感想:ハウルの動く城シリーズ

1.魔法使いハウルと火の悪魔

2.アブダラと空飛ぶ絨毯

3.チャーメインと魔法の家

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ


●あらすじ

1.7リーグ靴や姿隠しのマントが本当に存在する世界のインガリー国にある、帽子屋の長女ソフィーは、荒れ地の魔女に老婆の姿に変えられてしまう。この姿で知り合いに会いたくないソフィーは、半分やけになって、乙女の心臓を食らうという悪評判のハウルの城に居座ってしまう。

ソフィーは元に姿に戻れるのか。


2.インガリー国の南の国のバザールに住んでいる、アブダラは魔法のじゅうたんを買い、軟禁状態で暮らすお姫様と出会う。が姫は悪しきジンに連れ去られてしまう。そのことで、王様(スルタン)の怒りを買い、瓶に閉じ込められたジンニーを使い、異国の元傭兵と共に姫を助けるためにインガリーの城下町を目指す。

アブダラは、無事姫を助けられるのか。


3.インガリー国近隣のハイ・ノーランド国の本の虫みたいな女の子、チャーメインは、国王陛下が王女とともに行っている蔵書の整理を手伝いたくて、王様に手紙を出す。そこに、宮廷魔法使いの大おじさんの魔法の家の留守番をすることになってしまう。さらに、弟子希望の男の子ピーターがやってきて、ただでさえ洗い物と洗濯物だらけの家は大変なことに。

しかも、王国はお金が消えて大変らしい。そのことで、インガリーの宮廷魔法使いハウルの奥方ソフィーが王女に招かれてやってくる。連れてきた男の子はやんちゃで大変。

チャーメインは、ゆっくり本が読みたいだけなのに、いつになったら蔵書が読めるのか。



●感想(書評ではなく、ただ思ったこと)

1作目の「魔法使いハウルと火の悪魔」は、1986年にイギリスで出版された児童書。「ハウルの動く城」上映の前に、母が買ってきてくれて、「アブダラと空飛ぶ絨毯」を読んで印象に残っていたお話。

久しぶりに読みたくて、Kindleで買っておいたものがようやく読めた。

3作目のチャーメインと魔法の家は、2008年に書かれた(日本語訳は、2016年)ので、映画上映後に書かれたものみたいで、今回が初めてでした。


約20年ぶりなので、楽しかった記憶が大きく膨らんでいてがっかりするかも、という思いは杞憂に終わり、40代の大人が読んでも、わくわくして、物足りないことは何もなかった。特に、魔法使いハウルと火の悪魔(以降、魔法使い……と記載)のハウルは、30年以上前に書かれたとは思えない魅力的な人物で、心奪われた。

ラストから6個目のセリフはウィットに富んでいて、児童書とは思えない。(映画にもあるのかな?)

ちなみに、ソフィーの言葉の悪さが気になって、英語版をKindleで買って読んでみたが、普通の英文なので、翻訳者の西村さんが全体の雰囲気から読み取ってそうしているのだと思われる。映画でも翻訳ものは、結構口汚く書かれていることが多いので、外国の方は口が汚いことを日本人ほどは気にしていないのかもしれない。(それが普通とか)でも、翻訳するときは、読み手の感覚に合う形での翻訳の方がちゃんと伝わるんじゃないかと思った。
(ちなみに、脳内では、あんた→あなた/きみ、に置き換えて読んだ)


なぜか覚えていたのが、アブダラ……の黒猫ちゃんたち。

ハウルとソフィーの出番が少なくて寂しいのだけど、2人の仲睦まじさを感じられるキャラクター達。この子達はときどき不意に私の心に現れる。これまでたくさんの本を読んできたし、たくさんのキャラクターに会ったけど、こういうキャラクターはなかなか珍しい。

近頃、仕事がちょっと辛かったので、現実逃避したいときに現れていたのかもしれない。この物語は私に現実を忘れさせてくれるので。


日本では、かつて女性は可憐で大人しい方が良しとされてきた文化があるけど、アブダラのお姫様もソフィーもチャーメインも気が強くて正義感があって総合的に強い女性達。イギリスでは、そういう女性像が人気なのかな?


チャーメイン……でも、ソフィーとハウルのやり取りは読めたけど、二人のラブラブぶりはなく、しばらくハウル×ソフィーレスに陥りそう。(というか陥っている)

原作者は2011年に亡くなってしまっているので、続きを読むことができないのは残念だけど、こんなにワクワクして現実を忘れて没頭させてくれて本当に感謝です。

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