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安心と信頼の違い

会社帰りに久々に本屋に寄った。営業時間が短くなっていた緊急事態宣言中はなかなか立ち寄ることができなかった。ラジオに出演しているのを聞いて興味を持った伊藤亜紗さんの著作を探す。

帰って買った本を読むと、ちょうど伊藤さんがラジオで話していた部分が出てきた。安心と信頼の違いについて述べたものだ。

安心は、相手が想定外の行動をとる可能性を意識していない状態です。要するに、相手の行動が自分のコントロール下に置かれていると感じている。それに対して、信頼とは、相手が想定外の行動をとるかもしれないこと、それによって自分が不利益を被るかもしれないことを前提としています。つまり「社会的不確実性」が存在する。にもかかわらず、それでもなお、相手はひどい行動をとらないだろうと信じること。これが信頼です。

伊藤亜紗編『「利他」とは何か」より

こうやって定義されると、あらためて自分自身が人を「信頼」していないのに気付かされる。なんせ20歳の頃に「他人に期待しない」と書いたメモを残しているぐらいだ。

一緒にnoteをやっている ねねっちに対して「10万円までなら持ち逃げしても許す」と言ったこともあるが(共同で管理しているわずかなお金がある)、これは信頼なのかもしれない。

信頼の定義を読みながら、職場のことを考えていた。信頼はあるのかと。

「お客様は神様です」という言葉がある。店員が自分たちの振る舞いを正すための言い回しで、決してお客本人が言うものではない。言っていたらただの傲慢だ。

この言葉と同じように、信頼と安心も、望み方を間違ってはいけなさそうだ。上司は部下を信頼することが必要だし、部下は上司に安心してもらえるよう心がけなければならない。これが逆になって、上司が部下に安心を求め、部下が上司に信頼を求めると、リスクを無くせという上司とリスクを許容して任せろという部下が組み合わさることになり、噛み合うことがない。

みたいなことを考えていた。読書で思考が広がるこの感じ、久々。楽しい。

思い返せば、仕事に関係のない本を読んだのは本当に久々な気がする。にもかかわらず、結局仕事のことを考えてしまった。けど、よし。

(どみの)

#読書の秋2021

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