マガジンのカバー画像

②テンホールズ・ストリート編

48
小説『僕はハーモニカをポワ〜ンと鳴らす』の〈②テンホールズ・ストリート編〉です。注意)以前、エッセイ『ハメルンのベンド』をお読み頂いていた方には専門学校編からストリートミュージッ…
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

72話 謎の男性

大音量のバンドゾーンが一段落し、後ろにかすかに聴こえるくらいの距離まで離れる頃、自動販売…

73話 妖精クリオネ①


迎えた翌週末、前週に続いてののどかな晴天の中、僕は教えてもらった初めての駅に降り立ち、あ…

74話 妖精クリオネ②


さっきまでの人だかりは消え、僕はクリオネがタバコを吸うのを見ながら、テンホールズハーモニ…

75話 決まる時は①

次に電車を降りたのは、かつて仕事や何かで数回ほど来た事のある駅だった。 そこが最近は音楽…

76話 決まる時は②

それなりに話がはずみ、その後再開したブルース演奏には少しずつコンビネーションが生まれ始め…

77話 シャボン玉

僕が路上で演奏していたマーシとロフトに知り合ってから、数回目の休日。結局、僕は電話番号な…

78話 弾き語り人①

バブル崩壊。それは当時、日本人の誰もが経験した壮絶で長きに渡る黒歴史で、相次ぐ大企業の経営破綻、連鎖する倒産、大量のリストラ。そのまま就職氷河期へと突入し、その後数十年と経済を立て直せない日々が、どこまでも続いて行く。 僕が入社した年にすでにバブルは崩壊したと聞いてはいたけれど、僕の会社でその影響を肌で感じる様になるまでには、ある程度の月日が掛かった。 ある日、路上で演奏する仲間マーシの会社が倒産したとロフトから聞き、次にロフトとも連絡が途絶えてしまった。 しばらくは休日の

79話 弾き語り人②

気が付けば、ギターを抱えた大学生くらいの男の子が、僕の前に立ち止まっていた。 音が終わる…

80話 心配な提案

久し振りの出会い。と言ってもまだ会話をするのも2回目という程度の関係だった。会社員のよう…