#13.詩 「マガイモノ」

僕は自分が嫌いだ
思ったことをちゃんと相手に伝えない
嫌われたくないからと自分の言葉を飲み込んで
今日も僕は周りの意見に流される

否定されるのが怖いとか
これで喧嘩になりそうだとか
また、独りになるのが辛いとか

そんな不安が僕の身体の表面を纏わりついて離れない

周りの人からは

「お前って結構いい奴だよな」って
「あなたって本当に優しいね」って

そんな、何気ない一言が自分の胸に突き刺さる

違う、違うよ、違うんだ。

僕は、本当は、皆が思っている程そんな出来た人じゃないんだよ。
こんなの優しさとは言わないよ。
ただの自分の弱さだよ。

「それでも相手が喜んでいるからこれでいいじゃないか。」って
「相手を傷つけたくないからしょうがないよ。」なんて

心の中でもう一人の自分が慰める
こうして肯定しかない自分だけの都合のいい世界を創り上げるから

ほら、また嘘を並べた。

言葉を飾れば飾った分だけ自分自身が嫌になる

間違っているなら間違っていると
嫌なものは嫌だって
好きな人にはちゃんと好きだって

どうして誰にも話せない。
どうして相手に伝えない。


僕は
いつからこんな人間になった
いつからこんな人間になった
いつからこんな人間になった


いや、ずっと前から、小さい頃から変わっていない。
気付かなかっただけで
僕はずっとこんな人間だったんだ。


これは嘘で塗り固めた本当の自分
いい人を演じたマガイモノ。

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