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もういつ死んでもいい

 ある程度の年齢になってくると、「もう十分生きたから、いつ死んでもいい。」とおっしゃる方が出現しはじめます。そういう方が、がん検診をうけたり、血液検査の結果を気にしたり、一生懸命血圧の薬を服用したり、体によいというものを求めたりという言動を見せることがあります。そこに生きる意欲が見えるので、おかしみを感じたりします。

 でも考えてみると、このありようというのは正しいし、そういう方は養生を実践できている可能性が高いのではないかと言えます。

 確かに、年齢的に十分生きたとおもえたとしても、私たちは当然死ぬまで生きています。お迎えが来るのはいいけれど、旅立つまではできる限り元気で、調子よく生きていたいと思うのは良いことですよね。つまり、健康寿命を延ばしたいということです。

 健康寿命と寿命との差は男性が7~8年、女性は8~10年というのが平均らしいですね。つまり、不健康で生きなければならない時間がそれほどあるということ。だれしも、不自由な中で長く生きるというのは、できれば避けたいと思います。いくつになっても、体を大切にするという姿勢は持ち続けたいものです。それは本人の人生にとってプラスとなるばかりではなく、家族にとって介護についやすエネルギーを他に向けられるという点も素晴らしいことです。また、医療費の点も見逃せません。健康寿命を延ばすということは、いいことがいっぱいというところでしょうか。

 健康寿命を延ばすには、栄養に気を付け、体をよく動かすということが大切です。また人とのつながりを保っていることも大切と言われていますが、これは人によるかもしれませんね。また、慢性疾患に対して、ずっと服用してきたお薬を、後期高齢者になっても続けなければならないのかどうかも一度チェックしたほうが良いと思います。

 そして、「年かなぁ・・・」と感じたら、体調管理に漢方薬を利用するのもお勧めです。漢方医の診察を受ければ、服用中の西洋薬との折り合いも考えながら、体質や体調に合った漢方薬を選択してくれると思います。自分にぴったりの処方に出会えると、体調管理がしやすくなります。

 なお、一般的に漢方では、加齢に伴い「気」が不足してくる、特に腎の気が不足してくる腎虚の状態になると考えます。これに対しては補腎剤と言われる漢方薬が第一選択となります。補腎剤は現代風に言えば、アンチエージング薬という意味合いになります。代表格は八味地黄丸です。疲れ気味で、排尿の具合に変化が見られ、腰痛や坐骨神経痛なども見られるようなひとに使います。含まれる生薬の地黄で胃の調子を崩すことがなければ、飲んでいて悪くない漢方薬だと思います。

 さらに、高齢になると血の循環も悪くなるもの。血の巡りを良くしてくれる、駆瘀血薬なども一緒に服用しておくというのもよい選択肢だと思います。代表処方は、これまで何度か出てきた桂枝茯苓丸ですね。

 いくつになっても、今日がこれからの人生の中で最年少。今日を大切にして、日々を積み重ねていきましょう。

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