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イライラするー!というときの漢方薬

 春だなぁと思うと、私はなんとなくウキウキ気分になるのですが、イライラするという方もおられます。漢方では、春には精神の安定にかかわる肝の調子が乱れて体調を崩すことが多いと考えます。そこで肝を整える柴胡を含む処方群や、黄芩と黄連が含まれた瀉心湯類と呼ばれる処方群を利用することになります。

 イライラというキーワードに対してよく使われる処方は、加味逍遙散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などが挙げられます。ただし、心身一如の医学である漢方では、様々な処方に心の安定につながるような生薬が含まれていることが多いですから、症状や体調に合わせて処方を考えると他にも利用できる処方はいろいろあります。

 加味逍遙散は、更年期障害によく使われる処方です。10種類の生薬のうち、柴胡、薄荷、芍薬が肝の状態を整えて心を鎮め、茯苓と山梔子も神経を鎮めてくれます。女性に使用することが多いですが、癇癪もちの男性にも利用されます。保険適応病名は、「体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症 :冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症。」となっています。

 抑肝散は、体力中等度の人で、神経過敏、興奮、怒りがち、いらいら、不安・不眠などの精神神経症状を目標に用います。これにも柴胡が含まれています。適応症は、「虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症。」です。

 柴胡加竜骨牡蛎湯はストレスでイライラ、ドキドキする人に使います。肝を整える柴胡、黄芩、神経を鎮める茯苓、竜骨、牡蠣を含む10種類の生薬から構成されています。私は、血圧を安定させるために、降圧剤と一緒に時折服用しています。保険適応は、「比較的体力があり、心悸亢進、不眠、いらだち等の精神症状のあるものの次の諸症:高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症、陰萎。」です。

 黄連解毒湯は黄連と黄芩を含む瀉心湯類に含まれており、心を鎮めてくれる処方です。癇癪持ちで高血圧傾向の人に使用し、鼻出血などを起こす人には冷たい水で服用してもらいます。皮膚のかゆみという訴えに著効することもあります。適応は、「比較的体力があり、のぼせ気味で、いらいらする傾向のあるものの次の諸症:喀血、吐血、下血、脳溢血、高血圧、心悸亢進、ノイローゼ、皮膚そう痒症、胃炎。」となっています。

 上記以外にも、心を落ち着かせる方向に働く漢方薬はいろいろあります。あなたも漢方ファンになって、普段の体調管理になどに利用してみませんか。

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