名前

名前がたくさんある。
真っ当に生きてきた。

母が脱衣所で素っ裸のときに
偶然立ち会わせたら、ケダモノ呼ばれる。

母が機嫌のいいときは
ピっピ、ペッペ
と言われる。
兄と私しかいないので、恐らく我々をさす。
一度どちらかピッピでどちらがペッペかと尋ねたら

どっちでもいい

と言われた。

兄はうん◯こと呼ぶ。
幼きころに父が愛称で
うーこと私を呼んでた。

それがうん◯こに聞こえたらしく
大人になったいまもうんこ◯と呼ぶ。

素直に受け入れてるので
兄の呼びかけに元気よく返事した時は
両親に、貴女う◯んこなの?と心配された。
けど何も気にならない。

大人になってこっそりはじめた
お酒を作るお店では、はなちゃんと呼ばれる。

ゆきちゃんと呼ばれてた時期もある。ゆきちゃんは、オーナーとチィママの仲の悪さに挟まれて居心地悪くてすぐ辞めた。

いつだったか好きになった殿方には
おっぴぃちゃん
と呼ばれそうになって断固拒否をした。

おまんじゅう
と呼ばれたこともある。
学生時のバイト先で酔っ払いに
オネーチャン、おまんじゅうみたいだねと言われたことがきっかけで昔のハンドルネームをおまんじゅうにしていた。

年頃の女子にとってのおまんじゅうは、それはそれは屈辱的でじぃさんのニヤニヤした顔が忘れられなかったけど

ある程度、年を重ねると褒め言葉だったと気付いた。そもそも悪意がない。

それに気づいてからは、
おまんじゅうです。食べても美味しくないと思います。けど食べたら癖になる味かもしれません。
とキャッチコピーみたいなのをつけてSNSを楽しんだ。

変なオヤジには一度食べてみないとね♡みたいなクソリプとか来たけど、その他に悪い人はいなかった。

父は私を一度リカだか、リエと呼んだことがある。
二人の間に何とも言えない冷たい空気が流れたが
ヘラヘラ笑いながらすぐに父が本題に戻した。

成人もしてたので、元気なおっさんだなくらいにしか思わなかった。

それ以来、父はお前と呼ぶ。
もちろん戸籍の下の名前にちゃん付けして呼ぶことが一番多い。

戸籍の名前も嫌いじゃない。
両親からの初めてのプレゼントと、世間では言われることが多いが

我が家は、兄からのプレゼントらしい。
ユキノ?佳乃?などの名前の候補の中に戸籍の名前もあり悩んだ両親は兄にどれがいい?と聞いたら

わかんなーいといって何処かに遊びにいってしまったそうな。

だが、ご近所さんに
赤ちゃんの名前決まったんだってね!お兄ちゃんが言ってたよーと母に話しかけたらしく、それが戸籍の名前だったらしい。

それで名前が決まったと聞いたことがある。

ココでは、名前はいらないと思っている。
真実はしらん。けど、令和には古風な名前が渋くて気に入ってる。

私だと気付いても知らない顔をしてほしい。
いつ辞めるかもわからない。
犯罪を犯すようなことはしてない。これからもきっとしない。そんな根性がない。

ただ毎日を楽しく暮らしたいだけで
隠れ家になればくらいにノラリクラリポツラポツラと始めます。

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