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春蛙秋蝉

こんにちは。

春蛙秋蝉。

これは「しゅんあしゅうぜん」と呼びます。

何の実質的な内容もなく、ただ騒々しいだけの言論のたとえ

の意味です。

春の蛙と秋の蝉。

想像してみて下さい。

季節を先取りして、闇雲に鳴いている蛙。
死をまねがれ哀愁にひたる蝉。

なんだか、いずれも味わいがあります。
まあ、意味としましては好意的なものではないのでしょう。職場などの陰口で、

「あの人って春蛙秋蝉だよね。もう少し、仕事に励めばいいのにさ!!」。

なんて聞いたときには、四字熟語に含まれる蛙や蝉のように悲しいかも知れない。いや、もしかすると何て面白い語彙を操るんだ、と好意を抱くかも知れません。

私は、こう言った皮肉を含んだ四字熟語や言葉は、かなり好きです。偽善の仮面を剥がし、人間の本質に踏み込んだ言葉だと感じるからでしょう。きっと。

この前、知人と話すことがありました。その中で、最近は四字熟語や諺を会話に交えることが減ったなあ、と話し、双方の認識の一致を確信しました。
これは、あまりよろしくない傾向にあるなあ、と。

言葉が単調になると、思考や思想が単調になり、いずれは文化や芸術が単調になります。もう既に、なっているかも知れません。

普段から会話に四字熟語や諺を交えていきたいなあ、と考える正月であります。

今年もよろしくお願いします。



花子出版    倉岡 剛


文豪方の残された名著を汚さぬよう精進します。