『かっこいい宇宙人のぼく<改訂版>』

『かっこいい宇宙人のぼく<改訂版>』作/すがの公
<あらすじ>昔、東京湾だった海の真ん中。夢の星にぼくらは住んでいる。
地球人がいっぱいゴミを捨てるもんで、夢の島はどんどん増えていった。
誰かが「いずれ夢の星と呼ばれるだろう」とラジオで言い、母ちゃんはそれを気に入った。「じゃ、うちらは宇宙人ってわけだ。」この星に、ぼくは空箱から生まれた。「あんたは特別な子だよ。なんたって魔法が使えるからね」母ちゃんはそう言った。

ネギ
ミスド

ドミノ

金田悪太郎
キム
ゴミ屋

■はじまり

☆客入れ SE:波の音  
     無造作に置かれた作業灯。ねぎ箱に作業灯の1つがあたっている(青)。
     キャストを含むコロスが舞台上袖に着席。
     コロスが全員着席したら波の音が大きくなり、ネギ箱を照らす作業灯が消える。
     作業灯の1つじょじょに明転。大人になったネギ(大ネギ)を照らす。寝ている。

生声:ピ、、、、ピ、、、、ピ、、、、ピ、、、、(心電図音)

     ネギが顔を上げ話し出す。心音鳴り止む。  

大ネギ:母ちゃんはことあるごとにこの曲をかけた。
頭の悪い感じのするこの歌がクリスマスにかかるジングルベル
だと知ったのはあたしが大人になってからだ。
「あんたは特別な子だよ。なんたって魔法が使えるからね」母ちゃんはそう言った。

様々な音。ズッザ、ズッザ(足踏み)ゴンゴンゴンゴン(ローラー音)など。
コロス、舞台に散らばるボロ布を着て口々にしゃべっている。
    舞台に転がっているダンボールを手に取りリズムをつけながら叩く。
    他のコロスも足踏みでリズムをつくっていく。
    照明担当のコロスが袖で作業灯を怪しく点滅させる。
真ん中を割るようにネギが空を仰ぐと、その先に”希望の紐”が垂れている。
押しのけ踏み台にしよじのぼり這い上がり、ネギ、紐を手にするが切れる。

ネギ:あ

折り重なるようにゆっくり倒れる人々。暗。
  SE:波の音 ザザーンザザーン

■星の生活

海(生声):ザザーンザザーン。
ネギ:昔、東京湾だった海の真ん中。夢の星にぼくらは住んでいる。
地球人がいっぱいゴミを捨てるもんで、夢の島はどんどん増えて行った。
誰かが「いずれ夢の星と呼ばれるだろう」とラジオで言い、母ちゃんはそれを気に入った。
母:じゃ、うちらは宇宙人ってわけだ。
海:ザザーンザザーンザザーン

母の懐中電灯の灯りが舞台上の発泡スチロールの箱を照らす。

ネギ:この星に、僕は空箱から生まれた。おぎゃあ、おぎゃあ。

「万能ネギ」と書いてある。

ネギ:僕の名前はネギ。
母:発泡スチロールに書いてあったから。
ネギ:なんかテキトーじゃない?
母:ネギ、おまえついてるよ。ゴミの汁を吸って生き延びたんだ。
ネギ:この星はいつでもあったかい。
母:ゴミが腐ってエネルギーが溜まってるわけ。悪臭漂う天然ガス、ほら、電気だって点いちゃう。

母、電気をつけるふり。作業灯が次々点く

母:ほらまた見たこともないような草が生えてきた。

     コロス、寝そべりながら手や足で植物を作る

ネギ:要らなくなったモノの中から、新しい生き物が生まれるなんておかしいね。
母:ネギ、おまえもここで生まれたバケモンだよ。

     母、ゴミをまさぐっている。足に鉄のおもり。口にタバコのような、新聞を巻いたものをくわえている

引きずり音:ズズズズ、ズズズズ、ズズズズ。

ネギ:母ちゃんは足におもりをつけてる。
母:おしゃれだろ。
ネギ:いつもハッパを吸っている。
母:夢のハッパ。

遠くの地鳴り:ゴンゴンゴンゴンゴン

    コロス、体を揺らす
ネギ、地面に耳をつけて聞く

母:そろそろかい?
ネギ:最近は15日にいっぺんこの星がゆれる。昔は半年にいっぺんだったらしいけど。
母:段々周期が早くなる。地球人は、ゴミしか生まない
ネギ:地球が終ったらこの星も終わり?
母:この星は大丈夫。地球にぽっかり浮かんでんだ。
ネギ:地球のどこ?ベイコク?中華国?コリア?ニッポン?
母:なんでそんな事知ってんだい
ネギ:秘密ー。
母:ゴミからまた余計なもん掘り出してんじゃないだろね。
ネギ:揺れるよ!
地面:ガゴンガゴンゴアゴンガゴアンアゴアンゴン
ネギ:星のマグマが揺れ出すと、あちこちに地割れが出来てくる

コロスの揺れが激しくなる。

母ネギ:うわあ、ゆれるゆれるう♪

ミスド駆けてくる。

ミスド:ネギ!母ちゃん!
母ネギ:よお♪
ミスド:馬鹿なことやってっと星に飲まれんぞ!
地面:ガガガゴゴゴガガガゴゴゴゴゴッズバババズババアガガ

逆からドミノ

ドミノ:向こうから!鉄人ローラー!
ネギ:爆音がしてバカデカイ鉄人ローラーたちが横一列!
ドミノ:ゴロゴロゴロゴロ
ミスド:あっと言う間に西から東!
ネギ:ぼくらの星を一掃する!
母:逃げ遅れたらぺしゃんこ!
鉄人ローラー:ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

    作業灯を持ったコロスが上手から下手へ灯りを揺らしながら移動。
寝転がっているコロスも周りのゴミを回収しながらハケる。
誰もいなくなる舞台、ネギ、スキップしながら再び登場。地面を踏む、

ネギ:鉄人ローラーたちが通り過ぎると、このとおり。

ミスド、ドミノついてくる。

二人:カッチんこっちんつんつるりん
ネギ:この星一面まっ平ら。
ミスド:また外壁が高くなった。
ネギ:こっちが低くなったんだって
ドミノ:なんで?
ネギ:地球人のゴミがたくさん入るように、ギッチギチにして固めるんだって。
ミスド:ほら、さっそくゴミコプターが地球のゴミを落としてく。ネギ、ドミノよけて!
ヘリたち:ババババババババババババババ

鉄人ローラーが下手から上手へゴミコプターに扮し作業灯を振りまわしながら移動。
周りのコロスが再びボロ布・ダンボールを落としていく。

ドミノ:おう!おう!おうおう!
ミスド:ドミノ、みつかんないでよ?
ネギ:どうせ見ちゃいない。
ドミノ:おう!こいやこら!
ネギ:こっちがミスド、こっちがドミノ。
   ぼくよりも早くに夢の星に来て母ちゃんに育てられた。
ドミノ:こんいちわー
ミスド:ネギ、誰にしゃべってんの?
ネギ:セラピーだって。
ミスド:セラぴ?
ドミノ:なにそれ?
ミスド:ネギはたまに宇宙語を話すからね。
ネギ:ミスドは一番上。ぼくに色々教えてくれる
ドミノ;おれ!おれ
ネギ:ドミノは馬鹿。頭がひしゃげてたから。
ドミノ:ばかじゃないぞ!ひしゃげてない!さわって!(ミスドさわる)
ネギ:みんな空になった箱から生まれた、えーと、兄弟?
ミスド:きょうだいじゃないよ。
ドミノ:うちゅうじん!
ネギ:ぼくらの前にも5人とかいたらしいけど今はいない。
大人になって、地球で立派に働いているのだそうだ。

母登場。血まみれ。

母:ハーい。みんな無事かい?
3人:はーい。血ー出てルーシー。
母:はーい。
ミスド:軽く血まみれだけど?
母:家作るよ家。
3人:めーんどくセーシー。
母:この面倒な作業さえなけりゃね。最高なんだけど。
ネギ:文句を言うわりに母ちゃんは
母:今度はどんな家にしようか。
ネギ:いつもこの日、楽しそうだ。
母:ほら、だんらんセットが必要だよ。なんたって家だからね。
屋根はなくても構わないけど。みんなで囲むものが必要だ。
ほら!ぼけっとすんなバカ!
ドミノ:あれ。
母:なに?
ドミノ:カラスっ。
母:ドミノでかした!
カラスたち:カアカァカアァカァカアアカァカァ

たくさんのカラスが飛んでくる。

カラスたち:ばっさあぁカァカァばっさぁ。ちょん。ちょんちょん。ぴぃ。ぴぃ
ネギ:カラスがいる場所には食べ物が埋まってる。
母:チャンス!
二人:行け!ドミノ!
ドミノ:おー
カラス:カー
ドミノ:わー

ドミノ、カラスにやられる。

母:やくたたず(ドミノをなぐる)
ミスド:どんどんでかくなりやがって
ネギ:いっそ、あいつらを食おうか?
母:ばーか。そしたら誰が食いもん見つけるんだい
カラス:カァカァ!!
ネギ:あーー!

ネギ、カラスに捕まる

ミスド:ネギ!
ネギ:かあちゃん!!
母:がんばれっ
ネギ:ええええええ?!

ネギ、さらわれる。

カラス:カアカアカア!
ネギ:くわれるー!くわれるかもぉ!
二人:ネギィィィィィィィ、、
母:さ、
3人:めしめし!

地面を掘ると何かが出てきた

母:おお!おお!おお!
ミスド:おお!おお!
ドミノ:おおお!おお!おお!
3人:わなわなわなわなわな(歓喜)

ネギ、軽く血まみれで帰ってくる

ネギ:助けを求める人がいたら助ける決まりにしない?!
母:ごらん!本日の食卓!
ネギ:なにそれ?
母:これだよ?!
ネギ:だから何それ?
母:なに言ってんだい!わからないのかい?この包装紙をみて!
ミスド:わからないのかい?このこんがりバンズをみて!
ドミノ:わからないのかい?この黄色いMのマークをみて!
ネギ:何?

3人、ハンバーガーを投げつける。

3人:マクドナルドだよぉう!!!!
ネギ:ええ?何それ?!
母:知らないのかい?!
ミスド:あるところではマック!あるところではマクド!
ドミノ:食べ続けると死に至る旨さ!
3人:マクドナルドだよぉう!!!!
ネギ:知らないよ!
母:フィレオフィッシュ!
ミスド:マックポーク!
ドミノ:チキンフィレオ!
3人:すごい!!
ネギ:あのー
母:ほらだんらんセット!
2人:らじゃ!

ミスド、ドミノ、一旦退場。

ネギ:あ!あった!これは?(拾った)
母:あ、それハンバーガー。ふっつ-だわ。
ネギ:あ(そんな冷たくしなくても)
母:わお!シャカシャカチキン!!
ネギ:(よく知らないけど)いいな

ミスド、ドミノ、段ボールもって登場

ミスド:新だんらんセット
ドミノ:これでいい?
母:囲めるものならなんでもいい!

4人、祖末な食卓(段ボール)を囲む。

ネギ:ハシは?
母:マクドナルドの時は特別にハシがいらない!
2人:ひゃっほう!ぽぉ!!(マイケルジャクソンより)
ネギ:あ、へー

未確認生物UMAたちぞくぞく登場。4人の食卓を囲みゆっくりと回る。

ドミノ:あ!チュパカブラだ!
ネギ:え?
ミスド:あ!ヒツジ男だ!
母:あ!モンキーマンだ!
ネギ:あ!モケーレ・ムベンベだ!
母:この星には世界の未確認生物
ミスド:Unidentified Mysterious Animal
ネギ:わー
ドミノ:U・M・A・ウーマ
母:たちが住んでるから助かるね。
ネギ:助かる?

母、オルゴールを取り出し食卓に置く。

母:さ、音楽!

☆音楽ジングルベルが鳴る。
チュパカブラ、ヒツジ男、モンキーマン、モケーレムベンベ
UMAたち、ぶつぶつ言ってる。

チュパカブラ:チュパカブラはスペイン語で『ヤギをしゃぶるもの』
ヒツジ男:頭部がヒツジそのもので筋肉質な体は全身灰色
モンキーマン:上半身は猿、ヘルメットやズボンを着用、インドで出没
モケーレムベンベ:アフリカのコンゴ奥地のテレ湖に生息。水陸両用

母:姿勢正して!
3人:いただきます!(UMAにとびかかる)
ネギ:やっぱ喰うんだ!

