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空想世界詩 ‐海民‐

ここでない場所。
今でない時代。

これは、異なる世界で語り継がれた物語を、詩という形で綴った作品です。



<海の男たち>

港の酒場で
ジョッキを重ねて

呑めや唄えや
大騒ぎ

手を打ち鳴らして
足踏み響かせ

陽気なダンスに
酔いしれる

明日の我が身は
わからぬものと

今を楽しみ
エールを煽る


<戦いへの船出>

強い風
吹きすさぶ

崖の上から
見下ろす海は

大きくうねって
白波をたてる

暗い空には
雷光が走り

大地を穿つ
雨は激しい

世界を覆った
飛沫(しぶき)の緞帳(どんちょう)

大海原を
暗く呑み込む

軋んだ船で
漕ぎ出す人々

戦(いくさ)へ向う
命は不知火(しらぬい)


<船唄>

俺たちゃ海に
生きる水夫だ

海のことなら
誰にも負けねぇ

たとえどんな
荒波だろうと

必ず乗り越え
進んでく

俺たちゃ船に
生きる水夫だ

船の上なら
誰にも負けねえ

たとえどんな
困難だろうと

必ず乗り越え
進んでく

大凪(おおなぎ)だろうと
大時化(おおしけ)だろうと

俺らにかかれば
何のその

海魔だろうと
海竜だろうと

俺らにとっちゃ
屁のカッパ


<魔海の戦い>

雷鳴が如く
轟音が響く

最期の力を振り絞り
光弾が放たれる

業火に焼かれる
災媧の魔獣

咆哮を上げて
崩れ落ちる

母なる海へと沈みゆき
灰塵に帰す

その様
目に焼き付ける人々

勝利を分かち合い
凱歌をあげる

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