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前頭側頭型認知症(まとめ)




前頭側頭型認知症とは?


少ないです。
4大認知症の中の1つ。難病指定されている。

前頭側頭葉変性症(指定難病127)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4841
主として初老期に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉を中心に神経変性を来たすため、人格変化や行動障害、失語症、認知機能障害、運動障害などが緩徐に進行する神経変性疾患である。



別名「ピック病」
正確には「前頭側頭葉変性症」というが、

以下、認知症の分類にある「前頭側頭型認知症」で統一しています。

出自:難病情報センター

認知症の中の100人に1人か、それ以下。

Twitterのいいねや閲覧数もそれに比例して少ない。
ただ「前頭症状も出ている」アルツハイマーも含めればもっといるかも。

抑制を司る「前頭葉」が委縮しているため、人目を気にしたり、我慢することができない。徘徊や暴言も多く、活動的で、多動で、一つのところにじっとしていられない。

何かのトリガーでスイッチが入り、人が変わったように攻撃的になるのが特徴(人格変化)時間が経過すると元に戻る。症状に波がある。

さらに、記憶を司る「側頭葉」も委縮しているので、人の顔を区別できない(相貌失認)、言葉の意味が分からない(失語症)や、文字が読めない(失読症)、数秒前の記憶もない(記憶障害)などを併発する。



難病指定されているのは、徘徊や暴言などで手がかかることに加え、症状を軽減する「有効な薬がない」から。

他人とトラブルを起こしやすい
(本人は他人にはあまり文句を言わない。他人が文句を言ってくる)

一般的な介護サービスは追い出されてしまう。多くの人は精神病院への入院の道を取ることになるが、症状は悪化してしまう。

有効なのは対人ケアです。ただそれが難しい。




有効なのは「対人ケア」



「前頭側頭型認知症」にどういうケアが有効かは、大阪市の作った小冊子が一番わかりやすい。

ここ見てね。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000212/212765/ftd.2016.pdf

出自:大阪市「前頭側頭型認知症&意味性認知症~こんなときどうする」


大阪市のマニュアルはうまくまとめているけれど、対応は人によって違う。その人の特性にあうように、失われたパズルのピースをはめるようにしないと、一律ケアでは難しい。

徘徊!(じっとしていられない)
常同行動(毎日同じ時間にヒートアップ。邪魔されると怒る)
周囲に影響される(人の声、見えたもの、なんでもかんでも反応する)

意味性認知症になると、話が通じなくなる。
聞こえない、通じないからと、大きな声を出すとすぐ怒る。



こちらもコウノメソッドの河野医師の本、
10年前の本で、ウィンタミン(統合失調の薬)とフェルガードを与えれば改善する!という内容だけれど、今はそれだけでは済まないことがわかって、コウノメソッドも色々やっているようだ。


先ほどのマニュアルを作った大阪市の、若年性認知症コーディネイターとも話したが、前頭側頭型認知症には薬は効かない、または、調整はとても難しいという意見だった。

うちは様々な薬を試したが、「薬抵抗性」とのこと。
今までの医師の意見も似ていて、ある医師に「薬の効果は限定的で、20%くらい鎮静化すれば大成功でしょう」といわれる。

20%は何とかしたとして、
残りの80%はどうするか。

1つは対人ケア。
毎日人と話すこと、不安感を軽減すること。
家族だけでは無理なので、第三者の人を頼るしかない。

もう1つは、生理的な不快感。
便秘、その他暑さ寒さ、疲労、をなくしていけば、かなり改善するだろう、という結論になった。

難しいけれど。




生理的不快感が「症状」に直結する


うちの場合は、62歳発症の女性、元教師、母子家庭で孫なし。
被害妄想、不安、ノイローゼ的な思考ループ、多動、が症状の中心。


「流暢性失語(医師診断)」
常時しゃべりっぱなし。

「失読症」
文字が読めない。自分の名前も10年目から書けなくなった。

「相貌失認」
子供の顔がわからない。

「幻覚」
部屋や車にいつも何人かいるようだ。
布団に話しかける。壁に怒鳴る。車のヘッドレストに絡むなど。

「被害妄想」
常に被害者で誰かにひどくされている。

「物とられ妄想」
カバンがない。財布を取られた。ノートを置いてきた。ずっといってる。

「カンシャク持ち」
すぐにすねる。怒る。逃げる。

「プライドが高い」
口調は丁寧だけど、元教師。学歴や職業にプライドがある。
バカといわれることを極端に嫌う。怒られることも嫌う。

「難聴」
障碍者手帳持ちで、片耳しか聞こえず、それも補聴器がないとほとんど聞こえない。聞こえるのは人の肉声だけ。テレビや音楽は聞こえてない。

「歯がない」
奥歯は、上下全くない。乱暴な歯磨きと、口を開けて寝る癖があり、口内が乾燥して、短期間で溶けてしまった。前歯下側、数本の差し歯だけ。

「発達障害」
恐らくADHDかアスペルガー。思考ループで思いつめやすく、すぐ他人に依存する。汚部屋。整理苦手。遅刻ギリギリ癖。過集中で若い頃からあまり寝なかった。成績はいいが友達は少ない。


これだけでも症状のオンパレードでかなりハード。
しかも補聴器はデジタルの音は聞こえない。

(テレビ、音楽は全て雑音に聞こえる。電話も聞き取れない。唯一アナログな人の肉声だけはわかる。ただ少しでも大きな声を出すと怒る)

不快感を訴えるときは毎回、「(元居た)家に帰る」「ここには居られない」といって荷物をかきあつめ、放り出す。


・・・その原因は意外と単純だったのかもしれない。


  1. トイレ
    最初はまさか「排泄で?」と思ったけれども。便秘で出ない、便が出かかっている、パンツ(リハパン)が汚れている。この状態だと、とてもスイッチが入りやすい。小便も。

  2. 近くに人がいない
    同じ部屋に話を聞いてくれる人がいると安心する。人がいない状態が続くと一気にヒートアップ。

  3. 睡眠不足
    軽い睡眠薬を使ってでも寝た方がいい。毎日使うと効かなくなってくるので適度に抜く。

  4. 空腹
    きちんと食べていれば、それだけ機嫌がいい。
    便秘にもなるので、食事の量は、しっかりとる必要がある。

    何も食べられなさそうな時は、とりあえずバナナ。
    水も十分とること。

  5. 暑い、寒い、疲れた、、、、
    便秘ほどの強い影響はない。
    ある程度疲れないと寝ないので、昼間活動することは大事。

  6. 聞こえない
    最初は、補聴器の電池が切れると情報が入ってこないので、スイッチが入ることが多かった。

    補聴器なくても会話はできるが、聞こえる方の耳元に「おおいかぶさるように」ゆっくり話しかけないといけない。遠くから大声で話しても、なぜ怒鳴りつけるのか、お前は敵だ、と怒ってしまう。会話が成立しない。

