見出し画像

双子が、ママになった日


大切な親友が、ママになった。
いや、彼女のことは今まで便宜上、親友という呼称を用いてきたが本当は親友ではない。
なので今日だけは、私たちにしっくりくる使い慣れた言い方で書きたいと思う。

大切な双子が、ママになった。
双子と言っても本当に血縁関係があるわけではなく、特別な関係性という意味での双子なのである。
コバルト文庫より出版されている「マリア様がみてる」という少女小説が私の青春時代からのバイブルになるのだが、深い仲の女友達はこの書籍をきっかけに出逢ったマリみて好きの淑女たちが多い。


物語はカトリック系の女子校リリアン女学園を舞台にしており、姉妹(スール)制度と呼ばれる特別な上下関係が存在する。
主人公の福沢祐巳という平凡な少女が、学園で人気者の上級生祥子さまに見そめられ姉妹になってから学園生活が一変してキラキラ輝き出すという王子様が不在のシンデレラストーリーだ。
※男性向けのライトノベルだが、女性同士の青春に憧れる女性たちの間でも根強い人気がある。

私が双子、もといゆみちゃんと出逢ったのも、自分の元姉からの紹介がきっかけだった。
当時の私には優しいお姉さまがいて、彼女には可愛い妹がいた。
けれども女性同士の世界なので、トラブルも至る所で発生する。
お互いの姉妹関係の相談を重ねるうちに惹かれ合い、年は離れているから本当はゆみちゃんが姉で私が妹という形が普通の形になるけれど、姉妹という上下関係のフレームは私たちにはしっくりこない。
だけど、普通の友達の枠で収まるには惜しいから二人だけの特別な名前を付けたいねという話から、花束の双子と名付けて今年で早7年の月日が経つのである。
私もゆみちゃんも、当時のお姉さまや妹とは姉妹を解消してもう連絡をとっていない。
けれど、お互い関係性に名前を付けてから、それぞれ新たなご縁に結ばれて私には姉が、彼女には妹ができてそれぞれのペースでリリアンライフを楽しんでいる。

そんな大切な双子がママになったのである。
今日のお昼に彼女から連絡が届いて、研究室で一人きりだったことをいいことにボロボロと泣いてしまった。
泣いた勢いで、彼女のことを一方的に話して聞かせていた友人に「ゆみちゃんに赤ちゃんが産まれたんだよ!すごいでしょ!!」と感情の共有を目的に、傍迷惑にも送りつけると、
彼は至って冷静に「フゥン。おめでとう! で、名前は?」と一番大切なことを訊いてきた。

……そや、そういや名前知らんわ。

そう。せっかくゆみちゃんから連絡を貰ったのに、私は彼女に「おめでとう」「身体は大丈夫?」「大好きだよ!!!!」と余計なことを
繰り返しうるさいチンパンジーの人形みたいに伝えるばかりで、肝心の赤ちゃんの名前を訊き忘れたのである。

ということで、ゆみちゃん。
これを読んだらリトルゆみちゃんの名前をこっそり教えてください。

改めて、ママになった記念日おめでとう。
たまには私とも遊んでね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?