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“お下がり”あり?なし? 配慮したい子どもの気持ち

 子どもはあっという間に大きくなってしまい、せっかく購入した洋服や靴がすぐにサイズアウトしてしまうことがありますよね。親戚や友達などからお下がりをもらって、助かった!という方も多いと思います。
他にも三輪車や自転車、習字道具や裁縫セットなどわざわざ新品を購入しないであるものを使いたいと感じることもあるのではないでしょうか。
そんな”お下がり”ですが、実は子どもの気持ちに配慮できるかどうかで、子どもの性格に大きく関わってしまうことがあり注意が必要です。
今回は、お下がりについての記事を書いていきたいと思います。

<このnoteは『COTETE Labo』掲載記事です>

お下がり、あり?なし?

 兄弟や親戚、お友だちなどから、使わなくなったものを譲り受ける『お下がり』。最近ではフリマアプリ等でも簡単に中古品を購入することができ、利用している方も多いと思います。
では、子育てをしていく中でお下がりを使用するのはどうなのでしょうか?

お下がりに関しては、価値観の違いが大きい

お下がりが“あり”か”なし”かは、ご家庭の判断、お父さんお母さんの価値観に大きく左右されるといえます。
・すべて新品を使いたい。2人目以降は、兄弟間でのお下がりならOK
・親戚、友達からのお下がりはいいけど、フリマなど見ず知らずの人はちょっと嫌
・汚れが目立たないなら中古品でも大丈夫!
・子どもが使うとどうせ汚れるから、もともと汚れていても気にしない!
このように、様々な価値観がありますので、あり・なしとは一概には言えないのが現状です。

物心がついたころからは、子どもの気持ちも重要に

 「2番目、3番目だから」もしくは「近所にお下がりをくれる子がいるから」とお下がりを当たり前にするのは要注意。
対応の仕方によっては「自分は新品を買ってもらう価値のない人間」と考えてしまうことがあります
大袈裟に思えるかもしれませんが、実際にそのように思い、とても素敵な人なのにも関わらず、自己肯定感がとても低い知人がいます…。
ですので、その子の人格形成に影響を及ぼしてしまう可能性に十分に注意しましょう。

それでは、お下がりを利用するときのNG例をご紹介します。

NG例1…兄弟間で明らかに差がある

「まだ使えるのに新しいのを買うのはもったいない」と言われるから、いつも仕方なく姉のお下がりを使っている次女。
あるとき、親戚の人からお下がりをもらった。当然姉が使うのだろうと思っていたら、姉は新しい物を買ってもらって、そのお下がりは私が使うことになった。納得ができなかった。
兄、自分、妹の3人兄弟の真ん中。小さいころから兄のお下がりを使ってきた。じゃあ、妹は僕のお下がりを使うのかと思っていたのに、妹は「女の子だから」と新しい物を買ってもらっている。
お父さんもお母さんも、僕には新しい物を買いたくないんだろうな、可愛くないんだろうな、愛されていないんだろうなと幼いながらに感じていた。

この2件は、実話です。特に下の子は、どうしてもお下がりになりがちだと思いますが、それはあくまでもご家庭の都合。
当人にとっては、お下がりに納得しきれていない子も多く、お父さんお母さんの対応によっては「愛されていない」と感じてしまう子もいるため注意が必要です。

特に3番目の子の性別が違うなどの場合は、上の子・下の子だけ新しい物を買ってもらえ、真ん中の子はいつもお古で我慢という状態になりやすいです。兄弟間で差がつかないように配慮したいところです。
家庭の事情、金銭的な問題もあるかと思いますが“兄弟”と一括りにするのではなく、子ども一人ひとりに目を向けてあげましょう。

NG例2…使えないもの、使えるけど恥ずかしく感じるものをお下がりにする

 お下がりにする場合、「まだ使えるから」という理由が多いですが、本当に“まだ使えるもの”でしょうか。
その物を使い続けることで、お子様は“恥ずかしく感じる”ことはありませんか?

例えば、
・筆がカチカチの習字道具セット
・他の子と並ぶと明らかに黄ばんでいる体操着
・色あせて糸もほつれかけている上履き袋
・黒ずんだ上履き
・6年間使われて傷だらけ、ぺしゃんこのランドセル

このようなものを、「まだ使えるから」とお下がりにしようとする人がいます。しかし、実際に使うのは子ども自身。
物を大切にする気持ちは素晴らしいことですが、同時に、不自由なく使えることもお下がりの最低条件。
「もらったからそれを使おう」「上の子のがあるからそれでいいか」そう思う前に、もう一度、本当に不自由なく使えるものか確認しましょう。

NG例3…名前の書き直しをしない、直し方が汚い

「兄弟だからわかるでしょ」と名前の書き直しをしなかったり、黒く塗りつぶされているだけなど、名前の部分が適当になっていることで悲しい思いをしてしまう可能性があります。
幼稚園や小学校などの先生が、その子の名前ではなく、お下がりに記入されている名前で呼んでしまったり「お父さんお母さんにちゃんと名前直してもらって」と注意されてしまうこともあり、嫌な気持ちになってしまうことがあります。

兄弟ではない名前のものを使っている場合、友達に「誰だよ~」とからかわれてしまうということも。
また、名前が違うことにより、自分のものだという意識も持ちにくい場合があります。
お下がりに使うときは、名前の部分もしっかりと直してあげましょう。

上手なお下がりの使い方は?