    ここまで、生理的な不快感が多いので、体調を整えていけばある程度は対処できる。

  7. 時間帯
    こればかりはどうしようもない。学校の仕事をしている時間帯(朝9~夕方5時)は仕事をしている気なのか、とても落ち着かなくなる時がある。じっとしていられない。

    薬で調整しようとしたがうまくいかなかった。
    この興奮する時間帯が昼間だったら、車に乗せてドライブするか、場所を変えて、落ち着くまで待つのが、最善の手だと思う。

    人込みは苦手。情報が一気に来るとパニックになるので、ついたてで場を仕切るか、個室で対応するのもあり。


不快感を訴えるときは、全て同じ反応。
悪口、罵詈雑言、空中と会話、被害妄想、、
ちょっとでも注意すると「悪かったね」「申し訳ございません!!!」「こんなに酷くされたの初めてだわ」「もう帰ります!!!」

不快感、不安感から身を守るために
ヤマアラシのようになって他者を攻撃する。

トイレの場合は、会話の節々に「小便」「水」「うんこ」といったキーワードが入るので、それで推測できることがある。




ポイント① ステージの切り替え



ステージの切り替え、を意識するのが大事。

ステージ間のインターバルが睡眠。
ゲームに例えるとステージ1→ステージ2の間の「画面暗転」がインターバル、クールタイム。

(例えばデイから戻って)
一度寝る。起きたら家族がいる。これだとあまり混乱しない。

(例えばデイから戻って)
すぐ家族がいる。
この引き継ぎだとステージ切り替えがうまくいっていないので、一定期間荒れる。

環境の切り替えと同時に、簡単な入眠がいる。
睡眠薬は必須ではない。


以前認知症デイに通っていた時は、戻って家に閉じ込めて、はいさようなら、だったので、自分がいないときは、振り返るとドアが閉まっているので、ガンガンドアを叩いて部屋じゅうめちゃくちゃにするのが常だった。

かといって自分がいても、あなた誰ですか、で問い詰める時間が続いただろう。


小規模やヘルパーに代わってからは、離脱前にしばらく入眠を手伝ってもらっている。

帰宅時に自分がいなくても(というかいると混乱するだけなんだが・・・・)しばらくして戻っても、そこまで混乱しない。


車でも一度不穏になった時は、車を出て、しばらくして反対側のドアをあけて声をかけると別人に見えることがあるので、それでリセットかけることもよくやる。

認知症は相手の容姿、顔、服装が一定に見えていない。
一度離れて、もう一度話しかけるのもいい。

これは入眠を挟まない、ドアの開け閉めでの、ステージ切り替え。




ポイント② 車でドライブ


気が荒くなった時に車で連れ出すとスイッチが切れて治まる。

理由は車が外界と遮断した箱だから。
遮断したまま人混みに接することなく移動できる。
移動すれば落ち着くこともある。

在宅介護なら(パターンは色々あるとは思うけれど)車は必須に近い。
小規模などの訪問介護なら、スタッフの人が車で連れまわせる余裕のあるところがよい。

車なしで「前頭側頭」の介護、は相当しんどい。
外へ出るぞ!!!、、となったときにどうするか。
歩き。電車。タクシー。。。

ストレスたまると思うが、
警察の保護は恐れないこと。何度でも使わせてもらうこと。

本人が硬い物(凶器)を持ち歩かなければ、
警察に保護されたときに、その日のうちに引き取りに行けば、、

何度保護されてもいい。
通報する人がいる限り、保護もしなくてはならない。
警察も仕事。
うちは年間200回以上やっていた。

通行人に通報されなければ、
ずっと外をうろうろしていることもできるけれど。


車でも常時怒鳴られていれば、耳はつぶれるし、大変。
車がない場合は、昼間の介護サービスでドライブなどをしてもらうのもいいと思う。

外を歩く場合は2~3メートル先から、こまめに先導すること。
人混みは絶対にダメではない。
時間帯によってはそうでもない。

日中外食をすると、周囲の客や店員が気になり、興奮して机を叩いてどうしようもないけれど、、、「夜9時過ぎ」に外食すると、周囲に客がいるのに普通に食事をすることができた。

外食をする場合、クレームに寛容な店にすること。
うちは他の客の苦情が来にくい、中華料理や台湾料理の店によく行っていた。




ポイント③ 動画の共有、SNSでの発信



施設や医者と動画を共有してみてもらう。

日常のシーンを撮影して送る。スイッチ入った状態でもいいし、普通の時でもいいし、、、LINEだとそのまま動画を撮って送れる。

言葉で「穏やか」だの「荒れている」だの言われても伝わらない。薬選びの参考にもなる。ただでさえ他人に理解されない病気なので、介護者のストレス軽減にもなる。


コミュニティは入った方がいいか?は微妙。
家族の会は自分がみたかぎり、元介護者の人や、介護職の人が雑談に使っていて、当事者は少ない感じだった。

本当に忙しい人は、家族会に顔を出す余裕はない。

会のオーナーの意向も色濃く反映されるので、意見が偏る。
(病院に入れるのが当たり前。施設に入れるのが当たり前。などなど)

ネット掲示板はやめた方がいい。
誹謗中傷も多く、会話してアドバイスした後に、上げて落とすように中傷してストレス解消をするものまでいる。

実際に介護者家族もいるけれど、目にするだけでストレスがたまるので、掲示板はおすすめしません。

twitterは今のところ悪くない。
同じ状況の人(認知症介護者)だけがクラスターのように固まってしまうので、一般人の目には触れないかもしれない。意見も拡散しない。離れ小島のように。

ただ不快な思いをすることは少ない。不安なら鍵をかければいい。


LINEは施設との連絡、動画共有用に持っていてもいいかも。
ただ「面倒な患者はお断り」という事なかれ、消極的な施設と共有しても仕方ないので、相手次第。

LINEのアカウントを2つ作って、自分で自分に送信してもいい。メモ代わりに。


認知症は隠していた方がいい?
周囲にカミングアウトしても理解を得るのは難しい。

でも、全く一人でやっていると敵も味方もなく、手当たり次第に攻撃的になり、病んでしまうので、ネットで匿名でもいいので、情報は発信し続けた方がいいと思う。

変に隠して取り繕うと、そのストレスは親に向かうので、関係が険悪になり、さらに介護が大変になってしまう。

恥ずかしいことではない。栄誉もないのに、
誰もができないことをやっている。
お金目当てに体を鍛えるスポーツ選手よりも、個人的には偉いと思う。



ポイント④ 使う薬、使わない薬


薬は必要。
でも使う薬、使わない薬の見極めは重要。

向精神薬、特にベンゾジアゼピン系は副作用が出やすい。
あれもこれも、の多剤投与はかえって大変になる。

生理的な不快感を消すだけでもイライラは半減するので、体の調子を整える薬だけを使うのも一つの手。


鎮静作用のある薬はうちはだめだった。
火に油で逆効果だし、同じく前頭側頭の人の話を何例か聞いてもそんな感じだった。

過去のかかりつけ医も
「薬の効果は限定的、20%平穏になれば万々歳といったところ」
「薬はいいところも悪いところも同時に潰す。フラットになる。今までの人格のまま穏やかになるといいうわけではありません」といっていた。


