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夢のような話

春クールのアニメであった、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」を全話見終えた。感想というか思ったことを書かせてほしい。

まずあらすじを簡単に言うとこのような感じである。
家出少女を酔っぱらった独身のサラリーマンが家に泊めるという場面から始まる。これだけ見ると普通にやばそうな話である。(現実世界では手を出さなくても身内でもない大人が未成年を家に泊めるという行為は犯罪)
しかし、現実ではまずありえないことは分かっているが、この男、彼女に絶対に手を出さないのである。それどころか半年以上彼女を家に泊め、彼女を同居人として扱い、彼女と本気で向き合って家出の原因を解消するという⋯

全話見終えてまず始めに思ったことは、なんて夢のような話なんだろう、、ということである。特に第12話、第13話(沙優と吉田さんと兄と母親が対面して話し合いをする場面)は涙なしに見られなかった。
多分自分を彼女に投影していたからだろう。なので彼女側に立って思ったことを書かせてほしい。

全大人が吉田さんのような大人になればいいのに。

多分現実で何か事情を抱えている高校生くらいの家出少女を見つけても、見て見ぬふりをするか、自分の欲望のために家に泊めるか、良くても家に帰るよう説得するか警察に届ける程度だろう。実際に警察に届けたところで家に返されるだろうし。このどれもが本当の解決方法にはならない、と私は思う。
家族が居場所になっていないからこそ逃げているのに、、その問題から周囲の大人が目をそらしたり、家出したあなたが悪いと一方的に決めつけ、逃げるなといってすぐに連れ戻そうとするのは違うように思う。確かに家出することで家族や出先で関わってくれた人に迷惑をかけるのは間違いない。しかし何の理由もなく家出をするわけもない。せめて話を聞いて欲しい。甘えなのは分かってはいるけど問題から距離を置いてみないと分からないこともあるし、毎日問題と関わっていると問題と向き合おうと覚悟することも難しい。吉田さんのように沙優のそれまでに身についてしまったゆがんだ考えを間違っているとはっきり指摘したり、しっかり保護してくれて、一緒に本気になって問題に向き合ってくれるような大人であれば尚良い。が、そんな誰かも分からないような人間の面倒なことに関わりたくないというのは本音だろう。それも分かるし、彼も結局沙優に恋愛感情のようなものを抱いていたからこそできたことでもあるとは思う。

しかし、問題を抱えている側からしたらかなり救われる。
例えば、吉田さんの沙優に対する「基準を低く持つな」「ここはお前の家じゃないが、お前のいていい場所」をはじめとする言葉や、沙優の母親に対しての態度や沙優のために土下座までするその姿勢。ここまで自分のことを想ってくれる大人が誰かいたらよかったのにな、、と思ってしまう。さすがに親に土下座までして子どもと向き合ってくれとお願いする人なんかいないだろう⋯すごい。どうして赤の他人にそこまでできるのか不思議で仕方ない。
そしてその強い思いに沙優の母親も動かされ、やはり外部の人でないと響かない言葉や態度もあるんだなと思った。
正直兄の立場が一番大変そうではあると感じた。兄は沙優の気持ちも分かるし、母親のケアもしないといけない。そう考えると沙優に完全に味方してしまうと自分のせいで母親の状態がもっと悪くなるというのは容易に予想できる。完全に板挟みだし、簡単に沙優の気持ちにもっと寄り添えとも言えないだろう。まあ家に居場所があるに越したことはないが。

個人的には沙優と吉田さんの関係は理想的すぎた。少女漫画や恋愛ドラマに恋する少女の気持ちがなんとなくわかった気がする。笑
どんなに誘われても絶対に手を出さない吉田さんには正直惚れた。
沙優もこんなにいい人に巡り会えて羨ましい。。吉田さんみたいな人いないかな⋯

画像引用元→http://higehiro-anime.com/

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