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【企画部】事業のご紹介 -自社サービス(Kinsei GPS)-

こんにちは!
株式会社Hampstead(ハムステッド)企画部のスタッフです。
今日は自分の関わっているプロジェクトについて、簡単に紹介したいと思います。
 
ハムステッドの事業は、大きく分けると2つあります。
1つはお客様の求めるものを提供する「支援事業(受託事業)」、もう1つは自分たちでサービスを生み出し運営していく「自社サービス事業」になります。

私自身の話でいうと、ここ数年は支援事業でも担当しているプロジェクトはあるのですが、入社してから今日まで、長いこと自社サービス事業に関わってきました。
その中でも、コアメンバーとして関わらせていただいたのが「Kinsei(キンセイ)」というサービスです。
Kinseiは、簡単に言うと位置情報検索サービス(見守りサービス)です。小型の端末を持った子供や高齢者の位置情報を、ご家族がスマートフォンなどから確認できるというものです。
 
Kinseiが最初にリリースされたのは2015年の4月でした。このときのKinseiは、「Beacon」という2015年当時では最先端の技術を、端末に採用していました。端末内のBeaconが毎秒電波を発信し、その電波を取得したスマートフォン(Kinseiのアプリが入っているもの)を介して位置情報を取得するというものでした。

その翌年、2016年4月には大手鉄道会社と協業し、Kinseiをリニューアルしました。Beaconを使用している点などコアとなる部分は従来のものと変わりませんでしたが、端末がさらに小型になった他、駅などにBeaconの電波を受信できる機械を設置し、周囲にスマートフォンを持った人がいなくても、駅や学校などを通過した際には位置情報が取得できるようになりました。

しかしながら、上記のKinseiには1つ大きな弱点がありました。それは端末を持った子供や高齢者の近くに、Kinseiアプリがインストールされたスマートフォンを持ったユーザーがいる状況、もしくは機械が設置された特定の場所でなければ位置情報が取得できないという点でした。 この弱点を解消すべく、2018年にフルリニューアル版として誕生したのが「Kinsei GPS」です。読んで字の如く、端末自体にGPSを搭載したため、電波が通じる場所であればどこでも位置情報が取得できるようになりました。

端末にはGPSモジュール以外に加速度センサーも搭載されており、端末が動いている=端末を持ち歩いているということが検出できるようになっています。そのため、端末を持ち歩いているときのみ3分に1回の頻度で位置情報が検出され、端末が動いていないときには電池の消費を抑えるために自動的にスリープするようになっています。
 
また、Kinsei GPSの通信には、新無線通信技術「LPWA※1」の1つであるIoTネットワーク「Sigfox※2」を採用しています。Sigfoxを用いた商用の見守りサービスとしては本サービスが第1号となりました。前身のKinseiがBeaconを採用したのもそうですが、サービス内で最先端の技術を活用しているというのがKinsei事業の1つの特徴ともいえます。
 
このKinsei GPSですが、大阪府寝屋川市の“子どもの安全を守る事業”において、市立小学1年生に配布されるGPS端末、及び保護者が使用するシステムとして採用されています。
寝屋川市教育委員会は、子どもの安全・安心を確保するため、市立小学校に通う1年生の児童を持つ保護者の方にGPS端末の無償貸与を2018年9月より実施しています。自治体が、日常的に子どもの位置情報を把握できるGPS端末を、保護者の負担なく配布するのは全国初の取組でした。
 
2018年の初回導入時には、当時は導入事例が少なかったSigfoxという通信が寝屋川市内全域で利用できることを確認するために、事前にフィールドテストを実施しました。その方法は端末を持った状態で通学路をひたすら歩くというシンプルなもので、5人で歩き続けた結果、わずか1週間で合計歩行距離が600kmに到達しました。余談ですが、テストした時期が8月だったということもあり、人生で最も日焼けしたのはこの年でした。この努力の甲斐もあってか無事に採用していただき、おかげさまで2022年現在まで5期連続でご利用いただいております。また、現在では寝屋川市以外にもいくつかの自治体でご利用いただいている他、スクールバスや湖上での見守りにも活用されています。
 
私は自社サービス事業に長年携わってきて、非常に良い経験をさせていただいたと実感しています。上記のKinseiにしても、日本中の誰もが知っているサービスというわけではもちろんありませんが、どこかで誰かの安全を支えているのではないかということを考えると、非常にやりがいを感じることができます。自分たちで0からサービスを生み出し育てていくのは難しい部分もたくさんありますが、その分カタチとなったときの達成感は非常に大きいものです。
もちろん、支援事業には支援事業のやりがいがあります。課題を抱えているお客様に対して提案を行い、実際に作り上げたものでその課題が解消できるというのは、大きなやりがいがあります。
 
自社サービス事業と支援事業、どちらの方が良いということはありません。人によって向き不向きもあるかもしれません。しかしながら、どちらのプロジェクトに関わることになったとしても、その苦労の先には必ず大きな達成感があるはずです。
そんな達成感を一緒に体験できる新たな仲間を求めて、Hampsteadは採用活動を続けていきたいと思います。
 
※1 LPWA(Low Power Wide Area-network、LPWANとも称される)とは、その名のとおり「省電力かつ長距離での無線通信が可能」という特長をもった通信技術の総称です。 世界のIoTデバイスが数百億と普及するIoT(Internet of Things)社会の本格的な到来に向け、従来よりも低消費電力、広いカバーエリア、低コストを可能にするLPWAネットワークが期待されています。2022年には50億台ものデバイスがLPWAネットワークに接続されるとも言われています。
 
※2 SigfoxとはフランスのSigfox社が提供しているIoT用のネットワーク規格です。日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社が事業者となり、国内でのサービスを提供しています。2021年11月時点で世界75カ国でサービス展開されています。