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大好きだよ。

実家の犬が昨日亡くなりました。
16歳と6ヶ月でした。

わんこはわたしが飼いました。
いや、買ったが正解です。
高校3年の冬、売れ残っていた彼がどうしても気になった。
3万円、バイト代で払える金額だった。
両親を説得したが先客がいてキャンセル待ちだった。
先客がキャンセルしたので翌日迎えに行った。
当時反抗期真っ只中の不安定だった高校生に世話をする責任感と愛情を注ぐ事を教えて欲しくて、両親は飼う事を認めてくれた。
けど私と一緒に居たのは5年もなかったかもしれない。

馬鹿なやつだと言ってくれ。
高校卒業して仕事でヘトヘトと言い訳をして散歩も短かった。
もっと遊んでやればよかった。
もっと散歩に行けばよかった。
もう長く無いと連絡が来てから後悔しかなかった。

彼は生後半年で目の手術をした。
そのまた数ヶ月、若年性白内障になった。
なりやすい犬種だった。
東京の有名な病院で手術を両親にお願いした。
50万以上はした。
無事に手術は成功し元気になって帰ってきた。
両親が手術費を貸してくれた。
わたしは手術代を稼ぐために掛け持ちのバイトをした。
そこで出会ったのが今の主人だ。
彼は私と主人のキューピッドだった。

それから主人と結婚し、実家を出ることになった。
結局彼の世話をしてくれたのは母だった。
彼は私のことはおやつをくれる人だっただろう。
彼のママは母だ。
実家近くに転勤になりマイホームを買っても彼を引き取ることは出来なかった。
娘が喘息だったからだ。

ただお金を出しただけで母にも迷惑をかけた。
ただ買っただけのクソ野郎だ。

けど、うちに来てくれて幸せだったかな。
目の手術をした以外病気や怪我ひとつしない。
雪でも台風でも外でしかトイレをしなかった彼が足腰悪くなってからシーツでトイレを覚えてくれた。
介護も長引かなかった。
本当にいい仔だった。

長く無いと連絡が来てから後悔で涙している私に主人は今出来ることを精一杯してやれと送り出してくれた。

母が仕事の日は私と妹で世話をした。
ずっと横で話しかけたり撫でたり体位を交換したり。
あんなに大きかったのに、肋が見えるほど痩せてしまって。
食欲がないと言っていたので食べれそうなものや好物を買った。
ただ食べてくれる、飲んでくれる、それだけで嬉しかった。
もう少しだけ、もう少しだけ一緒に居たいと思う反面、もう無理しなくていいよと思う気持ちで訳がわからなかった。

毎日朝妹から来る連絡が怖くて仕方がなかった。
連絡がないと心配で実家に行ってはずっと実家にいた。
娘の学校すら付き添えず娘も見守ってくれた。
けど最期には立ち会えなかった。

ほんの5分前まで一緒にいたのに、車を移動している間に亡くなった。
娘達と妹で最期看取ってくれた。
母も用事があり看取れなかった。
あと5分、たったそれだけだったのに。
悔しくて切なくて悲しくて仕方がなかった。
いつまでも泣いていたら逝けないね、と急に冷静になり体を清め、ソファの上にベッドを敷いて体制を整えた。
保冷剤で冷やさないといけなかったけど、冷たいまま母に合わせるのが酷だったからしなかった。

娘が明日学校だったので主人に早く帰宅してもらえるようお願いしたので迎えに来てくれた。
主人の顔を見たら赤ん坊のように泣いた。
泣き喚いた。
妹や娘の前では姉、母で居た。
けどやっぱ主人の前ではわたしだった。
耐えれなかった。
母が帰るまでに泣けと言われて泣いた。

そしてお腹だけ温かい時間に母が帰宅した。
泣き喚く母を見ては背中をさするしかできなかった。

苦しまずに逝ったのだろうか。
今は先に逝ったわんこと走っているだろうか。
先に逝ったわんこが亡くなった時、わたしは高速2時間の場所に住んでいたし、妊娠中だったから母に帰らず待っていなさいと言われたから会えなかった。
骨壷に入ってから会ったんだよな。
会いに行きたくてもいけなくて辛かった。

最期にはいれなかったけど、1週間毎日そばに居たり一緒に昼寝したり、ご飯をあげたり。
それしか出来なかったけど許してくれるかな。
飼い主とも名乗れない奴を許してくれるかな。
元気だった時、匂いでわかるのかリビングに入るとすぐ呼んでくれたよね。
お尻フリフリしてくれたよね。
嫌いじゃなかったかな。
母より大好きじゃなくていいから好きだったと思っていてくれたらいいなあ。

馬鹿野郎、オレはそんな心狭い犬じゃねえって。
なんて言ってくれるかな。

後悔してももう何も出来ないから。
命あるもの、ペットは特に必ず人間より先に逝くから。
文鳥達の事、しっかり見てろよ。って教えてくれたね。
娘達もしっかり伝わってるよ。

ねえ、うちの仔になれて幸せだったかな。
幸せだったといいな。
彼と母に感謝を。
兄さんわんことたくさん走ってご飯食べてね。
兄さんわんこと喧嘩しないで仲良くしてね。
本当にありがとう、大好きだよ。









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