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農業エンジニアの移住ドタバタ日記(6)~木材(草本類)は、曲がるからこそ、おもしろい)~

 本記事をご覧くださいましてありがとうございます。はじめまして。私は、山梨県北杜市に移住した農業エンジニア(Ph.D. (農学))です。2023年7月に前居住地から引っ越し、犬猫とともに、この地にやってきました。以前は、とある地方の教育・研究機関に所属し、教育・研究・技術開発に携わっていました。さて、そんな農業エンジニアが、身を置く環境を変え、完全在宅勤務の企業に転職し、日々に感じたことを、ゆるゆると綴ってゆきたいと思います。2024年も、淡々と気負わず、移住ライフ、向き合っていこうと思います。よろしくお願いします。

さて、今回は、木材って曲がるの???っていう、お話です。クリスマスのリース、お正月のリース、通年のリースなど、直径1.5センチ位の枝(多分、草と木の中間くらいの種類の植物かな?)を丸めて、リースの土台が売られていたり、土台のみならず完成品も売られたり、しますよね。リースの土台を買ってもらって、あとは、ご自分の好きなデコレショーンとか、カラースプレーとかでお好きに彩りをどうぞ、っていうお品物です。

https://www.hanadonya.com/product/030-22946.html より引用」



今回は、移住先の北杜市で、先生の指導のもと、このリースの土台となる素材(草木)を丸めるところからリースの飾りつけまでを教わりました。土台ができたら、その上に飾りをつけてゆきます。「野外観察で見つけた素材を、土台や飾りつけに使って、リースを作ってみましょうね」ということです。

いやぁ、おどろきましたね、、、、普段、目にするリースの土台にできるような枝は、小指~人差し指くらいの太さはあります。自分で見つけた素材や、手元に用意していただいた草木について、「簡単に曲がってくれるかしら?万力とか、使ってグイっと曲げるのかしら?」などと、内心、ひどく心配をしていたのですよ。なぜなら、こちとら、大学の材料力学の実験で、曲げ実験、ひずみ実験、各種資材(コンクリートも含め)の変形特性を調べる授業を受けてきたわけですから。。。そして、素材の含水率が、○○になるまで乾燥させて、より堅牢にしたのち、2X4などに成形され、製品化される、と。そういう世界にいるわけですから…

枝が、パキン!と破断することなく、ゆるゆると曲がって味のある円形ないし楕円の土台になるの!?という、半信半疑だったわけです。

材料力学では、「応力―曲げ曲線」を調べたり、「破断点」を調べたりして、「この素材は、ここまでの外力に対してならは、これくらい曲がる(変形して)ことで耐えられる素材だよ」って力学的に評価をするのですね。ここでいう「評価」というのは、なんていうか、バネのそれと似ていて、荷重がかかかると良く伸びる柔らかいバネのタイプか、そうではない硬いバネのタイプか?みたいな感じで評価をします。良し悪しということではなく、それぞれの素材特性に応じてわけて、それぞの使用に適した場面があるので、曲がらないことが偉い!とか、曲がることがすごい!とかっていうことではないのです。単なる特性の違いです。

で、話を戻しますと、たしかに、つる性の草木(アケビ、山ぶどうとか)は、それなりに太くても、よく曲がり、捻ったりする外力にも耐えます。ですので、草や木のなかで、先人たちが、良く曲がり、乾燥しても「パキッ!」となりにくい素材を選んで後世に伝えていったのだろうと思います。

調べてみたところ、アケビのつる、ブドウの樹皮・蔓、クルミの樹皮などは、貴重な工芸品や加工品になっているようですね。工芸品・加工品、というのは、ツタや、つるの部分が「編まれ」て、籠やバックなどに加工されているのです。


そうなんです、、、木材を「編む」んですね。

木材が、「編まれる」という発想に非常に驚きました。

実は、少し前に、竹の取材に行ったことがあって、「竹は「編む」ものなんです。そこが他の木材と違うのです」と説明され、その時は、「いやねぇ…まぁ、、、ね、、、だって、伐採した竹を、すっごく薄い竹ひごに薄く加工してるわけだし、蒸気とかの熱や水分にあてながらだったら、そりゃ、竹ひご編み込むってこともありうるよね」などど、軽~く考えちゃったんです。だけど、そうじゃなかったんですね…。竹の、他の木材とは大きく異なる力学特性を背景にした発言だったわけですね。

一方、現在では、ブドウのつる、アケビのつる、つるとまでいかなくでも、高い柔軟性を誇る、それでいて強度も強い、茎?を持ってる植物(竹など)は、たくさん、あったんですよね。自分が気が付かなっただけで。。。

そして、巻き付いたりする性質を有する素材・草木の組織は、ひっぱり強度も強い。こういう素材で、丁寧に、かごやら、お皿やらを編んでつくったら、強度は相当出るのではないか?何年も保つものではいか?と思います。

このことで、私が感じたことは、「木は固い、曲がらない」という思い込み(もちろん、建材などの一部では、その硬さが生かされるのですが)だけで、物事の一面を見ていたら、そうではない一面が見えた、というお話でした。

さて、皆さんは、こんな「想いこみ(学校で、書物でetc…などで、「〇〇は~~である」って、確かにこう習ったもん!)」みたいな考えをもっていて、それが覆る経験をしたことはありますか?。こんなことがあると、少しだけ、違う世界が見えてくるかもしれませんね。

さて、今回は、ここまでに致しましょう、では、、また。。。。

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