 それでは、親としては使って欲しいお下がりを、子どもに負担なく使ってもらう方法をご紹介いたします。
ポイントは、子どもの気持ちに寄り添うことと、上手な声掛けになります。

1、声掛けで変わる、印象

「裁縫セットはお姉ちゃんのがあるから、わざわざ買わなくていいよね」
「あなたの机は親戚のお姉さんがくれるから、買わないからね。ちょっと古いけど、物は良い物なのよ」
「え?ランドセル?もらったものがあるから買わないよ」
上記のような声かけは、実際使う子が悲しい気持ちになりやすいです。自分には選択肢がなく、尚且つ雑な印象を受けやすい声かけには注意が必要です。

「お姉ちゃんが買った裁縫セット、もう使ってなくてもったいないから、それを使ってくれる?足りないものがないか一緒に確認しようね」
「お兄ちゃんが着れなくなっちゃった服、捨てちゃうのもったいないから、気に入ったやつがあったら(弟)くんが着てくれる?部屋着でもいいよ」
「親戚のお姉さんが、あなたに机をくれるって言ってるんだけど、どうする?お姉さんが大切に使ってたもので、すごく高級なんだって!」

このように、声かけ一つで印象がだいぶ変わります。また、「使ってくれる?」と確認することで、押し付けではなくなり、子どもの意見を聞くことができます。
我が子だからと適当になってしまうのではなく、言われた側の気持ちになった声かけができるといいですね。

2、どうしてお下がりを使ってほしいかを伝える

「上の子のがあるから」「あんまり使わないのに買うのはもったいないから」などという事情は、大人の都合です。
そのような事情を含め、子どもに伝えることが望ましいと言えます。

「お兄ちゃんのときに買ったんだけど、今はもう使っていなくて、まだ使えるのに新しい物を買うのはもったいないから使ってほしい」
「お姉ちゃんがとても気に入っていた服なのだけど、着れなくなってしまったから、(妹)ちゃんもきっと似合うから着てほしい」

「あるから使って」「あるから買わない」のではなく、丁寧に接するように心がけましょう。また、このときに実際に現物を見せて、まだ使えるか・気に入るかどうかを一緒に確認できるといいですね。

我が家の“お下がり”成功談

 我が家の長男・次男は2歳差。更に生まれ月が一緒。
…これはぜひともお下がりを積極的に使っていきたいところですよね(笑)
しかし、次男が嫌な思いをするのは避けたく、試行錯誤しながらお下がりを使ってきました。結果、中学生になった今でも自ら兄のお下がりをほしがるように…!!その子の性格にもよりますが、一例として我が家の方法をお伝えします♪

◎お揃いの洋服を着せる

 可愛かったからというのもあるのですが、兄弟でお揃いの洋服をよく着せていました。すると、兄が着れなくなった服でも、自分が着てきた服と同じデザイン。違和感なく受け入れ、着てくれました!

◎使えないものはどんどん処分

汚れているもの、やぶれているもの、明らかにボロボロなものは、無理せずどんどん処分しました。このことで、次男の中で『二番目に生まれたからなんでもお下がりにしないとけない』という気持ちがなくなったそうです。
“使えるもの”だから使うを意識しました。

◎代わりに別の何かを購入してあげる

「僕は新品を買ってもらう価値がない」と思ってしまわないよう、お下がりを使ってくれることで浮いたお金を一部次男に使うようにしていました。
戦隊ものの人形1個とか、お兄ちゃんに内緒のアイスとか(笑)そんな小さなことでも、次男は特別を感じて嬉しかったようです。

◎次は新しい物を買おうという約束

黄色が好きで黄色い自転車に乗っていた長男ですが、次男は紫が好き。
紫の自転車がいい!とお下がりを拒否した次男ですが、「練習してるうちに転んでせっかくの紫自転車がボロボロになっちゃうよ。」と言うとハッとした顔に。
「乗れるようになって、大きくなったら次は紫の自転車にしよう!」と約束すると、黄色い自転車を使ってくれました!

◎丁寧に名前を直したり、飾ったりする

名前を直す際に布テープを貼って完全に隠すようにしたり、好きなキャラのワッペンを貼ったりと工夫をしました。
また、好きなシールを貼って次男が好んで使えるようにもしました。

このように、次男の気持ちに寄り添うことで、「お兄ちゃんばっかりずるい」という気持ちを持ちにくかったように感じます。実際、次男からそのような言葉を一度も聞いたことがありません。

最後に…

いかがでしたでしょうか?
中古品より新品がいいという気持ちは大人でも子どもでも同じ。
でも家計のためにはお下がりも使ってほしいですよね…。
とはいえ、子どもの人格形成に影響してしまっては大変です。
使う側の気持ちに寄り添うことを大切に考えてみてくださいね。
この記事が、みなさんの参考になれば幸いです!


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