今使っているのは
多動から発達障害(ADHDかアスペルガー)ではないかと推測して、
発達障害向けの「インチュニブ」20mg、

最初一週間飲んだらよく眠っていたが、今は飲んでも変化がない、、ようにみえる。副作用がそこまでないので使っている。

またテスト中の「アトモキセチン」10mg
20mgに増やしたら逆上したので、量を戻して調整中だけど。そんなところ。

睡眠薬は「デエピゴ」または「ルネスタ」を使う。
ベルソムラは一週間ほどで効かなくなった。

睡眠薬は泊りの時や、ヘルパー離脱時に誰もいない状況で、ここぞというポイントで使う。毎日は使わない。量も家では1錠にとどめる。




トイレの排泄は気が散ってできない。
トイレに座る=力を入れる=の動作が一連でなかなかできないため。
小は普通にする。

大はたまりがち。数日たまると精神症状が一気に悪化。

便秘用の「モビコール」を毎朝2袋使っている。

フラクトオリゴ糖。ヘルパーの人に勧められたもの、お湯に溶かして、毎朝スプーン1杯。

漢方薬の大建中湯、医者に勧められた。なぜか胃腸の作用にいいらしい。


浣腸は調の下まできてないと効果ないが、
今のところ耐性もつかないし。予後もよい。

胃腸薬を飲み、週2回の浣腸をしている。


酸化マグネシウムはだめ。
便意をコントロールできなくなるので半日以上漏らし続け、そのたびに怒る。を繰り返すので、在宅では使わない方がいいかもしれない。

ラキソベロンも下痢になるか、腹がキリキリ痛むだけで、こちらも半日以上イライラする。


トイレのウォシュレットはあった方がいい。スイッチ類は立ったまま(介護者側が)押せるように。医療用の浣腸は専門職でないと使えないから、自宅でやるならウォシュレット。疑似浣腸になる。


漢方薬は、先ほどの胃腸の件で服用している
・大建中湯(胃腸)
・当帰芍薬散

あたりは毎日使う。
抑肝散もそこまでネガティブな反応はないのでたまに使う。

鎮静作用で押さえつけるのではなく、体調を整える薬にとどめる方が、結果的には楽になった。サプリメントは同じように体調を整えるものを中心に飲んでいる。


これらはここ1年で始めたこと。

それまでは「騒ぐ=不穏=鎮静剤」のような考え方をしていた。

ずっと騒いでは警察往復。路上で小便。といった状態だった。
朝も体調を整える間もなく飛び出す、を繰り返した。


・昼間(しゃべる、歩くなど)活動する。
・複数の人と交流する
・近くに人がいて不安を感じていない。
・トイレや食事などで体調が整っている。

これらがそろっていれば、睡眠薬がなくても寝る。




ポイント⑤ 医者選び。


コウノメソッドがおすすめ。
ただそこでも答えは出なかった。話せる医者という意味ではいいと思う。

実際に、前頭側頭の患者を一番多く扱っているのは、コウノメソッド系列だと思う。


認知症学会認定専門医の中から選ぶのはおすすめしない。
相当数、アルツハイマーしか知らない素人が混じっている。

これはこういう症状で名称は・・・論文書けば学会専門医なので。



合わないと感じたら医者を変えること。

プライドの高い医者。
説教する医者。
紹介状書かせると怒る医者。
処方箋出して終わりの医者。

こういうのは良くない。
家族の意見をしっかり聞いて、伴走できる人がいいと思う。


コウノメソッド系列は、弱い薬やサプリメントで日常生活を継続できるようにする。強い薬は使わないか、使うとしても一つずつ試す。

精神病院への入院を否定しているわけでもない。
過去にかかりつけのコウノメソッドは、
「患者本人と、家族と、どちらか1人しか救えない状況になったら、家族を取るべき」と話していた。

精神病院は、強い精神安定剤を複数使って(多剤投与)鎮静をかけるので、一気に認知症状が進む。

1人で立てなくなる、トイレができなくなる、食事が・・・など今までの生活もできなくなる。その時に受入れ施設があればよいし、なければ他の病院に転院することになる。

在宅が継続すれば本人も救われるだろうが、
前頭側頭型認知症を在宅、通所で見るのはとても難しい。

家族の負担も大きいので、そこは覚悟しないといけない。




ポイント⑤ 施設選び。


これについては一番難しい。

認知症対応施設は地域縛りがあって、住んでいる市町村をまたいでは行けないし、両方の自治体から許可が下りたとしても通勤圏(約1時間)を超えると使えない。

いまいる自治体がどれだけ認知症対策に力を入れてくれるか、認知症対策が行き届いていたとして「前頭側頭型認知症」まで理解してくれるか、受入れ施設が自宅からの圏内にたまたまあるか、空きがあるか、、、で全然違ってくる。

向かない介護サービス
・デイサービス
・認知症対応デイサービス
・デイナイトケア
・ショート(ロング)
・特養

デイ、認知症対応デイは、
他の利用者(職員)からのクレームが全て。

本人が利用したくても、周りが許さない。


(認知症対応デイは他の利用者が嫌がっても、記憶が数分で消えるので、翌日までひきずらないから、クレームに発展しにくいが、それでも外出ができないので息が詰まる)

テレビをつけたから座っていろ。
カリキュラムに従って課題をこなせ。

という生活は、集団行動ができず、じっとしていられず、我が道を行く前頭側頭型にとっては一番苦手。



デイナイトケアは精神病院の運営する、昼間の通いサービスだが、通常のデイサービスと大差ない印象。他利用者からのクレームで追い出される。

大人しく机にずっと座って、なにもいわないでぼーっとしているようなアルツハイマーは歓迎されるだろうが。。。。



ショートやロングは無理をすればできるが、夜中のマンツーマン対応、早朝の興奮で、職員が疲弊してしまうと思う。数回は使えても長続きしない。

睡眠薬がきちっと効けば可能性はある。



特養は、症状がかなり進行して、しゃべらない、動かない、お人形状態になれば入れる。

特に夜間は、1人の職員が、20~30人を同時に見て、流れ作業で風呂に入れたりするので、その間全く放置状態になる。

マンツーマン対応が必要な時期は可能性ゼロ。
入る場合は十分な投薬が必要。
応募して待機するのは自由だが・・・


向いている介護サービス
・小規模多機能
・訪問介護
・重度訪問介護

昼間の介護、特に訪問はできる。
通いもできる。
車があれば日中も。


小規模多機能を使うと他の介護サービスが使えなくなるが、小規模は訪問もできるので、柔軟に対応できる。施設の運営方針によるので、ダメなところはダメ。

訪問介護は小規模が使えない時に。やってくれることは家事、食事の世話、話し相手。話すことでもフラストレーションが解消されるし、自宅だから大声をあげても注意されることがないので、助かる。


