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サクラの葉が舞い降りはじめました

 家の前の直線状の街路沿いには桜の木がずっと植えてある。敷地内にも一本の桜の木を植えている。秋分の日を迎えるこの季節になると、桜の葉が舞い降り始める。桜の木たちは、夏の間私たちに日陰を提供してくれた後、冬に向かってすべての葉を落としていく。

 これから一ヶ月位の間は頻回に落ち葉を集めなければならなくなる。今年ももうこの季節になってきたのかと感じる出来事の一つだ。

 四季の移ろいを、人生になぞらえて表現することがある。秋分のこの時期は、最盛期をちょっと過ぎて少し老いの気配を感じ始める頃と言えるだろうか。いやいや、桜の木は来年もきっと花を咲かせ四季を繰り返していくわけなので、人の人生は桜のあの葉の一枚と考えたほうが近いのかもしれませんね。だとしたら緑の葉が少し茶色味を交え始めた頃が、中年を過ぎ老年に向かう季節なのかもしれません。

 老いの気配を感じ始めたら、生命エネルギーに陰りが見え始める時期、つまり気が衰えて始める時期といえます。気は腎に蓄えられているので 年齢とともに人の気が減っていくことを腎虚と漢方ではよびます。

 腎虚の状態になってくると使う漢方薬の代表は八味地黄丸です。漢方薬局の宣伝用のぼりにも八味地黄丸はよく書かれていますからご覧になったことがあるかもしれませんね。腎気丸などとも呼ばれます。地黄を中心とした8種類の生薬から構成されている処方です。地黄が山薬、山茱萸と一緒になって人の気を補ってくれます。他にも水分バランスを整え、気や血の巡りを良くし、体を温めてくれる生薬も含まれます。漢方診療を行う医師の中には、4、50歳を超えたらみんなこれを飲んでいてもいいんじゃないのと言う人もいます。ただし人によると地黄が胃に応えて食欲がなくなってくる場合がある点にちょっと注意が必要です。

 腎虚を思わせる症状とすれば、夜中にトイレに行きたくなる、腰が痛くなら、下半身に力が入らなくなる、疲れやすくなる、目が霞む、男性として元気がなくなるなどが挙げられます。いずれも、老化かなと感じさせる症状ですね。

 八味地黄丸に加えて桂枝茯苓丸も一緒に服用しておけば、老いにうまく付き合っていけるとも言われています。腎の気を補い、血の循環を良くすることで体の状態をより良く維持できると言うことなのかもしれません。みんながみんなそれを服用した方が良いわけではありませんが、1つの服用の仕方として知っていても良いかもしれません。

 どのような人も老いから逃れることはできませんが、老いとうまく付き合っていけると良いですね。人生の終盤まで体の調子を整えて、この世に生を受けた短い瞬間をより長く味わえると良いですね。そのためにもうまく漢方薬を利用していただきたいと思っています。

 では、素敵な日々をお送りください。

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