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五七五のつぶやき(2)

枯れ桜 光蟲舞う 風姿
(かれさくら ひかりむしまう かぜすがた)

川沿いに桜並木があります。
秋なので枯れ葉もほとんど散り落ちて、数える程度の葉を枝先にはためかせている桜の木です。
山に沈もうとしている陽の光をうけて、年季の入った幹がじんわり明るくなっていました。

そんな枯れ桜の近くに、たくさんの虫が飛び交っていました。
太陽の光で白く光るその虫たちは、桜から散っている花びらのように、大気を柔らかく巡回していました。

そんな虫たちが、まるで風の姿かたちを映し出しているように見えました。
実際は、風はほぼなく、穏やかな秋の西日でしたが、虫たちが風の姿を映し出しているようにも感じられるそんな一時でした。

簡単な詩を綴ります。

西日うけ
ほのぼの浮かぶ
枯れ桜
枯れ葉は少し
数えるばかり
あたりをユラユラ
蟲たちが
陽光うけて
煌めいて
あたかも春の
花びらが
ゆっくり宙に
舞うように
風なき午後のその宙に
風の姿を描くよう
花びら蟲が舞っている



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