重度訪問介護は常時介護を要する障害者(重度の肢体不自由・知的障害・精神障害)の生活支援をするヘルパーで、介護保険とは別の枠組みの、障害福祉サービスなので、介護保険サービスと併用もできる。

重度訪問介護は肢体不自由(全身まひ、ALS)の見守りの対応が多いが、統合失調や精神疾患も扱っているので、普通のヘルパーよりも対応は慣れている感じ。



どちらも、やってくれるのは食事の世話や、話し相手などで、訪問看護をより長時間にしたようなもの。



どの場合でも、前頭側頭型認知症に、泊りは厳しい。
夜の人員が少ないので、マンツーマン対応ができない。

短期間なら無理して受け入れてくれたとしても、
連日やってくれるところはない。


何か所か見回った感じ、前頭側頭型の人(男性含む)を受けている日中デイサービスは何か所かあった。でも職員が気を張って無理している感じ。

基本的に荒れたら、車で連れまわさないと落ち着かないので、車が足りないと、運転できる人が少ないと難しいとも言われた。

認知症患者が男性の場合、力が強いので、同じ男性でないと抑えきれないとも。

最初からリスクありと判断して断っている事業所も多かった。病院もそう。
精神科病院のデイナイトケア(日中通いサービス)は30分で追い出された。

しゃべりっぱなしで「黙れ」といっても黙らず、他の患者に影響するからだそうだ。複数の男性利用者から出ていけ、といわれたのが理由。

認知症以外の人間、名前を呼び合って待ち合わせしたり、他人にクレームを入れるような軽度の精神疾患や、依存症患者も同じフロアで管理してたから、どうしようもない。

施設に断られ、一切の支援もなくなったら、在宅介護で事件化するまでやるか、家族の責任で、精神病院に閉じこめることになってしまうのが現状。

周囲は遠巻きにして手を貸さない。
医者は何もできない。専門医はいない。



・・・と追い詰められないように、声を上げ続けること。
いざとなれば精神病院に入れればいいというのもある。

介護サービスはあくまで車輪の両輪。の片方。
もう片方は家族。任せっきりは長続きしない。
マメな情報交換は大切。


施設からの報告はきちっと目を通すこと。
こちらはお客様ではない。お客様でいてはいけない。

任せっきりで放置した場合、車輪は外れて、車軸が折れてしまう。



地域の差、自治体の差、コロナ、、、
どうしようもない場合もあるので、無理はしないこと。
できる限りやる。それでいい。




徘徊で引き取りにいかないと「やむを得ない措置」



徘徊して警察に保護されると、家族の電話に呼び出しが来る。
警察では「泊り」の対応はできないので、

日付が変わるまでに警察署に引き取りに行くか、
警察の指示で自宅待機しないと

老人福祉法、第10条4第1項 「やむを得ない事由による措置」
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chofuku/shichoson/kaigo/anzenansin/documents/05dai4syou.pdf

やむをえない措置で施設に送られる。
これは、高齢者虐待(DV等)から老人を守る法律で、家族との連絡手段は取り上げられ、面会もできなくなり、どこへ収容されたかは教えてもらえない。

・疲れて、警察署に引取りに行けない
・仕事で遠くに出張していて、その日のうちに戻れない

こういう状態だと、保護されたときに「やむをえない措置」になるかも。

どこの施設に送られるかは、聞いたところ、有料老人ホームの空き枠(生活保護や非常時のために空けてある枠)を転々とするらしい。

措置後は、数週間、市(行政)が間に入って、家族が「虐待」をしてないか、介護する意思があるのかを何度も確認して、許可が下りれば、自宅に戻す。

その許可は、何度も会議に通すので、すんなり通らない。
その間にかかった施設の費用は、家族に請求される。

もし「引き取らない」と拒否をし続けたら、入れる人は特別養護老人ホーム、入れない人は精神病院に送られるんじゃないかと思う。

またどこへいったか、本人と連絡を取ることはもうできないと思う。




外で物を壊したら、人を叩いたら「措置入院」


措置入院(自傷他害のおそれのある人を強制入院させる)
https://legaladvice.jp/medical-treatment/sochi-nyuuin/

認知症の場合、
「医療保護入院」は、家族の意思で入院させるので、病院や医者は選ぶことができるが、

「措置入院」は行政が勝手に決めるので、病院は選べない。
措置入院は、本人や家族のためではなく、通報者(社会)を守るために行うので、拘束閉じ込めありで、環境は良くないらしい。

高齢者が外で騒いでいる、普通は通報する時に「認知症の人がいます」というので、そのまま保護→家族に引き渡しになるが、例えば、、、

高齢者に襲われている、物を壊されている、と通報されれば傷害や器物破損扱いになるので、

自傷他害は人相手でなく、物でも成立するので。

本人に反省の意思なし(認知症だから当たり前だが、私はやってませんと答える)と見なされれば「措置入院」になるかも。


措置入院にするのは警察署長の判断、
自傷他害(人を殴る叩くのほか、車を叩く、物を壊す)
今までに徘徊保護が何度もあったか、も判断に影響

本人に反省の意思がない(認知症なら当たり前)

あとは金属などの硬い物を持っているかどうかがカギらしい。
包丁などの凶器でなくても、硬いもの。棒や、なべぶた、フライパン、、


うちの時は、朝興奮してフライパンをもって飛び出し、近くの駐車場から出ようとしていた車を「乗せてくれ」とフライパンで叩いたのを、襲われていると通報されたのが原因だった

(ちなみにボンネットに何か所か傷がついて、修理費は全額請求された)


措置判断になると、自宅に送り届けずそのまま警察署に連行される。
取調室で水だけ与えられて監視。
生活安全課の取調室で、普段認知症を相手にしない警察官もいるので「なんで物を叩いた?」「反省しているのか?」などと聞かれる。

