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ケーキのクリームと記憶

私には、わりと小さい頃からの記憶が残っている。

記憶力がいいわけではないと思う。おそらく、何度も何度も、記憶を反芻する癖があるのだ。

それは、簡単に引き出せる記憶の引き出しとなって、増えていく。


その時 私は、モンチッチのぬいぐるみをあてがわれて、撫でくりまわしていた。

目の前には、白くて大きなケーキ。

(ああ。美味しそう。ちょっと食べてみてもいいかな。我慢できないな。)

(今なら、誰も見てない。よし。)

指ですくって、口に入れてみた。

(ああ。甘くて美味しい。)


そんな記憶がずっとあった。


物心ついた時、自分のアルバムを見て、ハッとする。

口の端に、生クリームのついた、1歳の誕生日の写真。

バレている。。

それにしても、この時の記憶が1歳の時のことだったなんて。

他にも、0歳の時の記憶もいくらか、ある。

目の前にあるハサミを使ったら、怒られるかな。と思いながら、大人の目を盗んで、1万円をハサミで切ろうとして、取り上げられたこととか。

階段から落ちて、駆け寄った大人たちが、「痛くない、痛くない」と言うので、「痛いのに痛くないなんて言わないで!」と激怒したこととか。


そういう記憶が私にはあるので、子どものことは(赤ちゃんのことは)何もわからないと思ったことがない。

むしろ、なんでも聞いているし、わかっているし、考えている。

赤ちゃんだから言ってもわからないと言っている人がいたが、そんなことないのにと思っていた。

だから、私の子育ては、子育てじゃなく、人育てとして始まった。

実際、娘は、0歳の時から、私の言葉をよく理解しているようだったので、さらに確信した。

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