3人醜く争いながらハンバーガーを喰いつつUMAを狩る。

ネギ:ケチでセコくてウソつきで意地汚くてわがままで、
だけど僕はこの星のみんなが大好きだ。
僕はこの生活がずっと続けばいいと思っている。アディオス!セラピーねーちゃん!

ネギ、乱闘に加わり、宇宙人とUMAたち喰う喰われるをしながらジングルベルの替え歌を歌う

★ 『企画制作ハムプロジェクト
演劇えんげき :
かっこいい宇宙人のぼく
作・演出 すがの公』
      
♪金はないよー(すっからかん)屋根もないよー(ピーカンカン)
ゴミだらけのー(ウッホイ)夢の星よー(らっぱっぱっぱ)
腹が減ったー(ぐーキュルグー)カラス鳴いたー(カァカァカァ)
ゴミを喰ったーら、腐ーってた!ヘイ!
ジングルベルだの聖なる夜だの関係ねぇ
悪臭ー天国ー有毒ガス(ぱあ)
煙突どころか頭の上にはなんにもねぇ
さすがのサンタもきやしねぇー♪

■五円玉セラピー

曲が止まる。ストップモーションの宇宙人とUMA。
悪太郎、女、ポンチョを脱ぎ登場。女、五円玉を持っている。

悪太郎:これは、つまり、あの女の頭の中の?
女:私の五円玉催眠術によるネギの無意識下の記憶を演劇的に再現しました。
悪太郎:元東京湾第18番埋め立て地/6代目夢の島に20年間人が住み、
この、UMAってなんだ。
女:えー、アンアイデェンティふぁーい
悪太郎:世界の未確認生物がそこに大集合してたってーのか?
女:(時計)あッいけない!お疲れさまでした!
悪太郎:あれ?

宇宙人とUMA脱力しその辺を片付けて作業終了書に判子をお願いして退場してく。

バイトたち:お願いしまーす。お願いしまーす。お願いしまーす。
女:(判子押しながら)おつかれさまでしたーおつかれさまでしたー
おつかれさまでしたーおつかれさまでしたーおつかれさまでしたー
悪太郎:登録バイトか?
女:お芝居の本番のたびにアルバイト変えるから、彼らも大変です。
悪太郎:なぜか、人ごととは思えんな。
女:がんばれ(ファイトっ)
悪太郎:(袖に向かって)結局テレアポがいいぞ-!あとネカフェ!
女:金田さん。目に涙。
悪太郎:(目に涙)日々の不安定な生活が脳裏に浮かんで
女:しっかりしてください。
悪太郎:今日は何年の何月何日だ。
女:昭和86年5月5日。
悪太郎:生きてるなぁ~昭和天皇~。
女:はい。パラレルワールドという、違う歴史を辿ったニッポンというわけでして。
悪太郎:脳が疲れた。休憩しよっか。近くのラブホで。
女:不謹慎な!それでもいっぱしの刑事ですか?

悪太郎、見栄を切る。タン! コロス、いいとこで合いの手。

悪太郎:穴があったら女と見なす。オギャアと生まれたその日から、
俺のチンチンピンコ立ち。あなたとわたしに未来はいらぬ、
今夜のベッドがあればいい。求む一夫多妻復活!金髪黒人難民土人!
世界に股かけアナタの股を開かせる、歩くセクシャルハラスメント。
正義の刑事!金田悪太郎たぁ!(キメ)俺のこっていっ。
女:こんにちわ。
悪太郎:こんにちわ。匂いをかがせてくださいな(寄る)
女:(平手)
悪太郎:(動じない)右のおっぱいモマせてちょ。
女:訴えますか
悪太郎:二人、生物としての営みをまっとうしましょう。もにゃもにゃにゃと。
女:とうとう催眠でも証言を引き出せなくなりました。
悪太郎:お、無視。セックスしませんか。今。
女:私の技術に問題があるのかもしれないですが。
悪太郎:なんて不自然なキャッチボールを展開するんですかあなたは。
女:今時古いのかしら、五円玉催眠なんて。
悪太郎:すごい。球をキャッチするそぶりもない。
女:はぁ、やっぱり向いていないのかしら。セラピストなんて
悪太郎:ええ、じゃあそうかもしれませんねぇ。
女:はああああ?!(怒り)私だって精一杯やってるんです!!
悪太郎:お?
女:私、この仕事を一生懸命愛そうと思っているんです!
それをなんですか?!向いてない?向いていないとおっしゃるか!
悪太郎:あなたがおっしゃったんですが。
女:免許だってあるのだが!!志しも高いのだぎゃ!?
悪太郎:語尾が変です。
女:ああああ、だみだ。このままじゃだみだ。だみだみだ。だみだーだみだー!
悪太郎:精神科の医師が常軌を逸している。
女:精神科医になったのもだ。患者さんを助けるというよりもだ。
自分の人みしりなおそおみたいなきっかけでだ。そりゃだみだー。
なんだおまえ、まだいたか。
悪太郎:先生。精神鑑定を受けてはどうですか
女:ひい!うえーーん
悪太郎:あーぜったい俺泣かしたー。ごめんごめんなんかよくわからないけどごめんごめんごめん
女:うええん(なんか喰う)がつがつうえええんがつうえええん
悪太郎:泣きながら何か喰らわないで、切なくなるから
女:じょぼび、ばぼぼご、どぼじょやあああ
悪太郎:うん。ひとつも聞き取れない。
女:ざぼん!ばぼぼん!さぼじゃきちきらああ、ばいやー
悪太郎:困ったな異国の言葉にしか聞こえない。
女:ちょごれやー
悪太郎:頼む、君が泣いてるとおハナシが一向に進まないんだ。
女:(泣き止む)(立ち上がる)
悪太郎:あれ?

女、退場する

悪太郎:え、退場した?、、、おうい、、俺、どうすればいい?

女、登場する

悪太郎:お(良かった)あれ?

女、カッターの刃を出し、卓球の構えから、

女:たあ!(自殺)
悪太郎:こらあああ!

刑事、女をウソの平手打ち。パシーーー!

悪太郎:愛ちゃん!いやみっちゃん!しっかり!(ゆさぶる)
女:へけけへけけけ(ゆさぶられる)
悪太郎:聞け!きけきけみっちゃん!我々はこのいたましい事件を
くりかえさせては、ならんのだよ!(抱く)処女ですか?!
女:はいそうです!!(なぐる)
殴り音:ぼぐぉ!
悪太郎:ああうう!!

悪太郎、おおげさに側転ぶっとび、スチャっとキメ

女:おゥ?!(なかまゆきえ)
悪太郎:おいそこのニセなかまゆきえ!
女:なに?(なかまゆきえ)
悪太郎:これがなんだか、、、わかるね。

一冊の本を出す。

女:!!、、小説「夢の星の人」
悪太郎:、、サブタイトルは、~かわいそうな宇宙人の君~。

☆ダンッ!音楽(コロスのうちの3人位がダンボールや床を叩きリズムを刻む)
     照明変化(作業灯を付け替える)

悪太郎:昭和86年4月、一冊の本が出版された。
東京湾の埋め立て地に20年幽閉された宇宙人と呼ばれる人間たちの空想小説。
作者は、護摩堂大輔。普段は第18番埋め立て地の管理アルバイト。
素人目にもたいした本じゃない。
女:、、、、
悪太郎:返本の山に消えて行くはずのこのただの小説が、ある日突然ベストセラーになった。
なぜか。、、、出版の数日後、ある事件が明るみに出たからです。
女:『夢の星幽閉事件』
悪太郎:自分を宇宙人だと信じる一人の女性が、夢の星で保護された。
なんと推定年齢20歳前後。生まれてから20年もの間、あの場所で暮らしたという。
女:ネギちゃん。

舞台奥に大ネギ登場。作業灯の1つ、ネギに灯りを向ける。
    悪太郎、調書を読む。

悪太郎:東京湾中央防波堤外側、第18番埋め立て地幽閉事件。
宇宙人ネギの登場によりこの本はノンフィクション本であることが証明され、
世間は同情、いや、熱狂した。当局はネギを保護。
真実を追求するためにはあの子の証言が必要です。

    ダンボールSE:ダンッ!!曲リズムが変わる
女、カルテを読む。

女:しかし、事件発覚から1ヶ月、日に日に言葉の数を減らして行き、ついに黙秘。
本日5月5日より、ネギの治療の意味も含め
催眠療法及び最新テクノロジーの導入に踏み切りました。
健康状態は良好ですがネギの睡眠時間が過度に増えて行きます。
長い幽閉生活の間に脳になんらかの障害を受けた可能性もあります。
悪太郎:そして事件はこの麻薬の存在で犯罪と関わっている可能性をも帯びた。

調書にはりつけてある、ジップロック入りの麻薬ドリームグラス

悪太郎:島には、このドリームグラスの存在が見え隠れしている。
女:夢の草。
悪太郎:、、どんな事実も受け入れる。そう言ったのはあなただ。
女:、、、
悪太郎:降りるも降りないもあなたの勝手だ。そもそも捜査と診療の協力を申し出てくれたのは、
この本の作者の妹さんである護摩堂美子さん、あなただ。

     ダンボールSE:ダンッ!音全て止まる。

■最新テクノロジー

女、すっくと立ち上がる。

悪太郎:そしてあなたたちは
女:あんちゃ、わりーやつでねもの!
悪太郎:青森(北海道)の生まれだ。

作業灯、灯りを変える。
生声:たんたんたんたんたかたんたんたん♪(間抜けな感じ)2小節生声で進め、3小節目からダンボールSEへ戻す。

女:ノンフィクション作家になるちゅって東京さ行っで、
  ラップトップパソコンかかえでとうちゃに勘当されで、
  なげーこと電話のいっぽんもよこさねで、ひさかたぶりに名前聞いたと思ったら、
  ベストセラー作家だもの、あだす、びっくらこいて、うんばば(ラップ風)

袖のコロス、ネギも踊りだす

悪太郎:幽閉事件の重要参考人として護摩堂大輔及び、
この物語に描かれた全ての登場人物を全国に指名手配!
女:あんちゃ、わりーやつでねぇばば!!
悪太郎:しかし全員事件発覚当時から行方不明ばば!
女:わだす。真実をつぎどめるの!
悪太郎:このままではあなたのお兄さんは犯罪者だだだ!
女:もう五円玉催眠なんて生半可なことやってらんねぇす!
悪太郎:ではどうするのす!?
女:コンピューター!システム起動。

COM高低:じゃーーーーん

    作業灯全て落とす。と同時にコロス、白いLEDをつける。

悪太郎:Macintoshだだね!

女正面を向き、脳内制御システムを起動する。
白ライト、揺らめく。

COM低:ウォオオンオンオンオンオン
悪太郎:おおおおお?(キョロキョロ)
女:ヘッドセット装着。
COM高:オン・ライン
女:ログインします。
COM高:アイデンティファイユアセルフ
女:護摩堂美子、精神科医師セラピスト。

女、おもむろに眼鏡をかける。

悪太郎:!!



COM高:フォオオンフオンオンフオンオン
女:シナプスジャック。クライアントID、N、E、G、I
COM低:N...E...G...I
COM高:...N...E...G...I

白LEDでアルファベットを書く
案外アナログな文明表現にたじろぐ悪太郎。

悪太郎:おお、おおお、おおお?
COM低:NOW,CONNECTING.......
COM高:ウィウィウィウィウィウィゥイイイイ
女:ネギの脳内に潜入、

みっちゃん、体をななめに、眼鏡に手を添え、エリートウーマン的メガネキメ。

悪太郎:みっちゃん!
COM:シャキィィイン

全LED、女に向ける

女:おめーにロックオン(真顔)
悪太郎:かああっこいいいいい!!
COM:バシュウゥウ!!!!!!!!!!!!