なんだあいつ机を叩いて笑える、とバカにしながら対応していた警察官もいた。いつも警察官の対応はピンキリだが、その時はあまりよくなかった。

家族は、ふつうは取調室には入れない。
パンなどの差し入れはできる。

警察は保健所に引き渡すために連絡しているので、数時間後、プロテクターやゴム手袋、フェイスガードをした保健所の職員が数名来る。暴れる人間を押さえつけるためだろう。

保健所は都道府県の管轄なので、今までの市町村(高齢者支援課、地域包括)の管轄から外れる。

事情は家族が話さなくてはいけないし、今までのかかりつけ医や地域包括も、間に入ってくれない。保健所がその時点の聞き取りで判断する。

入院相当と判断したら、そのままプロテクター職員数名と一緒に、精神病院に連行。



精神病院では判定担当の医師(うちの時は20~30代の女医2人)のいる部屋で、裁判のように、ここに連れてこられた理由が読み上げられ、反省の意思があるかを聞かれる。

「なぜ車を叩いたのか?反省していますか」
「あなたの名前は」
「生年月日は」
「お住まいの住所は」
「学歴は」
「ここはどこかわかりますか?あなたの前にいる人は誰ですか
(ここは病院、あなたは医者、が答え)

こんな感じで質問がいくつか読み上げられる。
医者との距離は4~5メートルくらいあるし、本人と家族の後ろには、いつでも羽交い絞めにできるようにプロテクターをつけた男性が数名待機する。

質問に答えられなかったので、
「難聴なので聞こえてない」
「認知症なんで回答がおかしい」

と説明すると医者が「へえー、そうなんですね」とのこと。
認知症の知識はそこまでない感じだった。
学歴を聞いたのは、知的障害を疑っていたのだろうか。

病院に連れてこられた時点で興奮は収まっていて、私はそんなことしていません、と本人は話していた。

質問はこんな感じで、簡単なもので終わり。
同伴者は家族だけ。保健所の職員が背後にいて、病院のスタッフが遠巻きに立つ。医者の意見書もなし。市や警察も同伴なし。

どんな介護サービス受けているのか、
親戚はいないのか、
認知症の診断は出ているのか。
などを家族が追加で説明することはできる。


その後、2人の医者の判定が済んで、
「入院する必要はないと認めます。このまま帰っていただいて構いません」
と病院スタッフが書面を読み上げておわり。

ここまで裁判というか、事務的な対応。
自宅まで送ってくれることはなかった。
警察も保健所に引き渡すのが仕事で、その後に関心はないらしい。

もし質問に答えない、逆らう、騒ぐなどで、
「入院する必要あり」と宣言されたら、
背後にビタ立ちしているゴム手袋数名が、速攻、本人と家族を押さえつけるんだろうなと思った。


認知症になると本人も家族も、人権がなくなるのを実感。

入院した場合、大人しくさせる「強めの投薬」や「拘束」が3か月くらい続いた後、自宅に戻すか、他の病院に送るらしい。

措置入院は行政命令なので、費用は公費で出る。
ただ退院後の負担までは面倒見てくれない。




他人の物を壊したら賠償義務あるの?

「リボン認知症保険」は、月2000円くらいの負担で(本当に保険出るなら)500~1000万まで賠償金出る。ただ自宅、家族の持ち物はダメ。他人のものを壊した場合のみ補償。

保険会社に聞いたところ、遠縁の子供が遊びに来た時に、高価なおもちゃを認知症老人に壊されて、弁償を求めて訴えてきた時に、保険金が支払われた例があるとか。

こういうのがないと、実費負担になる。

認知症の父が母親が目を離したすきに徘徊、踏切に飛び込んで列車を止めた事故。

最高裁で、電車をとめた踏切事故の賠償金を家族が支払わなくてもいい、という判例は出たけれど、これは

・息子は他県に別居しているから
・面倒みている母親は要介護認定された老人だから

という条件で認められただけで、
同居者(同じ市など、通える距離にいる場合も含む)
子供や孫(若者)

の責任まで免除された判例ではない。
普通に他人の物を壊せば、子供(扶養者)が責任を負うのが当然という警察の判断。

賠償は民事だから、支払い要求を拒否すれば裁判になるが、裁判になっても負けるかもしれない。

この辺の判断は
「家族でしょーー」というグダグダでなし崩しなものだが、
「親の面倒は子供がみるのが当たり前!
と思っている一般人も多いので、裁判所がどう判断するか。

いざという時のために他人の物を壊した時の保険も入っておくといいだろう。

特に前頭側頭型はそういう機会が山ほどある。

弁償要求は、相手の一方的な要求なので、拒否してもいいけど、裁判になるかもしれないし、繰り返せば措置入院になるだろう。




介護者(家族)に必要なメンタル


理屈抜きで、これ必要なもの。


1、受け流し、スルー。

笑顔で嘘ついて対応できるのは、介護職だけ。
身内には無理。

でも顔をしかめたり、嫌がったり、怒ったりすると、向こうは「攻撃されている」ようにとる(実際は攻撃されてるのこっちなんだけど・・・)
変にバレる演技するくらいなら「無視」した方がマシ。

徹底的にスルーして受け流す。
耳栓必須。

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米軍が使っているこの耳栓を使っても、親の大声はほとんど貫通した。ないよりマシ。

「お前なんかいなければいいのに」「あんた誰ですか」「出ていけ」
どんなに罵詈雑言をいったところで、数分で忘れる。

忘れたら機嫌のいい時は普通。

怒られたり、不快な思いをした人間を(家族を問わず)記憶から消してしまう、のが「相貌失認」の現実。

全く覚えられないわけではなく、
介護スタッフの人でも何度かあっていれば、
顔や声でなんとなく覚えるらしい。

でも正確じゃない。うちは基本的に祖父か先生だと思われている。

・受け流し(消力)

・上の空(右から左)



どちらも達人技なので、実行できなくて当たり前。
30%くらいできていればマシな方。


まともな時だけ相手する。


2、一人では無理。声を上げ続ける

一人で対応するのは無理。

一対一で続けるほど、余裕がなくなってくるので、大声になり、表情が険しくなり、常に喧嘩状態になり、ストレスから親に忘れられる。

認知症の人は、辛い経験を思い出したくないので、存在ごと記憶から消してしまう。

毎回怒鳴り合ってたので、うちはもう子供だということは忘れられた。
長く単身介護している状態の人は、その多くが、親から存在を否定されてたりする。一生懸命介護した結果。

例えば、トイレに一緒に行く
(こっちの感想)一緒についていっている、世話している
(向こうの感想)トイレにいくたびついてくる、パンツを下ろす、便が出ない不愉快な時にあいつがいる。あいつのせいでこんな目にあっている。あいつがいなくなれば楽になる・・・

風呂も一緒で、いきなり服を脱がして水をかけるヤツ、という認識。

介護職(訪問やヘルパー)は毎回同じ人が対応するわけではないので、ヘイトが集まりにくい。毎回同じ人がずっとやっていたら、プロの人でも同じように関係性が悪化することになると思う。


どうしようもなければ入院という手もある。
最後の最後まで声を上げること。暴れてもいい。

小規模やヘルパー、訪問などで手助けが入り、体調が改善すれば、少し状況も違ってくる。


他人からのクレームが入らないような介入をしたり、在宅の訪問メインにすれば、前頭側頭型でもケアの余地はあるので、最初からお断りではなく、どうやったら支援できるかどうかを事業者も考えてほしい。


