ拡大で見分けられるかな、というところです。

しかしですね。鑑別実習で”ダイアモンド類似石”セットを引くと、無色透明の石が10種類入っているのですよ。ダイアモンドが入っていることもあり、いないこともあり。なかなか気が遠くなるセットです。
(同様に、”翡翠類似石”セットを引いてしまうと、緑色不透明の石が10種類入っていて、共に実習の時「うげー」と言われるセットでした)

シャトヤンシー(稀)

と、テキストには書いてあります(シャトヤンシーはキャッツアイの正式な言い方です)。しかし、稀なものも存在するのが宝石界。

キャッツアイジルコン

スリランカ旅行の際、宝石博物館に付属のショップで買いました。
入場料無料ですが、日本ではなかなか見られない珍しい石を沢山見せてもらいました。

「うぉー、この石のこの色、初めて見た!」
「おぉ、キャッツアイのジルコン!」

などと、友人を差し置いて私が興奮していたので、なかなか見どころのあるヤツだと思われたのか、一般的な売場ではなく奥で椅子を勧められ、宝石がジャラジャラ入っているパーセル(紙包み)が次から次へと出てきました。
ならばと私もGIAのルーペを出してしまいました。

しかも、産地だからか安かったです。もちろん、大きくてもっと品質の良い石はそれなりにしましたが。

注意点

市場に出回っているブルーと無色の大半は、熱処理が施されています。熱処理した石は摩耗に弱いので、ぶつけたりしないようご注意下さい。

逆に、ファセット(面)稜線が摩耗していると、もしかしてジルコンかな?という手がかりにはなります。

ジルコンと読むのは日本だけで、海外では「ザーコン」と言わないと通じないそうです。言われてみればローマ字読みですね。

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