    LED消える

■北コリアンダンス

    兄、頭に探検用ライトつけて手で船こいでくる。クイーンを歌ってる。

オオル:ギーコ、ギーコ、ギィ、ギィ
兄:ばりおりえんでるせんでるせる♪しぎ!WE WILL WE WILL ROCK YOU!(歌、なんでもいいです)いやー、厳しいな。毎週毎週。地図で見るとな、あ、3キロじゃん楽勝じゃんとか思うけどな。暗いんだ。夜は。そしてあるんだビッグウェーブが。この前なんて間違ってディズニーランドに上陸したからなぁ。警備員にそんなにしてまで入りたいならとか同情されてよ。シンデレラ助けたよいちお。最近はいいよな。GPSついてっから。えーと今どこだ。えーと、中央防波堤内側埋め立て地。あっぶね、ちょい南じゃん。あーなんで湖にあるボートみたいのこいでんだ俺は。あー腕だるい。しかし、ここでやすむと一気に羽田空港へ。スチュワーデスに「飛行機乗りにきたんですか?船で」とか言われちゃうよなぁ。今度あれにしようかな。足こぎの白鳥のスワンボート。夢の島に落ちてたら拾おう。いやいやいや、目立つだろ。捕まるだろ。なら最初からモーターボートでいいだろ。金はあんだよ金は。ゴミ屋なめんじゃないよ。俺に無いのは女だけ。さみしー。さみしーなう。

金田と数人のコロス、赤LEDをつけ泳いでくる。

キム:挫罵亞挫罵亞挫罵亞挫罵挫亞亞(ザバアザバアザバアザバザアア!)
兄:ん?なんだ?
コリアンたち:挫罵亞挫罵亞挫罵亞挫罵挫亞亞!挫罵亞挫罵亞挫罵亞挫罵挫亞亞!
兄:あ?え?東京湾泳いでる奴いるぞ?

ゴミ屋、念のため、電気を消す。

キム:ザバア!ザブン!ブクブク~、不波亜(ぷはあ)~

赤外線スコープをつける、北コリアのキム

兄:?うわ、ちけぇ(ゴミ屋囲まれている。)
コリ1:不波亜(赤LED)
コリ2:不波亜(赤LED)
兄:わわ
コリ3:不波亜(赤LED)
コリ4:不波亜(赤LED)
兄:わわわわ
コリ5:不波亜(赤LED)
キム:不波亜(違う色のLED)
6人:○色!(その色につっこみ)何出矢念!(←つっこみらしい)
キム:是歯科無勝田(いいわけ)
6人:飯井飯井飯井飯井飯井(あーいいいいいい)
キム:全員海豚?(ぜんいんいるか?)
   個々空葉(ここからは)皆日本語デ話セ
コリ1:オッケー
6人:何出矢念!(つっこみ)
キム:ディワ、ケンチョウエノル。我祖国野為児!
6人:我祖国野為児!
キム:出力全開。シャガセ。
全員:挫罵挫罵罵罵罵挫罵罵罵罵挫罵罵罵罵挫罵罵罵罵挫罵罵罵罵

一気に散る赤LED

兄:、、、、、だれかー、いますかー。

ひとつつく、ゴミ屋のライト

兄:あれ、北コリアンだな。最近は太平洋側から上がるのか。あっぶね、俺拉致られるとこじゃねぇ?おっかねぇ!そういう時は*****を歌おう。スピードアーーーップ!ガラーのへい!でぃっしゅずは!へんでろみこらいいからいへ。しぎ!WE WILL WE WILL ROCK YOU! WE WILL WE WILL ROCK YOU!(歌、なんでもいいです)
岸:ごとん!
兄:あ、ついた!ついたなう!
母:ひとりツイッターしてんじゃないよ
兄:だれだ!

照らす。

兄:ばけもの!
母:うるさい!
兄:ああなんだ!ゴミばばあか!
母:だまれゴミ屋!
兄:毎度!第18番埋め立て地管理責任者/護摩堂大輔でございます。
母:アルバイトだろ
兄:ニートやフリーターバカにしちゃいけませんよ?ぼくら根無し草がね、未来のニッポンを支えているんです。

船から降りる。

母:今のニッポンは
兄:ちっとも支える気ありません。
母:ミスド電気っ
ミスド:あいよー

作業灯がつく。
ミスド、作業灯を持って登場。

ミ:おっすゴマちゃん。
兄:お、ちょっと見ないうちにまた大人んなった?ミスドちゃん。
ミ:1週間しか経ってねぇし。
母:さ、仕事仕事。ミスド、あれ
ミ:はいよー

電気を床に置く。ミスド、段ボールにいっぱいの草を持ってくる。

ミ:ねー、そろそろドミノにやらせない?
母:ありゃだめだ。覚えが悪すぎる。
ミ:ネギでもいいじゃん。
母:こういうのは順番なんだよ。
兄:俺はミスドちゃんの方がいいなぁ。
ミ:ゴマちゃん、わたしのこと好きなんか?
兄:好き。ミスドちゃんにささやかなおみやげー

兄、口紅を渡す。

ミ:うわ、やったー!今度はなに?
兄:この前、手鏡だったろ?今度は口紅。
ミ:おお!やったー!
母:さっさと運びな
ミ:はいよー。

ミスド、兄が持ってきたモノを運ぶ。退場

兄:なんか急に大人っぽくなったなぁ。ミスドちゃん。
母:本気じゃないだろね。
兄:え?は?何言ってんだよ。
母:大事な箱入り娘だよ。
兄:ばかにすんじゃないよ。俺だってね、
母:ゴマちゃん、あんた女は?
兄:星の数ほど知ってら。
母:一方的にだろ?
兄:そう。違う!
母:文学やってる男は何やらかすかわからん。
兄:ちょっとっ!異常者みたく言わないでよー
母:ニッポン人ならもっとかしこく立ち回んな。
兄:右足にアクセサリーつけてる世捨てびとに言われたかない。

ドリームグラスの小箱を渡す。

母:お、丁度切らしてたんだ。

新聞にくるまった煙草のようなものを中から一本だし嗅ぐ。

兄:現世、忘れられまっせ。
母:ふん。早くクサ持って、消えな。ミスド、消しな!
ミスド:あいよー

電気が消える。母、兄、暗で退場。

波:ざぱーーーーーーーーーーんざぱーーーーーーん

ネギ、白LEDを持ちながらキョロキョロ登場。

ネギ:あれ?このへんだよな、南のでっぱり。あれー。
   なんだよー。今日こそ仕事教えてもらおーと思ったのにー。おーい、ミスドーぃ。

ネギ、退場。少し時間が経つ。

■キム上陸

赤LEDがやってくる。

キム:無波!下歩ッ!

岸に上がってくる、キム。

キム:不ー。

赤LEDを外す。白LEDで自分の手を照らす。トランジスタのつまみを合わせる。

キム:、、
トランジスタ:キューンザーババ、キュィイン
キム:、、、ちっ。壊既信号通水。派ー、是ー、刃ー、是ー。

なにか、いらついている様子。地面を蹴る。

キム:何此処体我!痛!失敗任国我為務!向不我軍使国優秀人!嗚呼!!

ネギ:ミスドーなんか貰ったー?

ネギがLEDをつけて来る。

ネギ:あ!!
キム:!!

キム、慌てて電気を消す。

ネギ:ミスド発見ー隠れて脅かそうとしても無駄ー。

キムに当たる電気

ネギ:あれ?だれ?
キム:、、刃ー、刃ー、是ー。
ネギ:星の人間じゃない。
キム:食物在増線、、
ネギ:、、地球人、、、?
キム:痛!

キム、ひざをつく。

ネギ:けがしてる?
キム:、、、、

キム、長旅の疲れで、倒れる。

ネギ:あ。
波:ザザアーン

波:ザザザーーン

■次の日。

ミスド:いいことあっる、ぞ?
母:ちがう。

作業灯のいくつかとパーライトつく。明。

母:いいことあーるーぞーっお、みすたどーなっつ♪
ミスド:いいことあっる、
母:へたくそ
ミスド:だってしらねぇもの!
母:ネギは?
ミスド:知らない。
母:あんた一番上なんだからちゃんと見てやらんと。
ミスド:ねぇ、ミスタードーナツって何?
母:えーっとねぇ。外人さん。ドーナツ氏ってこと。
ミスド:ぜったいウソだ。

波:ザザアーンザザザーーン

ミスド:みんな箱から生まれたんでしょ?
母:え?あー。まーね。そーそー。人間はね、色んな箱から産まれるの。
ミスド:あたしの、ミスタードーナツ氏の箱、どんなだった?でかい?
母:これくらい
ミスド:げ、ネギよりちっちぇえし。
母:おしゃれーな感じよ?こう、丸みを帯びた。ちょうどドーナツが8つは入りそうな。
ミスド:おお!
母:なんと、手提げ可能。
ミスド:おお!
母:差し入れにぴったり。
ミスド:いやっほう!ねぇそれいい事?
母:中に入ってたあんた、ポンデライオンみたいでね。(なんでもよし。フレンチクルーラーなど)
ミスド:ポンデライオン?
母:うっかり喰うとこだった(遠い目)。
ミスド:あっぶね!
母:おっきくなったね。
ミスド:そー?
母:うん。

波:ザザーーン、ザザザーン

母:あ、ドミノなんてね?
ちょうどピザのMサイズが一枚入りそうなこんなうっすい箱だよ。3センチ。
ミスド:3センチ?!よく入ったね。
母:あたまひしゃげてたからね。直したんだ。こやって。
ミスド:だからあいつ、バカなのか。

ドミノ登場

ドミノ:オー。
ミスド:あ、3センチが来た。
母:ネギは?
ドミノ:さー。3センチ?なに?
母:なにやってんだあのバカ
ドミノ:おれバカじゃないぞ!
ミスド:ばーかばーかばーか
ドミノ:おう!おう!おう!
母:やめな!恐いよ?
ドミノ:そうだぞ。
母:馬鹿怒ったら。
ドミノ:おうおう!
ミスド:これ食べる?
ドミノ:おああ!ファミチキじゃん!やりい!
母:え?
ドミノ:ファミチキ!
母:そんな言葉どっから?
ドミノ:コンビニの鶏肉!Lチキとイイ勝負!
母:なんで知ってんのバカのくせに。
ミスド:さ、さあ、なんか知ってんのバカのくせに。
ドミノ:行ってきます!
ミスド:いただきますやろ!(下手つっこみ)
母:なんか隠し事してない?
ミスド:いや、やははー。

ネギ、駆けてくる。

ネギ:はぁはぁはぁ
母:どした?
ネギ:イヤ、ベツニ。
母:ほんとに
ネギ:なんも、なんもなんもなんも。
母:怪しいね。
ネギ:別に。別に。別に。
母:ふん。
ネギ:へへーへへへー
ミスド:?
ドミノ:ネギさっき外壁(そとかべ)の方行ってなーい?
ネギ:い、行ってない!(バカッ)
母:ミスド
ミスド:げ。
母:あんたが一番上でしょ?壁の方行かせない。
ミスド:(おこられたじゃん)
ネギ:(ごめん!あんたのせいだよ?)
ドミノ:(おこられてんじゃーん)
母:あんたたち、また隠れてなんかしてんじゃないだろね?
二人:ししししてないしてなない。
母:あやしーね。あんたたちもそろそろ子供じゃないもんねぇ?
ドミノ:おう!
ミスド:いやいやいや!子供子供!ほ、ほら、
ネギ:あ、「ぼ、ぼくー、おばけはきっとおもち味だとおもうよ」
ドミノ:「お砂糖ってなにもつけなくても甘いね」
ミスド:「おまわりさんのおうちって、ちっちゃいねー」
ネギ:「ねぇにらめっこしようよ、笑うだけでいいからあ」
母:だめだめ
3人:「かあちゃん、顔にひび!」
母:しわ!
3人:えへへーえへへー(鼻の下を人差し指で左右にこする)
母:そやって無垢な子供発言を並べてもだめだよ。
3人:出典・朝日新聞生活面コラム『あのね』!
母:むやみに地球人の勉強をしないこと。いいね?
3人:はい!(やけに元気)
母:地球人につれさられたくなかったら外壁に近づかないこと。
3人:ふあい!!!(やけに元気)

母、足を引きづりながら、ドリームグラスをすいながら退場。

3人:、、、、
ドミノ:いった?
ミスド:いったか?
ネギ:いったっ
3人:よっし!
ミスド:あとで、「ナイショのとこ」集合!
2人:おす!