3、他人は関係ない。

他人によく思われたい、
恥ずかしい、という感情を捨てる。



親を放り出せば、
(特養に入れない認知症は)
病院で投薬して処理する。二度と元には戻らない。

それが納得できないなら、在宅でやるだけのこと。

他人にどうこう言われる筋合いはないし、
他人は「他人の立場で」アドバイスしている。責任は取らない。

その人はたぶん身内には別のことを言う。



他人の人生をうらやましがったり、流行を追いかけたりしない。
そういうのとは両立できない。他人とは比べない。

自分の生活(いたとしたら子供の生活)を元々100%だとして、介護が入ればその分生活や将来は、犠牲になる。
犠牲にはなるが、
100%犠牲になることもない。

例えば、50%は犠牲になる。
これは避けられない。



残りは介護サービスを利用するか、
警察(世間)に押し付ける。

申し訳ない、という感情は無意味。
介護制度、扶養義務、高齢者虐待の制度が歪んでいるし、困っている人にさらに押し付けて成立している(回っている)のが今の日本社会なので。

世間様に申し訳ないという感情は、親への怒りに代わって、結局、敵対して介護がさらに辛くなる。押し付けるときは押し付ける。


最初から「認知症は精神病」と差別意識むき出しの人間もいる、迷惑だから出てってくれないかな、みっともないから!とか、怠けている !言い訳するな、、

よく現場を知らないのに、上から目線で説教するのもいる

100人に100人とも気に入られようとするのは無意味だ。

一人味方になったら一人に敵に回る。50人味方ができたら50人は一生涯敵に回る。このくらい割り切っていた方がいい

いっそのことは話しかけてくる人間以外は、全部無視してもいいぐらい。



どうしようもなければ「やむを得ない措置」で病院に送ることもできるし、特養に入居が許されれば、親を別世帯にして生活保護を受けさせ、独立することも可能だ。

可能な範囲で続ければいい。


4、できれば仕事。


親連れてでもいいし、空いた時間でもいいが、収入を作ること。
その際、ストレスをためる仕事はダメ。
対人関係が苦手なら、そういうものは避ける。
配達や内職の方がマシ。

収入が全くないと精神状態が不安定になるので、イライラしやすくなり、親にも伝わる。不安定さは親に伝わって、介護しにくくなる。関係性も悪化する。

月数万の小遣い稼ぎでもいいから、何か仕事ができるといい。



介護・放棄するとどうなる?


民法 第七章 扶養
(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。


経済的な支援だけしていれば「扶養義務」は果たしているとみなされる。
・・・よく
「生活に無理のない範囲で介護していればいい」といわれる根拠はこれ。

※親に対する扶養義務は、子どもである自分自身やその家族の生活を壊してまで果たすべき義務、とはされていない。

十分な収入があり、子供の学校(将来)、自分の生活を優先して、それでも余力があれば金銭援助すればいい、ということになっている。


~~~ここまで民法(扶養義務の話)~~~



ところが、同居していると(兄弟が逃げたとして、最後に残った一人は)保護責任が発生し、見守り義務を放棄できない。


~~~ここから刑法(保護責任の話)~~~

同居していたら、放棄すると「高齢者虐待」とみなされ、
本人は「やむを得ない措置」で施設に送られ、施設費用は子供に請求される。

正当な理由なく扶養義務を放棄したことが原因で扶養権利者が負傷したり死亡したりした場合、義務者には刑法第218条および第219条で規定する「保護責任者遺棄等致死傷罪」に問われる。

この例は、在宅介護が限界になり、路上に放置して、警察に押し付けようとして「保護責任者遺棄」で逮捕されたもの。

正当な理由なく、ということなので在宅介護のまま「要介護認定」を受けていなかったか、介護サービスを利用していなかったのだと思うが・・・



別居していれば「余裕のある時にお金を払えばいい」
同居していたら(兄弟がいた場合、最後まで残った一人が)
「親の身の安全や、健康、生活に責任を持たなければならない」
という歪んだ法制度のもとにある。

別居は他県が原則。
(列車事故の賠償金の長男も、他県に別居)

同じ市や隣のアパートなど、歩いて通える距離にいた場合、同居と見なされ、警察の引き取り義務、賠償義務などが発生してしまう。
同じ家で二世帯(世帯分離)はもちろんダメ。


別居していれば、
余裕のある時の金銭的支援、以外の責任は持たなくてもいい。

同居していたら親の生活、身体の安全に責任が発生する。



2000年代に入って、核家族化が進み、
親を含めて三世代同居する家庭は、それまでの5分の1に激減した。

扶養義務に長男、次男等の兄弟の優先順位はない。
逃げたもの勝ち。
家族間で押し付け、兄弟間で無視する例も多い。

(助け合う、協力するのが当たり前、と豪語している家庭も、いざ介護が目の前に来ると「いや自分の家庭もあるから・・・」と押し付け合いでバラバラになってしまう)


三世代同居が激減してから、
親と同居するか、近くに住んでいることが、単なるリスクになってしまった。

日本では親から子供の縁を切ることはできるが(勘当)
子供から親の縁を切ることはできない。そういう制度がない。



介護保険も色々不十分。
都道府県によっても、自治体によっても、違う。


歪んだ法制度。




国や県の障害者手当を申請


障害者向けの手当はある。
現金をもらえる国、都道府県、市町村の3つの制度。


・国の、特別障害者手当
・都道府県の、在宅重度障害者向け手当
・市町村の、障害者向け手当


1、国の特別障害者手当。月27300円。

老人ホームなどの施設や、精神病院に入所していると対象外。
デイショート小規模在宅等はもらえる。

審査は、認知症ではなく、寝たきり老人を基準にしている。
医師の提出する意見書の一部に、日常生活動作のチェック項目があり、これが一定以上だと、スコア判定で弾かれ、どんなに症状が困窮してても通らない。

(例:食事に介助はいるか。寝返りは打てるか。片足立ちはできるか。着替えはできるか等)16点満点で、14点以上で合格。

基本的に、少しでも自分でできることがあると通らないが、医者の解釈次第。障害者手当とあるが、障害者手帳がなくても申請できる。

厚労省に確認したが
「この手当は認知症のご家庭を支援するものではなく、主に寝たきりの方を施設ではなく、あえて在宅看取りを選択したご家庭への慰労金のようなものです。困窮したご家庭を支援するものではありませんので、その場合は生活保護を申請して下さい(ほぼ原文ママ)」といわれた。

