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心を穏やかにしてくれるのは何者か

以前の同僚が脳梗塞で倒れた。
確か、まだ30代だったと思う。

幸いにもパートナーが側にいたため、すぐに救急車で運ばれた。
処置が早かったおかげもあり1ヶ月ほどで退院できるらしいけれど、麻痺が残れば以前のような日常をおくれるようになるまでには時間がかかるだろう。

まじめな性格だったと記憶している。
グループ長も勤めていたけれど、メンバー想いでお得意さま想いだ。
人知れず努力をしてきただろうし、無理もしてきたのかもしれない。
職場復帰までゆっくりしっかり休んでくれればと思う。

こんなとき私はいつも「コトが起きた意味」を探してしまう。
だって「運が悪かった」で済ませるには残酷だから。

見えざる何者かが警鐘を鳴らしていると思えば、ほんの少し心が軽くなる。

***

何者かの存在は子育てを経験するようになってから、より意識するようになったと思う。

あー、(気持ちも体も)疲れたなー。有休もらって休もうかなー。
と休めそうな日を探しているときに限って、まるで「私も休んで遊びたいよー」とでも言うかのように娘が体調を崩す。

先日も、有休をもらったタイミングで娘がインフルエンザに罹った。
当然、私も娘からもらいました......

そうなると1日の有休どころではなく、1週間はまともに仕事ができない。
正確には、仕事に “ならない”。
家事はすべて夫にお願いし、私と娘はひたすら “上げ膳据え膳” のお姫さま状態。

これは、何者かが「ゆっくり休んでいいよ」って言ってるのかも!? なんて思ってしまった。

***

何者かは夫のもとにも現れた。

職場の愚痴がとまらなくなっていた頃だった。
愚痴が出るうちはまだいいけれど、何も言わなくなったら危ないかな......
と心配していた矢先、コロナに罹った。

2~3年前、私と娘が罹ったときは、ひとりだけ元気だったのに。
先日、私と娘がインフルエンザに罹ったときも、ひとりだけ元気だったのに。

声は擦れ、食事は幼稚園児ほどしか食べられなくなり、ほぼ寝ているだけの生活が1週間も続いた。
最後の日曜日も朝から晩まで、(もう体調は回復していたはずなので)休息を嚙みしめるかのように寝ていた。

明日から仕事に行けるのかな? と私の方が不安になったけれど、月曜の朝にはまだ擦れる声で「行ってきます」と言って出勤した。

なんだか、何者かが「たっぷりと休んだらいいよ」と言っているような気がした。

***

ここまで書いてなんだけど「何者か説」は都合がよすぎるとも思っている。
起きたことに意味なんかなくて、説明できる原因があると考える方が自然だ。

だって、娘の通う幼稚園では当時、コロナにインフルに溶連菌まで流行っていたし、夫の職場には(絡みはなかったと言っていたけれど)家族がコロナに罹った同僚がいたらしい。
(…いや、もう絶対にそれが原因だと思うけど!)

けれど。

顔も名前も知ってるアイツのせいにするよりも、何者かが警鐘を鳴らしていると思う方が穏やかに過ごせる。
…ような気がしている。

少なくとも、私の周りの半径1メートルぐらいは穏やかだ。


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