ドミノ退場。

ミスド:ネギ。
ネギ:ん?
ミスド:さっき、どこ行ってたの。
ネギ:あ、えっと、ちょっと、外壁の方。
   えっと、ちょっと、あの、海獣ザザーンを、探しに。

   ネギ、喋りながら作業灯を消していく

ミスド:ふーん。
ネギ:いなかったけど
ミスド:ふーーん。

ミスド余計にジロジロ見ながら退場。
    ネギ、灯りのついた作業灯を一つ持ち、喋りだす。
    

■キムのこと

ネギ:ほんとはぼくは、昨日地球人を発見した場所に行ってた。
   外壁、南のでっぱり。ぼくはミスドに生まれてはじめてウソをついた。

   ネギ振り返ると波の音、センター奥にキム。ネギ、キムを照らす。

大きな波:ざぱあああああああん

ふたり、目があう。そのまま、ネギセリフ

ネギ:ぼくは、どうしてウソをついたんだろう、、。

足をひきづりながら、キム出てくる。足に包帯が巻いてある。

キム:これ、ありがとう。おかげで血が止まったよ。
ネギ:大丈夫?
    
    ネギ、作業灯を床に置く
    コロス、青い作業灯を少しつけ、波のように動かしながら天井を照らす
  
キム:とがった岩で切っただけ。1週間もすれば走れるよ。
結構遠くへ来たつもりだったのに。潮に戻されたのかな。
ネギ:泳げるのすごい。ぼくは泳げないんだって。
キム:でも、言葉が通じて助かった。
ネギ:ねぇ、地球人?
キム:え、ああ、うん。
ネギ:悪い奴じゃないよね?
キム:え?どういうこと?
ネギ:母ちゃんが地球人は悪い奴ばっかだって。
   でもぼくこっそり知ってんだ、地球人はぼくらとあんま変わらない。
キム:?え?
ネギ:ぼくは宇宙人。
キム:、、うちゅうじん?
ネギ:他になにか欲しいものない?
ぼく、この星のことだったらだいたいなんでもわかる。
知らないのはミスドの仕事だけ。ぼく一番下っ端だからドミノの後に教わるんだ。
母ちゃんは「いっちょまえの宇宙人になりたけりゃ、”十の言いつけ”を守りな」
キム:ははっ
ネギ:?
キム:、、まさか、任務に失敗して、宇宙人発見するとは思わなかったな。
ネギ:にんむ?
キム:君、からかってるか、あたまがおかしいか、そうだろ?
ネギ:え?なにゆってんの?

おだやかな波の音:ざざざーーーーんざざーーーん

キム:(深呼吸)スウーーーはあああああああああ。
なんか気ぃ抜けた。ぼく、ずっと緊張してたんだ。
ここは空が青くてキレイだね。ぼくんとこの空は灰色だ。

ネギ、マクドナルドを持ってくる。

キム:ぼく、軍人向いてないんだ。軍の規律ってすっげー厳しくて。
   でも徴兵あるから仕方ないし、兵舎に居ればお腹も減らないし。
ネギ:あ、お腹空いてる?食べる?
キム:え?食べるもの、あるの?
ネギ:持ってきたんだーこっそり。
キム:でも、悪いよ。君んちの分。
ネギ:ハイ、マクドナルドだよおう。(受け売り。完コピ)
キム:え?何それ?
ネギ:ぱっさぱさしておいしいよ。フィレオフィッシュ!すごいっ(言いたかった)
キム:(受け取る)、、、、、(感動)
ネギ:?
キム:みたこともない、キレイな包みだ。これ。何書いてんの?
ネギ:あ、字ならミスドに習った。えーと、あ、駄目だ。これベイコクゴだ。
キム:ベイコク?
ネギ:うん。あるふぁべっと。えいべいせいでいいいえふぁじー♪
キム:!!

キム、フィレオフィッシュを捨てる。

ネギ:わあ、フィレオフィッシュころころころころ
キム:、、敵のじゃないか。
ネギ:え?
キム:敵の食べ物で生き延びるなんて。
ネギ:敵?
キム:君、、、恥ずかしくないのか?北コリア人として。
ネギ:え?北コリャ?ぼく、宇宙人だっチューの。
キム:、、、(可愛そうに、頭がおかしんだっけか)

キム、フィレオフィッシュを拾う。

キム:ごめん
ネギ:おいしいよ。スッカスカのバンズ。

キム、食べる。

キム:、、、、、
ネギ:母ちゃんにはないしょだよ?
   ほんとは、だんらんセットを囲まなきゃ食べちゃいけない。
キム:でも。すげーうまいよ。
ネギ:また掘り出したら持ってきてあげる。(別のを出す、食べる)
キム:掘り出す?
ネギ:うん地球人のゴミだ。
キム:ゴミ?
ネギ:そう。この星に捨てるんだって。
キム:そりゃーいい星だな。
ネギ:うん

むしゃむしゃ食うネギ。

キム:君、この国、、この星を好き?
ネギ:うん好き。
キム:、、いいな。
ネギ:?
キム:なんでもない。
ネギ:あそう?いただきます
キム:ぼくなんて、ほんとは逃げ出したかったからだ。この任務に志願したわけ。
ネギ:むしゃむしゃむしゃ
キム:なのに、どこでもない、近くの島にうち流されて。
このまま帰ったら、懲罰。下手したら右足に重つけられて強制労働だ。
政治が間違ってると思うよ。でも、逆らえば殺される。
ぼくも、あたまくるっちまえば、好きになれんだろうか。自分の国。

ネギ、ちっとも聞いていない様子。

ネギ:ごったまでったま~
キム:楽しそうでいいね、君。
ネギ:ごちそうさまの意味。ドミノが作った。ドミノはばか。
キム:あ、へー、どみの。
ネギ:うん。あ、名前は?ぼくネギ。
キム:え?
ネギ:ネギ。
キム:、、、ネギ?
ネギ:発泡スチロールから産まれた。万能の、宇宙人のネギ。
キム:そう。かっこいいな。
ネギ:うん
キム:ぼくは、、、キム
ネギ:キム。、、あ。いっけね。母ちゃんに怒られる。
キム:あ、行く?
ネギ:うん!じゃまたねばいばーい
キム:、、あ、
ネギ:またねばいばーい

ネギ、退場する。

キム:、、、

キム、白黒の写真を出し、見る。

キム:、、、、

写真を破ろうとするが、、

トランジスタ:キュゥウインンンババ、バーババ。

腕のトランジスタを合わす。

指令:キム、キム、信応成答号、信応成答号。
キム:私出、金。
指令:奴殺奪変換王女。見発王女?
キム:否。未見発王女。失敗
指令:我祖国野為児。死失敗償。
キム:死失敗償我?
指令:死失敗償。

地面をを蹴る。

キム:、、死失敗償本我当祖国野為児?!!
指令:我祖国野為児。死失敗償。

舞台奥まで行くキム。
足首から、銃を出す。頭に向け、自殺をはかる。曲上がる

キム:、、、、、、、、、、、!!
COM:バッッシュウッゥウウウウウウウウウウウウウ!!

暗転

■ダイブ完了。

    明転。悪太郎、女、アロハシャツとかラフな服装。女、資料を読んでいる

女:えー、第18番埋め立て地の面積はそれ迄の平均的な埋め立て地の面積の4倍。
  この存在により東京湾自体が形を失ったため最後の最終処分場と呼ばれ、現在も使用されています。
悪太郎:うっわああ、そーら広いなぁああ!うっわあああ、地平線、かーなたー!
じめんー!!つんつつるてーん!うわああああ!

悪太郎、走り出す衝動にかられる。

女:人工的な地震をフルオートでおこし、
悪太郎:うわああい!

悪太郎、走り出し、退場

女:外壁に搭載されたオートローラーが地面を圧縮します。金田さーん!?

間。

女:、、、?

悪太郎、反省しながら、帰ってくる。

悪太郎:男はどうして広い所で走り出しちまうんだろう。
女:知りません。
悪太郎:どうして、ぼっこを見ると剣にしちまうんだろう。
女:知りません。
悪太郎:どうして穴があったら入れて、すいませんした。
女:兄の著書によれば、島の外と密輸をしていたようです。

■ドリームグラス

悪太郎:ふむ!その、密輸品に問題があるってえわけだな。
女:ええ。

悪太郎、『夢の星の人』を出す。

悪太郎:例えば、この小説にちょくちょく出てくるドラッグ”忘れ草(ぐさ)”

女、カルテを開く。

悪太郎:ぱっと聞き、
ドラえもんの秘密道具か演歌のタイトルのようなこの煙草。
女:最初は架空のドラッグかと思われていましたが、
  症状と特徴から、数年かけてじわじわ流行り出したダウン系のドラッグ、
  ドリームグラスに近似していることに気付きました。
  歌舞伎町近辺で取引され、数が少ないため非常に高価な値がつけられます。
  中毒性は弱いですが、麻酔作用が強く、記憶障害を起こす場合があります。
悪太郎:吸ったやつらは夢うつつ。
女:学生から主婦、会社員、中高年まで男女とわず幅広く服用されています。
悪太郎:そんなに忘れたいことがあるもんかねぇ。
女:見つかるでしょうか。
悪太郎:ま、あんたにとっちゃ、見つからない方がいいんだがな。
女:、、、ええ

■ネギの頭の中

波:ざざーーんざざざーん

女:本人は、島での生活を全て忘れたと言っています。
悪太郎:、、、しかしこの景色見るかぎりは、、記憶力、良さそうだがな。

悪太郎、女、あたりを見回す。

女:ええ、ここまで忠実に島が再現されていますから。
悪太郎:つまり、ここはネギの頭の中か?すっげーじゃん。
女:厳密にいいますと、コンピュータ内に3D映像を再現しています。
我々はこの3D世界に視覚と聴覚において存在しています。
悪太郎:どれ(おっぱいをももう)触覚は?
女:(なぐる)
悪太郎:いたあい!!
女:触覚はありません。
悪太郎:うそぉ!?
女:気のせいです。
悪太郎:この衣装は?
女:アロハです。
悪太郎:わかるけど。
女:アバター的な?
悪太郎:うーん。
女:コスプレです
悪太郎:すごいじゃないか最新テクノロジー!
女:盛り上がりましたね。
悪太郎:ナースになれ!ブルマになれ!上ナース!下ブルマ!水をかぶれ!透けろ!
女:死んでもやです。

■すり抜けた!

悪太郎:でもさぁ、部外者である我々にしちゃあ、目立ちやしないか。

ドミノスキップしてくる。

女:あ。
ドミノ:みにみにまにもー♪(自作の歌)ん?(たまたま悪太郎の方みる)
悪太郎:あ、え、、あ。えっと、
ドミノ:みにみにまにものもうー♪(自作の歌)ん?(たまたま悪太郎の方みる)
悪太郎:やあ。
ドミノ:みにもにまにものもうー♪(自作の歌)
女:あきらかに自作の歌だってわかりますね。
ドミノ:ん?どーだ?(たまたま悪太郎の方みる)
悪太郎:あ、あ、ほめろってんだな。なかなか良いうただねぇ、ど、どみのくん。
ドミノ:(首かしげる)
悪太郎:あれ?
ドミノ:みにみー♪あれ?
悪太郎:なんか無視されたぞ。
ドミノ:あ、音ちがった。
女:音ちがったとかあるんですね。
ドミノ:みにもにまにもーむーん♪だ(満足)
悪太郎:おい!
女:聞こえませんよ。
悪太郎:え?
女;あっちからは見えてません。
ドミノ:あ、やっべ!
女:それともうひとつ。
ドミノ:よーい、どーん

ドミノ女に向かってく。

悪太郎: あぶない!ぶつかる!
女:(平然)
SE:ぼぉほおん(すり抜け音)

と、ドミノ、女とただ、すれちがう。

ドミノ:みにみにまにもー♪(自作の歌)

ドミノ退場。
  
悪太郎:、、?今のは?
女:驚いてください。
悪太郎:す、すれちがった!
女:「すり抜けた」
悪太郎:すり抜けた!!
女:ゆうれいみたいなもんです。
ミスドドミノネギ母:うわーーーい

ミスド、ドミノ、ネギ、母、コロスすり抜けまくる。

SE:ぼぉほん!ぼぉほ!ぼぉほん!、ほん、、
悪太郎:わかったわかったあ!

キム、兄も。

キム:ぼぉほん!
兄:ぼぉほん!