そんなものなので、過度な期待もできないが、もらえるならもらっておいた方がよい。


2、都道府県の障害者向け手当
3、市町村の障害者者向け手当

次に都道府県と、市町村のそれぞれの手当。
地域差がある。
実施していない自治体も多い。
手当を申請するのに、障害者手帳が必要なところもある。

どちらも年齢制限があったり、金額も月数千円~1万程度で少なめ。



残念ながら「認知症」や「介護家庭」への手当は現在のところ、存在しない。




障害者手帳の申請、自立支援の申請



かかりつけ医の診断書があれば、認知症でも、精神障害者手帳は取得できる。うちは精神「1級」取得プラス身体障害の難聴「2級」はある。

障害者手帳のメリットはタクシー券がもらえる程度だが、都道府県や市町村の障害者手当の条件になっていることがある。

また扶養者の節税対策として、障害者控除を受けることができる。



また、自立支援医療(精神通院医療)を申請すれば、薬代、診察費用が軽減される。




生活保護の申請


生活が破綻すれば
「生活保護の申請」をすることはできる。

生活保護を申請するといくつか制約があって、そのうちの一つが車の処分。
(理由はガソリン代、保険代、事故を起こした時の賠償金、が生活保護では負担できないかららしい)

でも「前頭側頭型認知症」の場合、車で連れまわすのが前提なので、あまり現実的ではない。車を失うとどうなるのか、小規模への送迎もできなくなるので、正直予想できない。

親を特養に入れる場合は、親が年金生活などの非課税世帯であれば、生活保護を申請してもらい、独立させることも可能だ。




おむつの助成をうける


非課税世帯になっているか、または本人の要介護度が高いと、市町村によっては、おむつの助成を受けることができる。

うちの場合、無料ではなく、1割負担でリハパンが買えるが、月に2袋(40枚)まで。それを超える分は自己負担。

オムツ(リハビリパンツ)は常用品。
月数千円でも固定費なので、少しでも負担が減らせるなら申請をすること。




世帯分離で、親を非課税世帯に


認知症の親本人の年金が少ない場合(うちは学校の教師だったが、公務員の資格が年齢制限で取れなかったため、正規教員ではなくずっと臨時・非常勤だったので、年金は月5万程度の最低額しかない)

世帯分離で親の世帯を書類上分ければ、親を非課税世帯にして、保険料、市県民税などの支払いを減らすことができる。

世帯分離で得をするのは税金だけで、介護義務はそのまま(同居と見なす)なので念のため。

また世帯分離した上でも、同居の親を在宅通所介護していれば、子供側も障害者控除・特別障害者控除を受けられるので、こちらも節税になる。






Q&A。いろいろ。


1、医者はなんていってるの?

まず一般の認知症学会認定専門医はこんな反応…
「ボクのところではできることはないよ…
「他を探して下さい

コウノメソッドの系列医に2人ほどかかり、
いずれも見てもらって、
今は訪問医療の精神科医にかかっている。

そのいずれもが似たような見解。

・薬は効いてない(薬抵抗性)
・薬が効いたとしても20%くらい改善すれば大成功
・向精神薬はあまりうまくいかない
・鎮静系はダメかも
・漢方薬が刺激が少ないのであっているかも?
・精神病院に入院すると、強い複数の向精神薬(トランキライザー)で押さえつけるので、心身ともに機能低下する。感情がフラットになっていいところも悪いところも失われる。また排泄が垂れ流しになるなど別の意味で介護が大変になる。

答えも前例もないので今も検討中。
発達障害の可能性があるので、それ系の薬を少し使っている。
後は使いすぎないように眠剤と、便秘の対策と。体調を整える漢方で不快感を減らす。

通所(在宅)では強い薬も使えないので、できることは限られる。


2、診断は出たの?

コウノメソッドの紹介で、ここでわからなければどうしようもない
最後の砦、と紹介され、

県内の総合保健医療センターで21年の3月に精密検査を受けた。
絶対無理だよ、といわれたMRIも、機械の横でずっとなだめることで何とか成功。

その結果、、、

「外見上はアルツハイマー。
「統合失調、精神障害の可能性は、ほぼない
「前頭眼窩の萎縮(脱抑制)
「海馬・側頭葉の萎縮(記憶障害)
・・・何割とはいえないが強い委縮。8割委縮?
「前頭~側頭~後頭部にかけて血流低下(相貌失認や失語)



元若年性の「アルツハイマー型認知症」
前頭側頭症状あり
統合失調ではない

(前頭側頭症状ありの)アルツハイマー

というのが精密検査の最終判断になった。




3、施設は行かないの?


こちらから相手に文句を言わなくても、
利用者(職員)から文句が来るのが「前頭側頭型認知症」

男性利用者からの「あの人うるさい」との文句数件で、病院提供の重度認知症デイナイトケア、開始30分で利用停止。

認知症対応デイ、部屋に閉じ込められて話し相手もなかった時に、バインダーで扉をバンバン叩いて、リスクありの顧客と判断され、利用停止。

泊りを試しても、一日で「厳しい」「難しい」と返事。
夜明けまでガンガンしゃべっていたそうだ。しゃべっているうちは別に狂暴ではないのだが、一人にすると何が起こるかわからなかった。


骨折で総合病院に入院した時は、
点滴を引きちぎり、何度も何度もナースコールを呼び、拘束ベルトを引っ張って騒ぎ、結局2日目からナースセンターに寝かされ、、、本来1週間の入院のところを、3日で追い出された。


使えるサービス、利用できる事業所は少ない。
気概のある事業所や、訪問、ヘルパー系は可能かもしれない。

薬漬けにしても効かない「薬抵抗性」の場合は、昏睡状態にでもしないと普通のデイサービスは使えないかもね。。


4、泊まり(ショート・ロング)は?

泊りは理解ある事業者なら、限定的にできるけど
「前頭側頭型認知症」の場合は、昼間はサポートはあるが、夜(夕方6時~朝8時)は自力でやることになる。

泊りはマンツーマン対応になりがちなので、基本的に難しい。
夜間の介護施設の人員不足が原因。複数人を一人で見る。特養に至っては20~30人を一人で見る。

小規模では、例外的に人手の余っているときに受けてもらっているが、月2回が限界のようだ。眠剤は必要。



5、特養入れないの?

基本的にアルツハイマー用。

前頭側頭やレビーなどうるさい人は、薬で相当押さえつけるか、症状が進行しないと入れない。理由はスタッフの人員不足。20~30人を同時に見て、流れ作業で処理し、その間何時間も、大人しく待っていられるかどうか。

外出ができないから、一日中、おとなしくテレビを見ていられるか。
周囲からクレームが入らないように、静かにしていられるか。

夜、ずっと騒がず、暴れずに寝ているかどうか。無理。
応募だけはできるかも。
一応1ヵ所、所員の方と面会はしている。ただ相当先の話になるだろう。




6、治療薬はないの?


