感想:終わりなき夜に生まれつく

終わりなき夜に生まれつく 恩田陸
https://www.amazon.co.jp/dp/4167914174/ref=cm_sw_r_apan_glt_i_YFVDZ3RERP8MSDY807ZT

●あらすじ
特殊能力を持つ人々がいる世界のお話。
日本にある特殊能力者がたくさん生まれる特別自治区「途鎖国」で生まれた特殊能力者たちを主役にした短編集。

世界が同じであるだけでなく、1作に登場する人物が次の作品にも登場したり主人公になったりするので、連作短編集といってもよいと思う。

恩田ワールド全開、といった、ホラーミステリー。

●感想

裏表紙に「『夜の底は柔らかな幻想』へと続く鮮烈な作品集」と書いてあったのだけど、読む頃にはすっかり忘れて、巻末の解説を読んで、スピンオフ作品であることを知って驚いた。つまりは、先行して執筆された「夜の底は柔らかな幻」を読んでいなくても、十分楽しめるストーリー、構成になっていた。

冒頭は、アフリカの紛争地で活動する、医療ボランティアチームの「みつき」を主人公に、夜になると「悪魔」が住民を惨殺する村を舞台に、特殊能力を示す「イロ」と「途鎖国」について丁寧に説明がされる。

2作目は1作目から数年前、途鎖国内の大学キャンパスを舞台に、1作目に登場した「勇司」を主人公に描き、途鎖国や途鎖国内に住む人々の自由への渇望のようなものが感じ取れる作品。

そして、3作目4作目で、短編集として単独で十分楽しめる完結された話でありながら、「夜の底は柔らかな幻」へと繋がっていく。

これは、もう読むっきゃないでしょう。

タイトル自体は何度か目にしていたけれど、あまり食指が動かず、購入に至っていなかった作品。
(多分、帯のコメントや、あらすじに記載されている内容が好みと違ったのかと思う)

基本的に、裏表紙のあらすじなどを読んで、買うかどうか決めている。
(ので、本屋さんをうろうろして新しい出会いを楽しむ方)

なのだけど、小説の面白さは筋ではなく、そこに肉付けされた表現だったり、登場人物の心の動きである。
そのことをすごく実感した。

あらすじは、地雷避けにはなる。

けど、あらすじだけ読んで、面白くなさそう、って排除してしまうのはもったいないことだと、教えてくれた。

と、あまりこの短編集自体の感想は書けなかったけど、スピンオフの元となった作品を読みたくなった。と言うのは、とても面白かった、ということが伝えられるので、良しとします。

(言語化能力が低いなぁ。感想書いていても、なかなか身につきません)


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