二人逃げるように退場。

悪太郎:だれだ今の!
女:思いあまったんでしょう。袖で。
悪太郎:思いあまったのか。仕方が無い。

■アイコン

女:では、さっそく、ネギの『不確かな記憶』を検索します。

女、iphone的電話を出す(iphoneの入れ物で良い)

悪太郎:あ。iphone。
女:いえ、iphoneみたいなリモコンです。コンピュータ、検索して。
COM高:ぴきょきょ
女:検索対象、深層心理。リスト、アイコン表示。

女、指さきでちょちょいーっってドラッグ。

COM低:むほおおおんん。

母アイコン、キムアイコン、兄アイコン、ミスドアイコン。
マネキンのように舞台中にちょいちょいーって出てくる。

悪太郎:おおお。ちょいちょいーってやるねぇ。
女:アイコン表示です。パソコンのショートカットもしくはエイリアスだと思ってください。
悪太郎:ほ、ほう~~。
女:クリックしてください。
悪太郎:あ、クリック?俺が?好きなのでいいの?
女:いいです。ポチっと。
悪太郎:どこポチっとしてもいいの?
女:え?まぁ。?
悪太郎:ポチっと失礼します!

もちろんミスドの乳首を当てよう

悪太郎:ポチっとクリック♪先っぽみーっけ♪
ミスド:最低だな。
母:えっきし

もちろん母の乳首にふれよう。

悪太郎:あ?
COM:"KA-CHAN"
母:もーなんでわかるのー?(隠す)
悪太郎:おおおおお
COM:ぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょん

    作業灯点滅

悪太郎:嫌だあああああ
全員:ぎょんぎょんぎょんぎょん

みな、くるくる周りながら、いなくなり、別のシーンになる。

■ナイショのとこ

ネギ:ナイショのとこ

    点滅終了。明転

近くの波:ザッパーーン、ザっパーああん
ネギ:この星の西のはじ、コンクリートの外壁に少し隙間がある。
   さすがの鉄人ローラーもここまではこない。

ミスド登場。

ミスド:はい、本発掘ー。読める?
ネギ:ダイソーミニシリーズ『冠婚葬祭とおつきあい』
「こーでんは、いくらがだとうか。つきあいによります」
二人:重要だわ。
ネギ:だいぶ集まった。ニッポン語、数字、電気、歴史、あとは?
ミスド:美術、辞典、生き物図鑑、ジャンプ、コロコロ、
ネギ:アンアン、ジュノン、、あ、これは?アルバイト情報誌an。
ミスド:アンアンの次。
ネギ:おっけー。

ネギ、本を並べながら。

■実験

ネギ:ぼくらはゴミの中から掘り出した大事なものをここにぜんぶ隠す。そして地球の勉強をする。
ミスド:ねぇこの本のこの絵。
ネギ:あ、足におもり。
ミスド:「しゅーじんはきょうせいろうどうのためくさりでつながれます」
ネギ:しゅーじんってなんだ
ミスド:しらん。
ネギ:重要かな?
二人:うーーん。
ミスド:母ちゃんに似てね?

ドミノ:あったぞー!

ドミノ実験道具を持ってくる。(日替わり)

ミスド:なんだこれ。(わくわくわく)
ネギ:なんだろう。(わくわくわく)
ドミノ:実験!実験!
3人:実験!実験!実験!

実験の準備。
*例えば、食塩水と醤油水の2段かさね(94p)水の入ったコップが逆さま(28p)コップの中にビールびん真っ逆さま(32p)
3つの五円玉の振り子(120p)電気チョウチョ(152p)わっか取りペン落とし(192p)*出典/子どもにウケる科学手品77

ネギ:じゃ、例えば、この白いモノを仮にラムネとよぼう。
ミスド:うん、じゃ、こっちの黒くてしゅわしゅわする液体をコーラとよぼう。
ネギ:そしてなんの気なしに、入れてみよう。
ミスド:待って。このしゅわしゅわしたモノを仮に炭酸と呼ぶとして、
ネギ:うん。
ミスド:炭酸がペットボトルから溢れないかな。
ネギ:あ、これ、ペットボトルって呼ぶんだね。
ミスド:うん
ドミノ:え?何言ってんの?
ミスド:やってみよう。
二人:わあああ!!!
ネギ:結論!**************の事!
ミスド:おっけい!
ドミノ:以後気をつける。次!

ドミノ、退場する。

■隠し事はないかとミスドにきかれる

ミスド:ネギ。
ネギ:(ギクリ)!!あ?!ん?なに!?
ミスド:ちょっと話あるんだけど。(私の話)
ネギ:え?!え?なに?
ミスド:どしたの?
ネギ:いや、べつに?なに?なんか変?!
ミスド:、、、あんたさ。なんか隠してるでしょ?
ネギ:ええええ!!そんなことないよう!
ミスド:変だよ、今朝から。
ネギ:そそそんなことないよう!!
ミスド:そう?
ネギ:うん
ミスド:そか。

■エロ本、女の子

ドミノ、エロ本を持ってくる。

ドミノ:お!おお!おおお!なんか、これ、なんか、なんか、たいへんだ。
ネギ:服着てないだけじゃん。
ドミノ:(横で見てる)
ミスド:、、実はさ、
ネギ:え、あ
ミスド:あたしさ。
ドミノ:うううううううん!!
二人:うるっさい!!
ドミノ:おう!!っぶね!
ネギ:え?なに?
ミスド:どっか行ってくんない?
ドミノ:お?おう!?おう、おう。

とドミノもじもじと退場

ネギ:ミスド。結構前から思ってたんだけどさ、
ミスド:うん。
ネギ:もしかしてドミノは、僕やミスドとは違うんじゃない?
ミスド:だって男の子だもん。
ネギ:、、え?
ミスド:男の子。
ネギ:男の子?ドミノ?
ミスド:うん。
ネギ:地球人みたいじゃんそんなん。
ミスド:なに言ってんの。
ネギ:ぼくら宇宙人だから、そんなんないじゃん。
ミスド:え?あるよ?
ネギ:え?

ドミノ、スキップで登場。

ドミノ:なんか出たあ♪なんか出たあ♪いじくってーたらなんか出た♪ほっかほっかのー

ドミノ、退場。

二人:、、、、、、、、、、、
ネギ:どゆこと?
ミスド:あたし、女だよ。ドミノ、男だよ。
ネギ:宇宙人なのに?
ミスド:え?
ドミノ声:もーいっかい♪もーいっかい♪
二人:、、、、、、、、、、、
ミスド:え?なに?
ネギ:え?宇宙人なのに?
ミスド:母ちゃん、そんなふうに言ってんの?
ネギ:そんなふうって、どんなふう?
ミスド:母ちゃんが、言ってんの?
ネギ:なに?
ミスド:、、なんでもない。
ネギ:え?
ミスド:母ちゃんが言ってんなら、たぶん、そうなんだわ。
ネギ:え?
波の音:ざぱああああああああああん
ミスド:、、、、、
ネギ:で、ミスドの話ってなに?
ミスド:あ、、、、えっとね、それもなんでもなくなった。
ネギ:あ、そう?
ミスド:うん。ごめんね。
ネギ:うん、いいよ別に

    ミスド、本を揃える。

■スカンクエイプ

ドミノ奥舞台を走り抜ける(卵もってる)

ミスド:ドミノどこ行ったんだろ。
ネギ:ぼくは毎日幸せだった。

ドミノ奥舞台で謎の生物(お面)におっかけられている。

ミスド:またウーマに追われてなきゃいいけど
ネギ:こんな幸せがずっと続けばいいのになんて、

ドミノ、ぜいぜい言いながら戻ってきた。

ネギ:思うひまさえなかったくらい。幸せ、
ドミノ:ぜーはー!ぜーはー!
ネギ:ん?

疲れ切ってて声も出ず、卵を渡す。ドミノ逃げる。
謎の生き物、ドミノを追い通り過ぎる。

謎:!!ぶふ!ふぶ!!
二人:さる!くさい!!は!
ネギ:ウーマ辞典!

二人:スカンク・エイプだ!
ミスド:フロリダ州で発見!
ネギ:主食は豆!
ミスド:ほぼオランウータン!
ネギ:特徴!
ミスド:目も開けられないほどの強烈な悪臭!!
二人:新たな情報が入り次第、報告したい!
ドミノ:増えたああ!!

ドミノ逃げ戻る。スカンクエイプ1があらわれた!
スカンクエイプ2があらわれた!スカンクエイプ3があらわれた!囲まれた!

スカ1:ふぶ!
スカ2:ふぶ!
スカ3:ふぶ!
3人:くさい!くさい!くさい!
ドミノ:目も開けられないほどの悪臭!
ミスド:まさかあ!
3人:(卵をかぐ)くさい!
二人:ばかあああああああああ!(曲はじけ)

スカンクエイプじりじりと囲む

審判:ピーーーーーーーーー!
もちろん、3on3が始まる。ミニバスケ形式。ゴール係の人がいる。
ジャパンドリームスタ-ズ卑怯。フロリダスカンクエイプ劣勢。
皆、青春する。声出していこー!まわりみてまわりー!
ゴールをきめる。
悪太郎:やめーーーーーーーーーー!!!!!

皆散る
    母、登場する。

母:ネギーー!
ネギ:おお、母ちゃん!
母:そろそろ仕事してみるかい?
ネギ:え?仕事?!ミスドの?!
母:あれ、お前がかわりにやんな。
ネギ:ドミノは?
母:ありゃ、頭が悪くてだめだ。
ネギ:ほんとに!ほんとに!?
母:おいで!
ネギ:やったああ!!

■たのしい毎日

ネギ、ドミノ、ミスド、母、ゴマの生活
ドミノはしる。エイプおいかける。卵をかくす。いひひひ。
ゴマちゃん、船でくる。母とののしりあう。
ミスド箱もってく。箱もらう。
ネギ、ドミノ中身を盗む。母にみつかる。追われる。
ゴマちゃん、今度は違うものをプレゼントする。
ミスドよろこぶ。手鏡を持って、口紅をつける。
ドミノ、卵の隠し場所をネギに教える。
ドミノ、エロ本をネギに渡す。
母も見る。ついでに、ゴマちゃんも見にくる。

悪太郎、女、その様子を眺めてる。(二人に青い作業灯をあてる。)
曲上がり。突然切れ。作業灯消す。
      (女・悪太郎の足元の青い作業灯はつけておく)

■ノイズ悪い事の予兆

ノイズたち:ザーーーーーーーーーーーーー

人々ぐちゃぐちゃに動きだす。

悪太郎:おい、なんだ?
女:記憶が一気に飛んだ模様です。
悪太郎:おい。よく見えない。
女:コンピュータ、解像度上げて。

明り上がる。ノイズも上がる

ノイズたち:ザーーーーーーーーーーーーー

ノイズの中、悲壮な面持ちで舞台を駆け回るネギ。

ネギ:、、、、(ミスド!)、、(ミスド!)
悪太郎:なにか言ってる
女:コンピュータ、音量上げて!

