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下書きの下から十六番目

「雰囲気で選ばれた言葉だろうから言った人は何も悪くないんだけど、

かわいらしい、はカチンときた」


一つ前の下書きに引き続き怒っている。

これは覚えている。アルバイトで某有名企業のトップと言われている人におしぼりを渡した時だ。(その頃していたアルバイトは少し特殊で、様々な有名企業の幹部を接客することがあった。)

おしぼりを渡した時、「アルバイト?かわいらしいね。」と言われた。自分でもわかるくらい露骨に顔の筋肉がピクッとなった。(マスクがあればなぁ)

私は些細なことでもすぐに緊張してしまう。気を許している友人との電話も、何度も重ねたはずのデートも、車の運転も、コーヒをカップに注ぐときも、大学でのプレゼンテーションなんて毎回気分が悪くなるほど緊張する。

この日もいつものように緊張していた。緊張しながらも面倒だなぁと能天気な自分をどこかで意識しながら、適当にニコニコして次々にくるお客さんの対応をしていた。

少し遅れて登場したのが、あの、私の表情筋を動かしたおじさま。(きっと悪い人ではない。)

彼の登場で周りの大人たちがそわそわするから、私の緊張感も高まっていた。

その緊張も伝わっただろうし、私はまだまだ経験の浅い未熟な学生に見えたのだろう。別に構わない。と思えるはずなのに、すごく馬鹿にされた気がした。こう感じた時点で本当に未熟。

そしてそれを一瞬で見抜くおじさま。

見抜かないでほしいこともあるよね。せめて気づいてないふりをしてほしいときとか。

居心地の悪さや自分への嫌悪感から腹を立ててしまった。

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