見出し画像

楽天モバイルがiPhoneを扱うワケをUXの観点から考察してみる

こんにちは、いつものあきにゃん(@aki_hamuinu)です。

先日(4月22日 15時)、携帯業界をいろんな意味で席巻しているあの楽天モバイルがとてもビッグな発表を行いました。
某掲示板等で以前から噂されていたので個人的にはさほど驚きはなかったのですが、楽天モバイルがいよいよ正式にiPhoneを取り扱うという内容でした。

4キャリアの中でポイントバック込みで一番安くiPhoneを手に入れられるのは楽天モバイルだけ!
楽天もばぁーいぶ(≧∇≦)!!!

これを読んでいる方の中には「日本人はみんなiPhoneなんだからそのくらい当たり前でしょ!」などと仰せの方々も多いかと思いますが、実は、楽天モバイルがiPhoneを扱うことになったのはそのような程度の理由ではなく、しっかりとした意図や根拠があるのでは?ということを、ユーザー体験(以下UX)の観点から考察してしてみました。

日本国内でiPhoneはスマホの代名詞

みなさんは、普段スマホは何を使ってらっしゃいますか?
おそらく半数くらいはiPhoneユーザーで、残りの半数はAndroidユーザーではないでしょうか。

iPhone、良いですよね、個人的には(iOS8くらいまでは)とても洗練されたOSで、使い方もとてもシンプルですし、普段使いの道具としてはとても理にかなったデバイスだと思っています。
さすがスティーブ・ジョブズさんが関わっていただけあるなぁ...と思います。(ホント惜しい人をなくした)

ジョブズさんのスゴさについては、当時の基調講演の動画などを見るのが手っ取り早いです。
例えば、これ。

そんなiPhoneですが、かつて10年ほど前にソフトバンクがiPhone3Gを大々的に売り出して以降、長らく日本の3大通信キャリアはiPhoneを異常とも思える大幅割引で、さらに数万円にも及ぶキャッシュバックもつけて、実質0円で大量に日本の携帯ユーザーへばら撒いていました。
そういった3大キャリアの涙ぐましい努力もあり、iPhone出たての2012年ころは、iPhoneの国内シェアが初めて1位になったこともありました。

一時期は猛威を奮ったiPhone勢ですが、その後のAndroidOSの改良や各Androidメーカーの努力もあって、最近では少しづつAndroidのシェアも増えていき、現在では両者がおよそ半々くらいのシェアとなっています。

そういった経緯から、少なくとも日本国内ではスマホといえばiPhoneといったような、ある種の一般常識のようになっているのです。

日本の携帯業界の常識を覆す新規参入

そんな中、某「わたし、失敗しないので」役の女優さんが「日本のスマホ代は高すぎるヽ(`Д´#)ノ!!!」といったセリフとともに登場した楽天モバイル。
文字通り「常識を覆す」1年無料とともに新プラン「Rakuten UN-LIMIT」を引っさげて新規参入してきたのです。
その後約1年弱ほど経った今年の初めころ、楽天モバイルは「Rakuten UN-LIMIT」をバージョン6にアップデート(Rakuten UN-LIMIT VI)し、段階制プランを取り入れますが、ここでも常識を覆してきました。
なんと、1回線目のみ「1GBまでは無料(料金0円!)」なのです!

無料で通話やメッセージが使えたり1GBまで無料でインターネットが使えるのは楽天モバイルだけだね!
楽天もばぁーいぶ(≧∇≦)!!!

Rakuten UN-LIMIT VIの発表とともに、楽天の自社端末やポケットWiFiが実質0円や一括0円でばら撒かれたことも相まって、今年に入ってからは一気にシェアを伸ばすことになった楽天モバイル。
まだまだエリア展開の弱さやプラチナバンド獲得などの大きな課題は残っていますが、なんとか累計契約申込数が390万回線に達するまでに成長しました。

着実に大手4大キャリアの一員としての道を歩みはじめていますね。

楽天モバイルが抱えている足枷(あしかせ)

Rakuten UN-LIMIT VI(1GBまで無料)の登場で契約数を伸ばし、さらに自社端末を実質0円や一括0円などでばらまき、あとはエリア展開が進行すればそこそこのシェアが取れるであろう楽天モバイル。
そんな楽天モバイルにも1つの弱点がありました。