照明、一瞬、ネギだけにあつまる。

ネギ:ぼくのせいでミスドを売らないで!!!
二人:!?
ノイズたち:ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

再び明り、落ちていく、
落ちる明りの中、ネギ、じょじょに目を閉じる。
暗の中。ノイズ音が消えるにつれ、心音が聞こえてくる。

心音:ピッ、、、、ピッ、、、、ピッ、、、、ピッ

■わすれたいということ

明。手前に悪太郎と女。女、カルテをチェックしている。
悪太郎と女、スーツである。(つまり現実世界)

女:まれに、幼児がお母さんのお腹の中で浮いていた記憶を話したりします。
悪太郎:え、まじで?すげーじゃん。
女:本当は我々も、その記憶を持っているはずです。
悪太郎:うそぉ。えええ?覚えてないよ。
女:”忘却”とは、記憶を『意識下』から『無意識下』へ移すという行為です。
悪太郎:なるほど。無意識下には記憶があるってことね。
女:脳は忘れた方が良いことを忘れるように出来てます。
  「忘却」は自己を守るための手段です。

心音:ピッ、、、、ピッ、、、、(以下続く)

女:ネギちゃん。

二人が見ると、奥に明り。ネギが寝ている。

女:だんだん睡眠の量が増えています。
悪太郎:なんか尋常じゃねぇ寝っぷりだよなぁ?
女:、、まるで夢の中に逃げ込むかのようです。
悪太郎:しまいに、起きなくなるんじゃねぇの。

心音:ピッ、、、、ピッ、、、

女:「ミスドを売らないで」
悪太郎:(本を出す)この本のどこにもそれらしい場面も言葉もねぇんだよな。
女:幸せそうな夢の星での生活。物語はそこで終ってます。
悪太郎:それにこの後、悪い事が起きそうな予感。
女:どうせ続編を出す気だったんじゃないですか
悪太郎:ああ!そうかも!するどい!買ったそれ!さっすが妹!
女:、、兄のやりそうなことです。
悪太郎:、、兄妹仲は、いかがだったですかの。
女:、、良かったですよ。兄が田舎を出る前の日までは。
悪太郎:ったく、どこに隠れたのかね、皆さん。

『夢の星の人』をもう一度調べる。付箋がいっぱいついている。

女:、、、すごいですね、付箋の量。
悪太郎:すごいしょ?馬鹿みたいしょ?もはや目立ってない。
女:、、向いてるんでしょうね、お仕事。
悪太郎:、、、、(没頭中)
女:あたしなんか全然。向いてなくて。仕事。
悪太郎:、、、、(没頭中)
女:動機が不純なんです。
悪太郎:、、、、(没頭中)
女:、、うちの家族、仲良くて。
悪太郎:、、、、(没頭中)
女:でも、仲悪くなりました。

    心音止まる。

悪太郎:、、?は?(没頭やめ)
女:、、、中学のとき、兄の勘当をきっかけに。跡継ぎ問題でもめたりして。親戚巻き込んで。
ほんの1年で家から笑顔が消えました。
それまで信じてた人が信用出来なくなって。どうしてそんなひどい事言うんだろうって。
昨日もそんな事思いながら笑ってたのかなぁって。
口から出る言葉を信用出来なくなったら、本当の気持ちとかってなんだろうって。
そういう目で人見るようになったらなおさら嫌なとこばっか見えて。
人間っていうのが、嫌になっちゃいました。
悪太郎:、、、、
女:精神科医になったきっかけも結局、、、、、だめですね。動機が不純で。

本を閉じる。

悪太郎:「悪太郎」。ひどいでしょ?俺の名前。
女:え?
悪太郎:「悪い太郎」。ひどいでしょ?名付け親は、速攻蒸発したおやじです。
おふくろも早いうちに死んだんでよくしらないんですけど、日本人じゃなかったらしいすね。
だから歌舞伎の悪太郎とかまったく関係ないすよ。
ま、とにかく、恨みました。出てったことも、ひでぇ名前つけた事も。
いつか見つけてね、問いただしてやりますよ。どういうつもりで俺の名前つけたんだって。
なんで蒸発したんだって。何語で問いつめるんすかね。アジア系ですね。俺の顔的に。
悪太郎が悪事働くのもシャクで、ま、そんなこんなで、刑事になりましたね。以上。
女:、、
悪太郎:正義のためとか、無いすね。これはどうですかね先生。俺の動機は。
女:、、、不じゅ、、いや、、ん不、、いや、、じゅふ
悪太郎:いいですよもう不純で。
女:ごめんなさい。
悪太郎:俺はね、ほんとの事、知りたいですよ。

悪太郎、ネギをみる

悪太郎:なぁ、さっきはどうして記憶が飛んだんだろう?

女、ネギを見ると波の音。

波:ざぱああああああああああああん

■キムとミスド

舞台奥からキム登場。
足首から、銃を出す。頭に向け、自殺をはかる。

キム:、、、、、、、、、、、、!!

ミスド

ミスド:おいー
キム:!!!

悪太郎、女、ネギはける。 
    ミスド、作業灯を持って登場。
    キム焦る!銃構える!あいつに!俺に!いやあいつに!

キム:驚我怒気(びびった!)殆死様物邪脱!?(死ぬとこじゃん!?)
ミスド:?(面白がる)はぁ?
キム:今度誰君!(今度だれよ?)ネギ友人代表?!(ネギの知り合い?)
ミスド:、、やべー、ちょーおもしれー。
キム:笑駄目答君!目吉良吉良!面白面白!何出矢念!
ミスド:よしよしよしよしどうどうどう
キム:良良!動動!等等!何出矢念!
ミスド:わしゃわしゃわしゃ、おまえ、新しいウーマ?
キム:!!(銃をおろす)
ミスド:お、どした。
キム:あなた、それ、にっぽんご?
ミスド:カタコトか!ケタケタケタ
キム:ニッポン語?そう?それ、ニッポン語?
ミスド:おおお?しゃべり出した。
キム:じゃ、つまり、わたしはニッポンに到着しましたか?
ミスド:すげー学習能力じゃんー、このウーマ(なでる)
キム:遅ればせながら(はねのける)ウーマじゃなあい!
波の音:ざざあああああああああん
ミスド:?
キム:じゃ,着いたんだ、ぼく。ニッポン。そうか、死ななくて、、
(手に持っていた銃に気付き、捨てる)あっぶね!!あっぶね!
い、い、いやたーぁ。任務、ひとまず、せいこー。嗚呼嗚呼。
良かった、良かっ、えぐ、えぐ。うう(自国語泣き)我本素晴当自在菩薩行人んん
ミスド:ほんとにウーマじゃないの?

キム、ミスドの手をガッとつかみ

キム:感謝無二方!
ミスド:え?
キム:ありがとう!きみのおかげでぼく、間違って自殺せずにすんだ!
ミスド:じさつ?
キム:そう。
ミスド:この、

ミスド、まじ平手、バチコーーーん!

キム:なぜえええ!!
ミスド:バチあたりがーー!!!
キム:え、え、え、え、え?
ミスド:どっちかっていうとね自殺するくらいなら、人殺しな!どっちかというとだけどね!!人殺しは最悪だから!
キム:、、、、?!!
ミスド:って、母ちゃんが言ってた。、、よくわからんけど。
キム:あああああ、受け売りで、ぶたれた。本気で。やだーぁ、やだよぉ
ミスド:自分を一番大事にしなさいって。
ネギはまだわかってないし、ドミノは一生わかんないかもだけど、
人間が空箱から生まれるわけないんだからって。
人間は最後一人だけど、あんたらは最初から一人なんだからねって。
あんたが大事にしなかったら、一体だれが大事にするんだい。だって。

波の事:ざざざーーんざーーーん

ミスド:ね。ネギみなかった?
キム:え?
ミスド:ネギ。
キム:あああああああああああああああ!!!
ミスド:何?
キム:あの子、ネギって子?!頭のおかしい子!?
ミスド:ドミノよりはましー
キム:ドミノってどんだけバカなんだ。
ミスド:ネギがなに?
キム:いい?、ぼくが自殺しようとした原因は、ニッポンにつけなかったと思ったからだ。
ミスド:?
キム:つけなかったと思った理由は、彼女が、僕の国の言葉をしゃべったからだ。

ダンボールSE:ダンッ!!
    再びダンボール音楽隊がリズムを刻む

■母とヒョノク

たくさんの人間が白LEDを持って人を探している。聞き慣れない音の言語。

追っ手1:逃過!
追っ手2:追死構!
追っ手3:此側逃!
追っ手4:捕手全!
追っ手5:急皇知模帝!
追っ手6:俺殺我罪!
追っ手7:殺不!追死構!

母、あたりを伺い、足をひきずりながらくる。高級そうな布で包まれた子供を抱いている。
白LED隊、気づく。LED母に当てとまる。行く手を阻まれた母、前へ進むしかないと決心し海へ入っていく。

波:ざざああああん、ざざあああああん

どんどん水が責めてくる。子供を上に掲げるようにすすむ。
重りのせいで、うまく泳げない。

母:賢玉、、!

白LED隊の波、母とチビネギに近づいていく
波から一人立ち上がる奴がいる、大ネギ。

大ネギ:わたしは、たまに夢を見る。
母ちゃんが嵐の中、足におもりを付けてざぶざぶと
わたしをゆりかごにのっけて、大海原を渡っていくのだ。

母:賢玉、、!!!

波:ザバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
    
    波、母とチビネギを飲み込む
    LEDを消し暗

■母ちゃん

悪太郎:「本名年齢性別不明。箱から産まれたミスド、ドミノ、ネギを育てる。
自分たちを宇宙人と呼び、夢の島の外を地球と呼ぶ。足に重り」

悪太郎、本を音を立てて閉じる。パンっ。
母ぼやっと海見ながら登場。

遠くの波:ザザーーンザザーーンザザーーーン

女:悪い人には見えません。

    作業灯、徐々についていく

    遠くの波:ザザーーンザザーーンザザーーーン

母、ポケットをまさぐり、デカイシケモクをくわえる。

悪太郎:ん?(タバコでかい?)
女:どうかしました?
悪太郎:いや、遠いからかな?
女:は?

ネギ、母に寄っていく。

ネギ:楽しい?
母:(コクン)
ネギ:それちょうだい。
母:子供はだめー。
ネギ:なんで足に重りつけてんの?
母:めっちゃきたえてんの。
ネギ:いつからこの星に住んでんの?
母:昨日か今日だよ。
ネギ:外壁の向こうには何があんの。
母:おっとろしい海獣ザザーンでいっぱい。
ネギ:その向こうには?
母:地球人の住処。捕まると最後、ここには戻ってこれない。
ネギ:なんで母ちゃん地球人に詳しいの?
母:ネギ、、何かを知るってのは恐ろしいことだよ?、、ミスドは?最近一緒にいないね?
ネギ:、、、ミスドなんて、さらわれたらいんだ。
母:ん?

トランジスタ音:キュィイイィイィイイイイイン
    
別の場所にキム

キム:、、、我国愛祖、死無、誰来。

気配を感じて、やめる。

ミスド:キムー。はいマクドナルド
キム:ありがとう。
ミスド:足は?
キム:おかげでだいぶいい。そろそろいけそうだ。
ミスド:良かった。
キム:あの、聞いてみてくれた?
ミスド:ああ、探してる人のこと?
だって、大人の男の人と女の子でしょ?
いないよ。ドミノは男の子だし。カーちゃんは、かーちゃん。
キム:ネギは、
ミスド:ほらネギは女の子じゃないし。宇宙人。
キム:そうか頭がおかしいんだっけ。
ミスド:ん-、まーね。
キム:そうか、、じゃあ、君なのかな。ぼくの探してる女の子
ミスド:だったらいいな。
キム:でも、決め手にかける。
ミスド:ふーん

白黒の写真を出す

キム:ほら。この子が育って、君になるとは思えない。
ミスド:この人誰なの。
キム:誰にも言わない?
ミスド:うん
キム:、、ある国の王女だ。18年前さらわれた。
ミスド:へー。誰に。
キム:強制収容所から脱走した囚人に。
ミスド:シュージン
キム:2重スパイだ。ニッポンと北コリアをベイコクに売ってた売国奴だ。
ミスド:シュージンってさ、おもりつけてる?
キム:え?ああ、ぼくの国は、そうだ。どうして?
ミスド:、、、、、あの、、

ドミノが見てた

ドミノ:かーちゃんじゃん!
ミスド:ドミノ!
ドミノ:きーっちゃったーきーっちゃったー♪

ドミノ退場
    ミスド、追いかけて退場

キム:、、、まさか、、

白黒の写真をみる。キム退場
    前方の作業灯つく
母、ジングルベルのオルゴールを出し、かける。☆小さく音楽

母:雪の降るころに、街中でこういう音楽が流れる国があんの。
ネギ:うん
母:音楽の国と戦っていた別の国があって、
  その国は音楽聞いてる人を殺したり捕まえたりしてたわけ。
ネギ:うん。
母:けど、音楽の国に負けたわけ。
  そしたら、もう戦わない国になったわけ。
ネギ:良かったね。
母:そしたらね、みんな音楽聞いて歌うようになったわけ。
ネギ:ふーん
母:でね。音楽聞いてなかった事わすれちゃってね。
  もう自分たちの国のものみたくしちゃうの。
ネギ:ふーん。
母:バカだけどわるかないでしょ?
ネギ:、、、うん。
母:ほんとの事がね、ほんとにいいとは限んないんだよ?
ネギ:ぼく女の子じゃない?

