夏の冷え
暑くなってきました。今年(2022年)は、6月に猛暑日を記録するなどなかなかタフな夏になりそうな予感です。こうなると熱中症や夏バテが気になりますが、夏でも冷えを自覚する方もおられます。特にエアコンが苦手な方というのは、夏本番になると冷えを訴えることが多くなります。
私自身は冷え性ではありませんが、中年以降は氷や冷やした飲み物や食べ物を夏に摂りすぎると、体調を崩すようになりました。これも冷えが原因と考えられますので、用心するようにしています。お腹が冷えて体調がわるくなるようなときは、自分でお腹の胃のあたりを触ってみると冷えていることが多いようです。冷えているようでしたら、冷たいものを控えるようにしましょう。そしてお腹が冷えすぎて腹痛や下痢が起きたりするなら、真武湯や人参湯などが利用できる場合も多いです。
クーラーにやられたなぁと思ったら、やられてどこに不調が出てきたか見てみましょう。事務作業をしていて、肩や首が冷やされて血流が悪くなり、コリや痛みが出現してきたなら、葛根湯などが良いかもしれません。腰から下が冷えて、むくみまで出てくるようならば当帰芍薬散でしょうか。
ただ、一般的にクーラー病と言えば、五積散(ごしゃくさん)を思い浮かべることが多いです。16種類という多くの生薬で構成されています。気のめぐりと血流を改善し、胃腸の調子をととのえ、痛みを取るといった働きがあります。体力中等度の人を中心に、主として寒冷や多湿によって生じたと思われる下腹部痛、腰痛、四肢の筋肉・関節痛などに用いられます。一般的に、下半身の冷え、上半身ののぼせ、頭痛、項背のこり、悪寒、悪心・嘔吐、月経不順、月経困難などを伴うことがあります。
また、この時期は冷えるばかりではなく、部屋の出入りなどによって環境温度の大きな変化に身をさらすことになるので、自律神経のバランスをわるくしてしまうことがあります。いわゆる自律神経失調症といわれる状態です。そのような時には、加味逍遙散や柴胡桂枝乾姜湯なども選択肢に上がってきます。
なんとか暑い時期は体調を崩さずに済んだとしても、冷たいものを摂りすぎた体は、胃腸の調子を低下させていることも多いです。そうなると、9月から10月になり、気温が下がるころになってから冷えの症状が前面に出て、倦怠感、食欲不振などが出てくることがあります。いわゆる夏バテです。そうならないためには、夏の間の養生が大切になります。養生とともに、漢方薬もうまく利用できるとよいですね。
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