2021年現在「前頭側頭型認知症」の新薬の治験(テスト)は行われていない(難病指定されてるにもかかわらず)

患者数が少ないと薬を開発してもリターンが見込めないので、製薬メーカーが手をつけない。患者数の少ない難病こそ、行政の支援が必要だと思う。

今は自己責任でほったらかしになっている。



7、医者は何もしないの?

前頭側頭を良く扱っている教授も退官していたり、某有名大学病院の教授らも、論文だけ連名で書いて「え?俺書いてたっけ?」なんて人もいる。

難病指定されているため、論文を書いていれば国から研究費目的で大学に手当てが出るらしい。研究費助成目的ての論文を量産する大学病院も多いようだ。



8、なんで警察?

たぶん話し相手。
徘徊というより、道路に飛びだして、通行人を呼び止めて弾丸トーク。
不審がられて警察に通報される、というパターンが大半。

センターラインを歩いて、走っている車のボンネットを叩いて止めることも多い。

駐車場の車を開けようとして叩いて、その時にフライパンを持っていて、措置入院になりかけたこともあった。

不安感からどうしようもなくなり、飛び出し、誰かと話すと落ち着く。
訴えると落ち着く。
今はヘルパーがその代わりになっている。

信じられないかもしれないが、介護サービスがほとんど利用できず、ずっと連れまわしていた時は、

あえて道路に誘導して、誰かに通報してもらい、警察から保護の連絡がくるまでの30~1時間の間にダッシュで家事をしたり、整理をしたり、仮眠をとっていた。




9、精神病院には入れないの?


何で精神病院に入らないの?
お薬の調整したら?

と聞きたい。


投薬漬け。
以前と違い、ベルトで縛ることは減ったが、代わりに多剤投与で拘束する。
本人の意識下では、何も解決してないので、薬を抜いたら暴れだすだろう。

コロナのうちは面会も画面越しなどに制限される。
病院スタッフのケアも最小限。
外出もできない。

通所(デイナイトケア)と入院棟が併設してある場合、
クラスターの発生を恐れてスタッフもまったく別にしている。

医師も感染を恐れて、最小限の接触。
閉鎖病棟は、鍵をしめた廊下をひたすらグルグル回らせるようだ。

数カ月の入院でだいたいは身体機能が低下して、寝たきりや、おむつ垂れ流しになる。うちのように「相貌失認」がある場合は、子供どころか「顔見知り」だという認識もなくなってしまうかもしれない。

何か所か面会したが、どこも認知症の知識は一般的なものだった。
ケアの知識もなく、コウノメソッドのように前頭側頭型認知症をたくさん扱っているわけでもない。


ただ前頭側頭型認知症が「厄介な症状だ」というのはわかっていると思う。



必要だ、必要だ、とはやすだけで、周りは決定してくれない。
あくまで家族の決断。
本人にとっても辛い決断になる。



介護サービスは親が一人で受けるのではなく、
子供(家族)が依頼するものなので、、

どのみち、子供(家族)が続かなくなれば、親一人で介護サービスを続けることはできないので、病院に送られるだろう。


10、難病指定されてるのに何の支援もないの?

「前頭側頭型認知症」は指定難病なので、申請すれば医療費受給者証はもらえる。

ただ医者にお金を払って書類を揃えて申請し、1年ごとに更新しなければならないし、保険医療費が1~2割負担になるだけで、障害者手帳の自立支援医療と変わらない。

難病指定されているから、といって、給付金などはない。

「前頭側頭型認知症」にはほとんど薬は効かないし、入院もしないなら負担額は大して多くないので扶養。

難病指定、研究費名目で大学病院などに支援があるだけ。
研究費を得るために、複数の教授の連名で(名義を借りて)中身のない論文を書いている大学病院もあるようだ。


11、取材を受けたんですか?


雑誌の取材で本社にいったり、記者の人と喫茶店で待ち合わせて話す機会もあったが、あまり反応はなかった。

壮絶で可哀想な人、としてセンセーショナルな記事にしたいのか。
社会問題として訴えたいのか?

一般人にうける記事を書きたいのか?
いいねが欲しいのか?
泣ける記事にしたい?恐怖を煽りたい?

雑誌も結局はビジネスだから、共感やいいね!がもらえるように抜粋するし、構成するし、共感が得られない記事は書かない。


「なんで市役所に預けないの?
 役所に泊まる?普通にやむをえない措置になるだけ

「病院に入れれば?みんな治してもらってるよ
 治療法がないんだから投薬でマヒさせるか拘束するしかない
 戻った後の介護も大変

「扶養義務はない。生活に無理のない範囲で!
 それ同居してない場合の話な。他におしつける親族がいればいいけど。
 同居してれば賠償義務までキッチリ成立。

ぜんぶ外れだけど、一般読者の先入観はこんなものなので。
それにあわせて記事を書けば、書ける内容も限られる。



12、発達障害(ADHD、アスペルガー)と関係があるって本当?


医者はまだ明言してないけど、個人的にはすごく関係あると思う。

元々発達障害は、前頭葉の先天的な機能不全、未発達な状態のこと。
思考の反芻(ループ)や、ショートスリーパーの過集中が常時起こり、脳に負担をかけやすい。

脳に負担がかかって、脳寿命が短い。
ノイローゼのような思考の反芻(ループ)は鬱病と同じく、海馬(側頭葉)が委縮してしまう。

プラス前頭葉が元々弱いので、前頭葉が早めに委縮し、脱抑制の症状が出やすい。

発達障害はADHD、アスペルガーなどいくつかのタイプがあるけれど、

一例としてアスペルガーは
他人のことを意に介さない(我が道を行く)タイプが多く、
職業では教師や研究者が多い。うちもそう。

発達障害は、遺伝することが多い。
Twitterでも結構な人数の人が、前頭側頭型認知症で、家族も発達障害(ADHDやアスペルガー)を抱えている。



これが前頭側頭型認知症の正体じゃないのかな、と「個人的」には思っている。医者はまだ何ともいってないけれど。

今はADHDの治療薬で、脳に強い負担をかけるストラテラやコンサータを常用する人が多い。発達障害は安易に診断され、認定され、メンタルクリニックから「社会人として適応するため」に、と薬が出されている。

これがさらに脳の寿命を縮めれば、将来的に発達障害からの前頭側頭型認知症が(投薬が行われていなかった)それまでの比ではなく出てくる可能性がある。

そうなったときの受け皿は、全く「ない」のが現実。




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元教師、自殺しようとしたがやり方を忘れてしまい失敗。
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https://eiga.com/movie/81382/


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「自分は知的だ」とプライドが高く他人とうまくやっていけそうにない父親、娘に首を絞められ、娘婿に殴られ・・・。
https://eiga.com/movie/94427/

どちらも「Amazonプライムビデオ」で配信中です(2023年1月現在)
日本の映画は好きじゃない。純愛だの涙だの、家族の絆だの、きれいにまとめすぎる。ファーストフードのようだ。




~2023年1月26日 hamo.


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