波の音:ざざーーん、ざざーん

母:ネギは、特別な子だよ。
ネギ:そうなの?
母:なんたって魔法が使えるからね
ネギ:魔法?
母:あんたの魔法で世界はどうにも塗り替えられる。

    オルゴール渡す。

母:これで勘弁してよ
ネギ:、、え?くれんの?!!
母:これ以上質問攻めにされちゃかなわない。
ネギ:大事にしてんじゃないの?
母:大事だから、やるんだよ。
ネギ:、、そうか。

母、デカイシケモクを捨て、行く。

ネギ:雪って何さ。
母:また質問かい
ネギ:降るの?
母:そう
ネギ:雨みたく?
母:ぜんぜん違う。

ふたり、和気あいあいと退場、女、その背中を眺めている。曲、消えていく

悪太郎:なんていうか平和だねぇ。
女:、、なんで女の子だって隠してたんでしょうね?
悪太郎:ねぇ。、、、そういうもん?
女:え?
悪太郎:ここ無意識下でしょ?
女:はい。
悪太郎:忘れたい記憶のゴミ捨て場でしょ?
女:あ、うまいこといいますね。
悪太郎:もっと忘れたいことでいっぱいなんじゃないの?
女:あ、そういえば、変ですねぇ。
悪太郎:あレ?

悪太郎、シケモクに興味。

■でかくないすか。

悪太郎:やっぱでかい!
女:え?
悪太郎:「さー、今日も疲れたなぁ。最後の一服してがんばるかー。あーあ。」

悪太郎、吸うふりをする。

悪太郎:でかいっしょ?
女:あ、大きいかも!
悪太郎:いい気分だ!もういちど!私のは?
女:大きい!
悪太郎:やははは。壊れてんじゃないすか最新テクノロジー。
女:いえ(iphoneチェック)正常ですけど。
悪太郎:もしもこれが吸いさしじゃなければこのくらいの長さ!
そして、もしもこれが20本入りになるとすればこれくらいの箱!でけ!
そしてこれ、作りが雑!絵が下手!あーおもしょい
女:は!まさか!!
悪太郎:え?
女:コンピューター!検索対象、シケモク!アイコン表示。

女、指さきでちょちょいーっってドラッグ。

COM低:むほおおおんん。

悪太郎の手のシケモクが浮く

悪太郎:お?
女:クリック!
悪太郎:これ?
COM:"SHIKE-MOKU"
悪太郎:おおおおお
COM:ぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょん
    
    作業灯点滅する

■ネギと兄

ネギと兄とドミノ、くるくる登場する。

波内際:ざっぱあああんざっぱあああん
    
    明転

ドミノ:おーれーはーどまどみもーん♪これ?
兄:ちがうばか。それヨモギだろ。
ドミノ:おまーえもーどもみにおんー♪これ?
兄:それおまえオオバコだオオバコ。雑草もってってどうすんだよバカ
ドミノ:くわしい
兄:ドミノそりゃお前元ひきこもりのパソコン中毒なりに農家のせがれだからな。
ネギ:じゃ全部やってよ
兄:夢の草摘んで、段ボールに入れておれに渡す。な?
ネギ:ねぇ、忘れ草ちょうだい。
兄:ガキはだめー大人になったらな
ドミノ:ゴマちゃんいつアクタガワになるの。
兄:ならねぇよ。とるんだよ。
ドミノ:早く取れば?
兄:簡単に言うな。「いつもいつも80年代の演劇のにおいがしますね」言われる気持、わかる?
ドミノ:わからん。
兄:ネギ、なんかあったんか?

ミスド登場。

ミスド:あ、また上陸してら。ゴマちゃんここんとこ。毎日来るね
兄:あー、まーね。
ドミノ:ミスド!よろこべ!スカンクエイプの卵、ヒビ!3つ子かもしれん
ミスド:ふーん、ネギ、みた?
ネギ:、、、、、
ミスド:まーた無視して。
ネギ:、、、

ミスド、退場

兄:けんかしたの?
ネギ:別に
ドミノ:ミースドちゃんとキームちゃんがむーぎばーた
ネギ:うるさい!!!
ドミノ:びゅーーーーーん

ドミノ退場。

兄:仲直りしろよお前等ー
ネギ:しない。
兄:早くしないとお前お別れだぞ?
ネギ:なに?
兄:お前と仕事変わったってことは、そろそろだろ?
  ま、ミスドいい女んなったから高く売れるだろな
ネギ:え?
兄:あ、何お前知らないの?
ネギ:売れる?
兄:あ、わりー口すべった。忘れてくれ。
ネギ:でも
兄:よし、じゃいいもんやろう。ほら。

ドリームグラス

ネギ:あ、やった!
兄:その代わり。すんげえ嫌な事ないと吸っちゃだめだぞ?

ネギ、ドリームグラスを空にかざして見る。

ネギ:、、、すごく嫌なことって、なんだろ?

ネギ、ドリームグラスを嗅ぐ

ネギ:わ。くさい。母ちゃん、いっつもこれ吸って。
   そんなに嫌な事って、あるのかな。

悪太郎女:ぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょんぎょん
    
    作業灯点滅

ネギ:ねぇねぇねぇ卵かけご飯を本格中華に近づける方法知ってる?
兄:ごま油をかける。一滴で良い。
ネギ:なんで知ってんの!
兄:俺教えたんだぞ?!
悪太郎:なんてどうでもいい会話だ。
ネギ:あ、今日は母ちゃんが貰ってこいって。
兄:あ、そっか忘れてた、ほらよ。

デカイタバコ。一箱

悪太郎:あ!でけええ!
女:一時停止!
COM:ピキョキョ。

ストップモーションのネギと兄。

女:やっぱり。
悪太郎:な!?ゆったとおりだろ?でかいだろ?そして下手!絵が下手!あれ?面白くない?
女:侵入者がいます。
悪太郎:え?
女:おそらくドリームグラスを、シケモクに描き替えた不届きな奴がいます!
悪太郎:え?だれ?
女:ハッカーがいます!
悪太郎:ハッカー?
女:犯人の特徴は3つ!一つ、島の現実を外から見ていた人物、
一つ、この仮想空間にいても不自然じゃない人物、そして決定的な特徴です!

女、びしっとでかいタバコをさす

悪太郎:?
女:犯人は絵が下手!
兄:ギクゥう!!
女:緊急警報!

    ダンボールリズム隊リズムを刻む
作業灯が明滅

兄:(ドキドキドキドキドキ)、、ごめんなすってぇ!!

静止画だったはずの兄貴、走り出す。退場

COM1:ウィーーンウィーーン(以下続く)
COM2:エマージェンシィコード・ナイン・ワン(以下続く)
COM3:DANGER (以下続く)
COM4:プリーズシャッダーンユアシステム(以下続く)
悪太郎:おや?
女:なにしてんですか!?追って!
悪太郎:あーなろーぐぅう!!!!!

女、悪太郎、退場。

■ドミノ走る!!

リズムがどんどん大きくなる。
    なぜだか、ドミノが舞台奥から走ってくる!
目、まんまるにして、ニッカニカしながらネギの周りをグルッと走る。
ネギ、奥舞台にかけあがる!ドミノを見ている。
ドミノめっちゃ走っている。

■断片

ドミノ:よーい、どーん!!!!

    ネギ、海に飛び込むドミノを止める

ネギ:ドミノ!!!ドミノだめだ!!ドミノおお!!!!!

波:ざーんざざーんざざざざーーーん!!

■大海原の記憶。

大ネギ:!!!
    
    波登場、体を揺らしながら舞台手前に並ぶ
上手から重りをつけた母が大海原を子供を上にかかげて息とめて
口ぱんぱんにして泳いで来る。ゆっっっくりと

波:ざざざーん!ざざーーーん!

大ネギ:(あの記憶だ。)

下手から、発泡スチロールがぷかぷかと漂ってくる!
母の手、その箱を求める。見守るネギ、母を叫ぶが音が大きくて聞こえない。

大ネギ:(かあああちゃあああああん!!!!!)

    母の手が発泡スチロールに届きそうになった瞬間、波に飲み込まれる。
女、波をかきわけ登場

女:、、この記憶?

女、不思議そうに辺りを見回す

女:、、、!!ネギ!

女、ふりかえると、大ネギ立ったままゆっくりと寝る。

■ターイホだぁ!

悪太郎:まてまてい!
COM:ピキョキョ

    波、動きが止まる
    かけこんでくる兄、そして悪太郎

兄:にゃろう!

女、立ちはだかる

悪太郎:どんなにこの刑事らしい瞬間を待ち焦れたことかぁ!
兄:ああ!
悪太郎:ここで会ったが100年目ぇ!往生際が悪いぜこの野郎!
神妙にお縄をちょうだいしやがれ!この紋所が目に入らぬかぁ!
女:全部言った。
兄:護摩堂大輔ぇぇ!!麻薬取締法違反及び証拠隠滅の容疑でタイホだあ!

と、かっこよく見栄を切った挙げ句、

SE:ぼぉほん!

掴み損ねる

悪太郎:しもたあ!(すりぬけた)
兄:はーっはっはっはは!ひさしぶりだな妹よ
悪太郎:手も足もでん!
女:あんちゃん!
兄:もうやめれ!!
女:え?
兄:お願いします。どうかこれ以上、ネギの頭覗くのやめてください。お願いします。
悪太郎:てめえ、自分お悪事がバレねぇように絵、へたくそに書き換えたぶんざいでこのやろう
兄:罪はちゃんとそのうち償います。自首します。みこ、ほんとだ。約束する。
女:あんちゃん
兄:だからどうか。俺がこんなこと、言えた義理じゃないんですが、
  これ以上本当のとこ探ろうとすんのやめて欲しいんです。
悪太郎:もとはといえばおまえがこんな本出版するからだろ。
兄:あのまま、あの島、俺ほっとけばいかったんだわ。
  出版されるまで、雑誌に連載して世間さまの目の前に見せたから、
  あいつら、見つかったんだわ。
  キムってのが上陸してからはもうどうしようもなかった。
  ニッポンの警察がついた時にはもう後のまつり。
  ネギが保護された時にはもうみんな頭おかしくなって
  あの、幸せそうな毎日。二度ともどらねぇもの。
  それ、全部俺のせいだ。
  だからこのとおり。お願いします。
  これ以上、ネギのあたまんなか、のぞかねえでください。
悪太郎:土下座されて、はいそうですかって引き下がるほど、
警察はあまかねぇよ。
兄:、、、、、、やっぱな。

波、ゆっくりと舞台奥のネギによっていく。小さい波の音からどんどん大きくなっていく。(以下続く)
    (このとき、ネギ箱をうまく袖に運ぶ。母は上手く布をまとい、波に紛れる)
    兄、ゆっくりと立ち上がる。
    怪しげに作業灯が6つ揺れながら点滅し始める

兄:こうなったら、最後の手段だ。
悪太郎:おい。何をする気だ。
兄:すいません。もうこうするしか手がない。
女:あんちゃん、何するの
兄:すんません。
女:答えてよ!
兄:、、、全部、無かったことにするから。
女:なかったことにする?
兄:俺、救ってやろうと思うんだ。
これから起こる全てのこと、なかった事にしてやるんだ!
悪太郎:だからよ!これから何が起こるんだ?
兄:やっぱりみんなしりたがる!みんな同じ間違いをする。こうなったら全部書き換える。
二人:え?
兄:このままじゃ可愛そうだ。

兄、ドリームグラスを出す
    どんどん点滅が増えていく
    ネギが波によって立たされる。ネギ、波に体を預けた状態
    波の1人が、作業灯でネギを下から照らす

兄:全部無くして、違う記憶にしてやるんだ。
女:兄は、最初から、記憶を改ざんして。
悪太郎:おれたちはそれを見てたのか?!
女:そういうことになります!
兄:、、あの星を離れて悲しい現実に向き合うよりも、ネギは、夢の中に生きてた方がまだまだましだ
女:それじゃ、

兄、ネギのそばへいく。

兄:起きろ、ネギ。
女:やめて!!
悪太郎:ネギが頭の中で起きるってどういうことだ?
女:この空間は無意識下、記憶の捨て場所です。
兄:物語を書き換える!
女:一度捨てた記憶に固執すれば、
兄:コンピューターシステム再構築!
悪太郎:彼女は埋もれてしまうかもしれない!
兄:ネギ!!!起きろおおおおおお!!
二人:やめろおおおおおお!!!!!

