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雅楽は日本のサイケデリック・ミュージックだ!

新作ミュージックビデオ「光のどけき春の日に」が公開されました。

この楽曲は、百人一首で知られる紀友則の和歌--

ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ

古今和歌集

をモチーフに制作されました。
「昔の人もこうやって桜を見ていたのかなぁ」と、和歌が生まれた平安時代へ思いを馳せ、過去と現在、それぞれの時代に生きる私たちの、変わらぬ想いを感じるひと時。激しく変わり続ける世界で、変わらないものを感じるひと時。そんな時間が生み出せたらな、と思って生まれた「うた」です。


平安時代の響きを現代へ

今回は、雅楽のサウンドを取り入れることが一つの挑戦でした。
平安時代中期に完成し、原形のまま存在している世界最古の音楽芸術と言われる雅楽。その世界観は神秘的で、時空を超えるトリップ感はまさにサイケデリック。この感覚を、「古典を楽しむ」という聴き方だけにしておくなんてもったいない!
というわけで、
現代の感覚でその音世界を再構築すべく、笙や篳篥、太鼓、鞨鼓など、雅楽に特有の楽器サウンドに登場していただきました。

雅楽の魅力

私は、雅楽を専門的に学んできたわけではありません。
それでも、自分の心が感じる、心が動く瞬間がそこにはあります。

不協和な調和

雅楽では、一聴すると不協和音にも聞こえる独特の音使いの中に、不思議な調和が息づいています。異なる要素が互いを支え合い、共存することで成り立っている自然界のバランスが、そのままここに再現されているかのよう。全てを理解はできない、でも”確かにそこにある何か”を感じさせてくれます。

独特なテンポ

雅楽の演奏は機械的な一定のテンポでは進んでいきません。演奏者の息をひとつに合わせながら、独特なリズムが紡がれます。その自然な揺らぎは、機械的なテンポでは得られない生命の脈動を感じさせます。

そんなふうに感じる雅楽の魅力を、
花琵琶法師おこんとして、独自の解釈で再構築してみました。桜の下でこの音楽を聞けば、春の柔らかな温もりの中で感じる浮遊感と、エモーショナルな体験を味わうことができるはず。

花琵琶法師、おこんのこれから

おこんは、日本の古典文学や伝統音楽を再解釈することで、新たな音楽体験を生み出していきたいと考えています。今までのカタチでは気が付かなかった価値観が、まだ、そこにはある気がするのです。

それは例えば、
変化の激しいストレスフルな現代に忘れかけている、もっと大らかで、複雑な物事を複雑なまま受け止められる智恵かもしれない・・・それが、今回の楽曲制作で見え隠れした「次へのヒント」でした。

これからの活動も、お楽しみに。


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