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高校球児に見る『「因」と「果」その間の「縁」』

 私は夫と大学4回生の長男、大学1回生の長女と京都の田舎に住んでいます。
 子どもたちは共に小学2年生から高校3年生まで野球をしていました。(娘は高校ではマネージャー)だから去年の夏まで、子どもらの野球をサポートしながら、私も青春を分けてもらっていました。

 我が家は高校から近いこともあり、風向きによってグラウンドから球児たちの声や金属バットで硬球を打つ音が聞こえてきます。最近は家のまわりの草引きをしながら聞こえてくる「1.2.3.4.......」「5.6.7.8......」「オー」などいった大きな声に、感慨深く自分がグラウンドに通っていたことを思い出します。子どもたちは、とっくに野球は卒業して次の目標に向かって走っているのに、私ときたらいつまでも思い出から抜け出せずにいるんですよね~。

 野球というスポーツは、絶対王者といわれているような強豪校と戦ったとしても、どちらが勝つかわからないといった面白さがあると思うんです。そこには「流れ」というものが関係し、この目に見えない「流れ」を試合の中で見ることが野球の醍醐味であり、私はとても心が高鳴るのです。

「流れ」はどこから? なぜ?

 息子は高校時代、いつも7時半から朝練をしていました。1週間の中で水曜日だけは朝練がなかったのですが、同じ時間に学校に行き、みんなで部室やグラウンドのトイレ掃除などをしていました。これってお釈迦様がおっしゃっている、因果の法則ですよね。善いことすれば善い結果、悪いことすれば悪い結果ということです。
 部活の練習のような直接的なことだけでなく、履物をそろえることとか、誰にでも挨拶をするなど、一見野球には関係ないと思える間接的なことも、全員が一生懸命やることでチームに見えない力が働き、大事な時に流れが来るということに繋がるのではと思います。
まさに「因」という直接的原因と「縁」という間接的条件があいまって、起こることです。

 また、一つの事柄を、ある時はガッツリその中に入って主観的に見る、そしてまたある時は、その中から出て俯瞰して見る、そういうものの見方をすることで、プレイ中も何が起きているのか、次にどういうことが想定されるかなど、冷静に見ることができ、そして自分が何をすべきかを判断できるのではないでしょうか。さらには心の目で全体を見つめ、心がココ! と思うところに力を注ぎ、そして小さなことに注意を払う。

 野球のおもしろいところは、ホームランは別として、ヒット1本では点が入らないというところです。いくらヒットが多くても、ランナーを進めなければ点を取ることができません。時には自分が犠牲になることでチームに貢献することだってあります。送りバントや犠牲フライなどはまさにその代物です。

 野球などスポーツに限らず、何かに打ち込むということは、体の奥底から熱くなるものだと思いますが、「全力でやる姿」というのは高校生ぐらいだと格好悪いって思いがちですよね。

でも、

高校球児たちは凡打でも全力で走り、守りにつく時も全力で走っていきます。誰かが見ているからやるのではなく、誰も見ていなくてもやれる。
そういう姿勢がほんとすてき!!

例えばこんな試合

後攻、スコアは0-1と1点ビハインドの9回裏の攻撃、1アウト1、3塁といった場面。

ピッチャーが投球姿勢に入ろうとした瞬間、1塁ランナーが飛び出します。すかさずピッチャーは1塁へ送球!

「だめだ! やられた!」

ハッとしますよね。

ところがランナーは塁間ではさまれ1塁へ2塁へとボールと共にアウトにならないように行き来します。

と、その様子を見ながらタイミングを見て3塁ランナーがスタート!そしてホームイン!同点~!
こんなシーンありますよね。これぞ自分を犠牲にして、チームに貢献するということ。

9回、とにかく同点にして、ふりだしに戻すぞという気迫を感じます。自分の成績を上げたいという気持ちが少しでもあれば出来ないプレイです。
その後、バッターが四球を選び、すぐさま盗塁。そしてツーアウト2塁で、次のバッターのライトオーバーのタイムリーツーベースによりサヨナラ勝ち。

こういう試合を見るとしびれますね。

 チームのために今自分がすべきことを考え、いろんな場面を想定し、次の準備をしているからこそ動けるものです。何も考えていなければ自分が塁間で挟まれて時間を稼ぐなどできません。
タイミングを見てホームへ走ること、四球で出塁した時、次のワンヒットでホームに帰るために盗塁をすること、すべて状況を見て判断してこそ、そして仲間を信じてこそのプレイです。

 子どもたちが現役の頃は、いい試合を見たらその余韻に浸りながら気分よく、美味しいビールを飲んだものです。当時私は、一眼レフカメラで選手たちの写真を撮るのがちょっとした趣味になっていましたので、その日撮った写真の整理をしながら、いい写真にニンマリし、そしてまた冷えたビールをひとくち飲む。

あ~! サイコーじゃねぇか!

わが子がグラウンドにいるからできたことです。

今では、グラウンドから聞こえてくる声で、今日が練習か試合かを探っています。いつもより大きな、そして多くの声が聞こえている時は練習試合で間違いなし!
そのうち首から一眼レフカメラをぶら下げてグラウンドに行きそうだわ。そして高校球児を撮る痛いおばちゃんになってそう……
いっそ、名物おばちゃんになってやろうか(笑)

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