波:ザザーン!!!

ブルー暗転

■ネギ、新しい記憶の中で

兄:さーさーさー忙しい。

  兄動き出す。
  悪太郎、女、不思議そうに見ている

兄:ほらあなた?いつまでトイレ入ってんのー?
  ドミノー?おきたー?ミスドー?ネギちゃんおこしてー。ごはんー
ミスド:はいよー

    波に紛れていた各々、ボロ布を脱ぎ、登場
    ネギ不思議そうに光景を見ている

ドミノ:(ゲームしながら)今日体育ちょーうぜーし。ジャージ重てー。
ミスド:ネギー?ガッコおくれるよー。やべー頭ぜんぜん乾いてねぇし!
母:はーん。やばいね北朝鮮は。そうとう追い込まれてる。
兄:あなたご飯の時新聞やめてください。ドミノも!
母:わかってますよ。おい、ネギは?
ドミノ:ネギっ早くしろー。お、ゲット!
ミスド:ネギー、金田くん迎えにきちゃうよー?
兄:ネーギっ
ネギ:あ、、うん。

みんな、ネギをみる。
ネギ、おずおずと座る。

兄:ほら、あなた。
母:はい、それでーわー。姿勢正してー
ドミノ:いってきます!
ネギ:?
ミスド:いただきますやろ!
兄:はいちゃんと
全員(ネギ以外):いたーだきーます。
ネギ:、、いただきます。
ドミノ:おかわり
ミスド:はええよ!
ドミノ:ねーちゃん男できた?
ミスド:できねーよ
母:あ、なんだ、負け越しか?
兄:だれ?
母:はくほう
兄:それもモンゴル人の人?
ミスド:ハワイ人っている?
ドミノ:いねーし。
兄:あ、パパ時間。
母:しかたない。
兄:ハンカチ
母:ある。

楽しい家庭の風景

キム:ネーギちゃん。ガッコいこ。
ミスド:あ、きたよネギ。
ドミノ:なかいいよなお前等
兄:キム君とけっこんすんだもんねぇー
ミスド:国際結婚ナウイね
ドミノ:ナウイがナウくねーし
母:ネギはパパと結婚するもんなー
兄:いいから早く会社
母:いってきまーす。
ミスド:いってきまーす
ドミノ:いってきまーす
兄:あ、あなた!ハンカチ!
キム:ネーギちゃん。ガッコいこ。
ネギ:、、、ガッコ。

悪太郎:じゃ、キム君はネギのとなり。
キム:韓国から転校してきましたキム・タオです。よろしく
悪太郎:そんじゃホームルームおわりーまっする!
キム:センセうける!
笑い声:どおっ
ネギ:あ、きりつ、きょーつけ、れい
キム:よろしくね。
ネギ:うん。

女:うん、寝て寝て。先生もね体育ちょーサボッたから。
  大丈夫。だるい?最初の4年くらいはね、不安定だから。
ネギ:せんせキム君
女:わかった、追い返す。大丈夫。
キム:ガラガラ、先生、ネギ来てませんか?
女:え?ネギー?きてなーい。先かえったんじゃない?
キム:えーありえん。
女:ま、ネギもお年頃だからね。気使って。
ネギ:先生、ありがとう。

悪太郎:良かったな、こっちで就職決まって。
キム:ぼく日本に帰化することに決めました。
悪太郎:ご両親は?
キム:いえ、ぼくだけ。そっちの方が自由だし。
悪太郎:名前替えんのか?
キム:いや、昔と違うから
悪太郎:だよな。でも惜しいなぁ。
キム:え?
悪太郎:キムはだいたい金田になるから
キム:あ、先生と同じだ。
悪太郎:ネギもだ。わはは

母:やらん!韓国人に娘はやらん!なんつてガハー!
ミスド:ちょー酒くさいんだけどー。
ドミノ:ほら、キムも飲みな。
キム:ぼくまだ未成年
ネギ:いつものんでんじゃん。
キム:あれは仕事だから
母:俺なんて小学校しか出ておりませんのれね。いいれす!キムマンセー!
兄:パパのみすぎー。ごめんねー。
キム:いえ。ぼく父さんいなかったからうれしいです。
ミスド:紹介したい人いるんだけど。
悪太郎:こ、こんにちは体育教師で元担任だったんですがあの。
ドミノ:え?まじで?!
ミスド:うん
ネギ:いつから?!
ミスド:卒業してからってことにしとくか?
悪太郎:お、おい!めったなことはっ、、あれ?お父さん?
兄:大変。父さんかたまっちゃった!
みんな:どわっはは

ネギ:べんべろべろばー。べんべろべろばー
キム:名前きめなきゃなぁ
ミスド:まさか、クリスマスに生まれるとはねぇ。
ドミノ:ちょー国際的な子供じゃねぇ?
悪太郎:おとーさん!おとーさん!
母:キム!キム!生まれた?
兄:あー、おっきいねぇ、よいしょ。
母:あ!まずじーちゃんが抱っこするもんだろ!
ドミノ:そっちも早くしろよ
悪太郎ミスド:いやあぁ

    それぞれストップモーション
    女、ネギを見つめる

ネギ:私は、平凡だけど楽しいまいにち、、

ネギにだけ、ジングルベルが聞こえてくる。

ネギ:、、、、、あれ?なんだっけ。
、、この頭の悪そうな、うたは、なんだっけ、、、まあ、、いいや。

心音:ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、

    ネギ、舞台奥に行き寝る。暗転

女:・・・ネギちゃん。

    明転

心音:ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、
女:、、、、、、、、、もう1ヶ月になります。

悪太郎登場。

悪太郎:担当、外されたから俺。
女:、、そうですか
悪太郎:、、、本人が、それでいいっつーなら。俺等は手出しできねぇしな。

女、兄のメモ帳を読む。

女:あなたのプロフィール。
悪太郎:、、、え?
女:金田悪太郎。小さい時に父親が蒸発。母親も早くに亡くし天涯孤独。
小学校中学校まで親戚の家を点々とし、働きながら高等学校を卒業、防衛大学を卒業後
トップの成績で警察官になり刑事課へ昇進。以後、国際部との連携をとり主に北コリア系の組織に明るい。
父親は当時北コリア工作員であった金元錫(キムウォンソク)である可能性が高い。
北コリアへ強制送還された元錫は思想犯として強制収容所に入れられるが脱走、
その二日後に北コリア"皇太子誘拐事件"が起きている。
悪太郎:、、、
女:北コリア皇太子誘拐事件は、世継ぎとなるべく皇太子がニッポン人により誘拐されたが、
その後無事になんの問題も無く帰還した。と報道されている事件。ニッポン人の名前はカネダ。
悪太郎:、、
女:どうして最初に言ってくれなかったんですか。
悪太郎:、、人の脳みそ覗いて、自分の親探しなんてプライバシーの侵害だからだ。
女:、、兄は。
悪太郎:取り調べ期間が終って、来週には裁判だ。
女:、、そうですか。
悪太郎:忘れるってのは、人間に必要な行為なんですよね。先生。
女:、たぶん。
悪太郎:ならどいつもこいつも全て忘れた方が良いに決まってませんか。
なんで中途半端に覚えておく事をするんですかこの脳は。
うらみつらみも愛情も憎しみもウソもホントも全部ひっくるめて。
つど忘れていけばいんじゃないですか?そうすりゃ苦しいことなんて何も無い!
女:全てを知ることが不幸を呼ぶことはありませんか。
悪太郎:そりゃあるでしょう。
だけど、不幸のどこがいけないんですか。
女:、、、、、

悪太郎、オルゴールを女に渡す。

悪太郎:さんざん掘ってきましたよ。1ヶ月。
西のないしょんとこ。南のでっぱり。俺が見た景色のまんまでしたよ。
臭くて臭くてたまらなかった。夕方。太陽が水平線の中に呑み込まれるんすよ。
キレイなんだなぁそれが。でも臭くて臭くて。
生きてるってそういう事なんじゃないんですか。
不幸も含めて、生きてるって事なんじゃないんですか。
女:、、、、そうかもしれません。
悪太郎:これはただの屍だ。死んでる。
こんな屍のせいで俺の人生変わったのかなんて思ったらあたまにきますよ。
可愛そうだから言ってんじゃない。あたまにくるんです。あたまにくるんですよ、先生。

悪太郎、退場する。

女。しばし悩み。

女:ネギちゃん。オルゴール。

女、オルゴールをかけ、☆音楽ジングルベル、退場する。

光がすこしずつ、ネギに集中していく。
一回り、オルゴールがまわりきる。
起きないネギ。

■オルゴール

キムが歩いてくる。

まるでネギがいるかのようにはなす。
キム、オルゴールを手に取り

キム:え?、、くれる?

ネギを眺めるキム。

キム:これ、大事なものなんじゃないの?
うん、、、どうもありがとう。
、、、大事にするよ。

キム、退場

記憶の波音、静かに静かに鳴り出す

波:ざざーんざざーんざざーんざざーん・・・・

ネギ一気に起き上がる。

ネギ:「あんたは特別な子だよ。なんたって魔法が使えるからね」母ちゃんはそう言った。


ノイズ音:ざーーーーーー―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―ーー!!!!!!!!!

☆音楽。舞台のあちこちから人々、
ゆっくりと歩いてくる。
交差する。

ネギ、報告書を読み出す

ネギ:本名は李賢玉(リヒョノク)といい、コリア民主主義人民共和国の内親王として生まれた。
私の国は2度の世界大戦に負けたのち鎖国状態に入り貧しさの極みにあった。
私の国ではここ50年、冬になればアスファルトの上で大勢の人が死ぬ。

キムと母

キム:お前が賢玉を連れ出して国が変わったと思う?
独裁は続いている。血の繋がりで政権を交代することをやめただけだよ。
母:、、、、、、

ネギ:金元錫(キムウォンソク)は英雄的スパイであったが、二重スパイとなったため強制労働の刑に処された。
私は1歳と4ヶ月で脱走した元錫に誘拐された。当時世襲制であった国家権力への反抗であった。
私は東京湾中央防波堤外側、元第18番埋め立て地に20年幽閉された。

兄、ミスドを連れてくる

ミスド:ちょっと待って!
兄:もう取引は済んだんだ。
ミスド:どこいくの?みんなは?
兄:いいからこっちきなって。
ミスド:ちゃんと説明してよ!
兄:俺だってつらいけど!

ネギ:寝る場所は雨風をしのぐ程度の穴ぐら、食べるものはくさりかけたゴミ、週に一度の密輸船からの補給物資であった。物々交換に使用されたのはニッポンではこの島にだけ生息が確認される”夢の草”という
麻薬成分を含む草である。

キム:責任を感じないのか。地球人に連れ去られたら帰ってこれない。
   そう言ってあなたは子供たちを幽閉したじゃないか
母:ただの一度だって。「行くな」とは言ってないよ。
キム:子供がそんなことわかるわけないだろ。
母:あの子らは、だれよりも物を知っているよ。

ネギ:たまにニッポン人の捨て子がゴミの中に紛れていた。たいていは死んでいるのだがごくまれに息のあるものもいて、元錫はそれを拾い労働力とした。ある程度の年齢になると取引し、金と交換した。私はミスド、ドミノとともに育てられた。

ミスド:あたしはお金に変えられたって?
兄:俺がついてる悪いようにはしない
ミスド:どうして突然!なんでそうなんの!
兄:事情が入り組んでるんだ。
  今はこの方が絶対いい!

ネギ:密輸の男が、事実にもとづく小説を書き、その様子を克明に描写し発表した。
   その話題は北コリアにもとどき、工作員が派遣された。私が賢玉であることが確認された。
   国の貧しさを知る元錫は、金でその工作員を買収することにした。

キム:なんですかその金
母:当分食うに困らないだけの金だろ。
キム:まさかそういう口説き方をあなたにされるとは
母:ネギのことは見逃してやってくれない
キム:ぼくには任務がある
母:そんなもん捨てちまいな

キム、銃を構える

兄:ごめん!(睡眠薬)
ミスド:!!、、(ぐったりする)
兄:目が覚めたら、普通の幸せについて、ゆっくり考えよう。

兄、ミスドを持ち、退場。

母:ネギを連れてってどうする
キム:正しい世継ぎとして、
   玉座にお戻りいただく。
母:正しいってなんなのかね。
キム:会無二度、父様。

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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。