それは、「iPhoneを正式に取り扱っていない」こと。

実は、1年前のRakuten UN-LIMITサービス開始頃から非公式ではあるものの、iPhone 12シリーズやiPhone SE(第2世代)を問題なく利用する事はできていました。
上記で挙げた機種は、楽天回線とパートナー(au)回線の自動切り替えにもなんとか対応していて、東京都心部の地上などエリア展開がしっかりしている地域では、他キャリア同様に問題なく使う(ただし4Gのみ)ことができていました。
それでも、これらの機種では楽天回線で5Gが使えなかったり、少し古いiPhoneでは裏技を使わないと楽天回線そのものが使えなかったりと、正式に取り扱っていないがゆえの制約は依然として存在しています。

ところが、先日の楽天モバイルの発表により、今月末から少し古めのiPhoneなども正式に対応したり、新たに今月下旬からiPhone 12シリーズやiPhone SE(第2世代)を正式に取り扱うことになったのです。

iPhoneユーザーで楽天モバイルを使っていたり、楽天モバイルを検討していた方々にとっては朗報だったかと思います。

なぜ楽天モバイルはiPhoneを取り扱うことになったのか

ではここからがこの記事の核心なのですが、そもそも「なぜ楽天モバイルはiPhoneを扱うのか」について、わたし個人の考え(持論)ですが、UXの観点から説明していきます。

一般的な答えとして真っ先に浮かぶのが「iPhoneユーザーが多いから」だと思いますが、それだけではありません。
理由としては大きく2つあります。

1.日本国内のスマホシェアの約半数がiPhoneで、それらを取り込むことでさらなる売上アップを見込めるため
2.3大キャリアのiPhoneユーザーに、既存の使い勝手はそのままに、料金の低廉化という新しい体験を訴求できるから

1.についてはビジネス的な側面が強いです。
今までの楽天モバイルは、Androidユーザーと「1GBまで無料」に目がない一部のiPhoneユーザーのみがターゲットでした。
そもそものターゲットが日本国内の携帯ユーザーの半分もいなかったであろうといった感じの母数です。
そんな中で、1年無料や自社端末実質0円や一括0円、1GBまでは無料などのいろいろな施策を通じて契約者を増やしてきた経緯があります。
それらを行ってもまだ累計契約申込数が390万回線ということを考えると、それまでの無料やばら撒きだけでは今後の回線数増加が大きく見込めるとは考えられません。
そういった中で、ターゲットをAndroidユーザーのみではなくiPhoneユーザーへも広げることで、単純計算で一気に約2倍の母数を得られることになります。
ターゲットの母数が2倍になることで、既存と同様の施策を行ったとしても今まで以上の回線数増加につながるわけです。
楽天モバイルにとっては、今までと同じようなコストで、より大幅な契約増につながるのであれば、やらないわけには行かないでしょう。

2.については、ターゲットのユーザー体験向上を行うためです。
今まで大手3大キャリアでiPhoneを使ってきた人たちにとって、今までと変わらないかそれ以上の速度で、iPhoneも問題なく使えて、月々の料金は大幅に値下がって、5Gまで使えて、さらに1GBまでなら無料となれば、それはもう今までに経験したことのない全く新しい体験ではないでしょうか。
そういった体験が楽天モバイルでしか経験できないとなると、大手3大キャリアをずっと使い続けてきたユーザーにとっては立派な乗り換えの動機となるかなと思います。
さらに、より新しい体験を求めてわざわざコストをかけて乗り換えてきたユーザーにとっては、それ以上のユーザー体験が他で得られないとなれば、なかなかコストを掛けて他へ乗り換えようとはしなくなります。
それらが繰り返されることでユーザー数の増加に繋がり、口コミ評価なども相まって、ユーザーの定着につながるわけです。
これらは巡り巡って楽天モバイルの売上アップにもつながるので、最終的にはユーザーと楽天モバイルの両方にメリットをもたらします。

最後に

以上、携帯業界やiPhoneについての歴史的経緯や日本国内での状況などを振り返りつつ、楽天モバイルがiPhoneを取り扱うワケをUXなどの観点から考察してみました。

携帯業界はここ数年の間に大幅は変革期を迎えており、今後も大きく変わっていくのかなと思っています。
新たな周波数帯の開放なども検討されていますし、通信というものがわたし達にとってもっと身近で、空気や水のような当たり前な存在になっていくのだと思っています。
そういった時代に、楽天モバイルが4大キャリアの1つとして成長していってくれると良いなぁと、無料サポーターの頃から楽天モバイルを利用している身としては願ったりしています。

とても長い記事になりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?